段ボールで「どこでも医療室」 福島・須賀川の神田産業、ザンビア支援へ
段ボール製品開発・製造販売の神田産業(福島県須賀川市)は、アフリカ南部のザンビアなどで、自社が手がける段ボール製の移動式医療室「DOKODEMO CABIN(どこでもキャビン)」の本格的な普及、展開を目指す。 同社は、国際協力機構(JICA)のSDGsビジネス支援事業を活用し、ザンビアなどでの社会課題の解決や海外市場展開に向けて、現地の医療現場や行政機関、NGOらと連携して調査を実施した。同社によると、ザンビアでは農村部の医療施設が不足するなど地域格差が深刻な状況にあり、医療設備などへの投資が増加しているという。 同社が開発した移動式医療室は高さ約2.2メートル、横3メートル、奥行き2メートル。軽量な上、工具不要で簡単に組み立てることができる。素材の段ボールは100%再生可能で表面には特殊なコーティングが施してあり耐久性と耐水性を備えている。現地調査では、農村部での巡回医療や災害時の応急医療、妊産婦向けのシェルターなど多様な用途でのニーズが確認された。今後、現地機関と連携して現地での生産体制を整え、製品化に取り組む。
ザンビアのトバイアス・ムリンビカ駐日大使らが9日、須賀川市の同社工場に見学に訪れた。同社の神田雅彦社長と現地調査を行った石沢秀忠ハニリアル事業部長が段ボール製品ができるまでの過程を説明。移動式医療室の組み立て実演も行われた。製品を初めて見たというムリンビカ氏は「ザンビアの社会的課題を解決してくれるものと確信した。ザンビアは8カ国と接している。隣国にも、この技術を波及できれば」と語った。
駐日大使、県庁訪問
工場見学に先立ち、ムリンビカ氏と神田社長、JICA二本松青年海外協力隊訓練所の柳竜也所長が県庁を訪れ、佐藤宏隆副知事に調査結果などを報告した。佐藤副知事は「本県で生まれた製品が世界で貢献できることを期待する」と語り、ムリンビカ氏に記念品として赤べこを贈った。
福島民友新聞