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『クラップ・ゲイム 01』





われわれは降りてゆき、

  彼らの言葉を混乱させ、

    互いの言葉が聞き分けられぬようにしてしまおう。


             ―――‐ 創世記 11:07




ヒットする男。
スタンドした女。
跳ね上がる、ミニマム。
カジノはどぎつく廻り続ける。

運命の女神を、俺はたらし込む。
ハートのクイーンがエースを連れて、俺に転がり込む。

「ブラック・ジャック」

どよめくテーブルを後に、俺はフロアを彷徨い続ける。
バカラのテーブルを冷やかす。
跳ねるルーレットに軽く酔う。
スロットマシンにコインを入れる。
セブンカードを弄ぶ。

残響は、クラップス。



砂の都の楼閣の、最上階のスイート・ルーム。
最上級のシャンパンに、最上級のコール・ガール。
炎上する都は、大陸の彼方。
逐われるように、逃げてきた。
広がる硝子に、俺は吸い寄せられる。

ストリップのネオンの光芒が、48番街に引き戻す。







「女は、嫌いか。」
「欲しい時に、あればいい。」

俺に埋もれる、狡猾な口は滑らかに動く。
お前の舌は飽くことを知らず。

「1000ドルでいいんだ。」
「この、文無しが。」

俺に赤く、刻印を刻み。
噛み合わぬ言葉を繰り続ける。

蹂躙の憐れみを受けながら、俺は切り裂かれる。
安ホテルの壁が、吐息を吸い尽くす。
歪んだ鏡に、奴の口の端が歪む。
掴まれる首は、ベッドの奥深く沈められ。
溺れる声が、シーツに爪を立てる。


お前の肩に、俺は縋りつき。
繋がらぬ言葉を垂れ流す。

「ヤキが回ったな。」
「あんた程じゃ、ねえよ。」

お前の身体に、俺は食い尽くされ。
俺の舌は虚しく蠢きつづける。

「お前も、来るか。」
「勝手にしな。」








女より滑らかなシーツに俺は包まれる。

砂漠の蜃気楼ですら、お前を消してはくれず。
女神の腕の中ですら、お前から逃れられない。
俺の心の螺子は、疾うに外れてしまい。
分からぬほどに傾く狂気の路を、共に転がり始める。



俺と、来るか。



そして、言葉は融解し。
永遠にお前の許に、届くことは無い。



天までとどく塔から逐われ、そしてまた俺は帰ってゆく。

ダイスは何処に落ちるのか。







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