『 クラップ・ゲイム 2 』
ダービーで大穴を当てる。
運命の女神の、微笑は気まぐれに。
タクシーで48番街に向かう。
久しぶりの店でメシを食う。
女神にシャンパンを空ける。
ステージで踊るあどけない淫売ども。
風邪を引きそうな衣装の女が、客席にキスを投げる。
首筋を、手が掴む。
葉巻を手に、奴が笑う。
「よお、久しぶりだな。」
女が手を振って引っ込んでいく。
「景気、よさそうだな。」
「まあまあ、だ。」
また、文無しなのだろう。
お前に貸す金はない。
「女に貢がせろよ。」
「そんなカッコわりいこと、出来っかよ。」
代金を二人分、払う。
いつものように、外へ出る。
「女は、いいのか。」
「俺に惚れてる、気付きゃあしねえよ。」
そう言って、肩に手を回す。
「飲みなおそうぜ。」
そして、俺達は部屋に縺れ込み。
「酒なら外でも飲めるだろうが。」
「殺風景な方が好きなんだ。」
「そりゃ、どうも。」
葉巻を燻らし、殺風景に酒を飲む。
「今度は、どこ行くんだ?」
お前のいない、どこか。
「いつ、戻ってくる?」
お前を忘れる、いつか。
「賭けなら、この街でもできる。」
だけど、お前がいる。
.街の噂も女の話も尽きた頃、あどけなく笑窪が浮かぶ。
「クラップしようぜ。」
「何を賭ける。」
「あんたの魂。」
そして、俺は負け続ける。
奴に魂を、捧げながら。
どんなに勝った時よりも、嬉しそうに奴は俺にむしゃぶりつく。
力任せにベッドに倒され、シャツを剥がされる。
唇をこじ開ける舌に、葉巻の味がする。
この街で生きていくには、舐められたらお終いだ。
たとえイカサマでも格好をつける。
かおるのイカサマにだけ、俺は引っかかる。
我慢できずに俺も奴を貪る。
蛇が運ぶ林檎の味だ。
楽しげに笑う声がする。
「大好きだよ、りかさん。」
それは何枚目の舌だ。
悪魔に首根っこを押さえられ、俺は夢中で林檎を喰う。
汗の粘つく音に、ベッドの軋みが絡む。
「りかさん、感じてる?」
どんな女より、甘い喘ぎ声がする。
赤い唇が笑いながら、俺の身体を滑り降りる。
そして俺を咥え込む。
明日は女に口付ける、唇が。
「まだ、いかせない。」
こじ開け重なる身体が、俺を揺らす。
耳朶を首筋を、あの唇が舐め回す。
眉間に深く、皺が寄る。
二人で一緒に転覆しよう。
「愛してるよ、りかさん。」
「愛してるぜ、かおる。」
深い夜の底、クラップ・ゲイムはまだ続く。
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