自分がサイクルロードレースを見るきっかけのレース敗者がその山で勝者になった話

自分はいろいろなスポーツを観戦している自覚はありますが、その中で「多くの人は見ていないけど結構見ているもの」としてサイクルロードレースがあります。

要するに普通の道を自転車で走るサイクルロードレースですが、これを真剣に見るきっかけとなったレースがあります。

それが「ジロ・デ・イタリア 2018 第19ステージ」です。
ジロ・デ・イタリアは自転車レースの中でも最高峰のグランツールの一つで、イタリアを回るのがジロ・デ・イタリアです。

一番速いロードレーサーにはピンクのジャージ「マリア・ローザ」が与えられ、21のコースを途中休みを挟みつつ走破します。例えば第5レースまでで総合タイムが一番速い選手にはマリアローザを着用して次の第六ステージに出走します。要するにこのマリア・ローザをキープし合うレースなわけで。

まぁ、色々書きましたけど、多分このnoteを読んでいる人は「サイクルロードレースを完璧に知っている人が知っていない人の2極化」だと思っています。

まぁ説明はそれまでにして、自分がサイクルロードレースにのめり込んだのは前述の通り「ジロ・デ・イタリアの2018 第19ステージ」なわけです。

このレースの前日の第18ステージの段階でマリアローザは「サイモン・イェーツ(以降サイモン)」が保持していました。

正直当時のサイモンのことは全然知りません。
なぜなら当時の「敗者」なだけなので。

サイモン・イェーツは(Wikipediaによると)このジロで絶好調だったと
しかし第19ステージのフィネストレ峠で大失速し、マリアローザを失ったと。。。

そしてフィネストレ峠で一気に勝負をしてマリアローザを大逆転で獲得したのが「クリス・フルーム(以降フルーム)」です。

フルームはマリア・ローザのサイモンと3分22秒という、正直絶望的な差がついており、普通逆転はありえないレベルの差なわけです。

そんな中、第19ステージでフルームは勝負に出ます。
当時フルームの所属していたチームスカイ(今のイネオス・グレナディアーズ)は最強軍団と言われながらいまいち実力を発揮できていない状態でした。

そんなチームスカイの面々は大会中最高峰の山に与えられる「チマコッピ」であるフィネストレ峠であまりにも強烈な牽引(要するにめっちゃ早いスピードでエースを引っ張って他のエースを遅れさせる)を実施し、サイモンはこの餌食となり、このフィネストレ峠でマリア・ローザとお別れすることになりました。

まぁ、フルームはこの後、サイモンが急激に遅れたのでサイモンには勝ちが決まりましたが、その他にも1,2分台の差のある選手はサイモンが遅れてもついてきていたので、フルームは道中でチームの牽引が終わり残り80kmから単独走。フィネストレ峠の山頂まで7kmあるし、そもそも「当時」このような山で厳しいステージで80kmの独走はあまりにも困難なものでした。

しかし、結果としてフルームはやり遂げ、他の選手に差をつけて自身がマリア・ローザを獲得し、そのまま、マリア・ローザをキープして大会を終えました。

この驚異的なレースは当時最強と呼ばれるフルームでも歴代最高のレースと言われています。あまりにも常識外な走りで勝ってしまったのです。

この魅力的すぎるレースとフルームの姿を見た自分はこれがきっかけでサイクルロードレースをよく見るようになりました。

そしてこのレースの敗者となったのがサイモン。

サイモンももちろん強いレーサーで、同年のグランツールのブエルタで総合優勝をしたりしましたが、翌年のジロでリベンジを果たすことはできず。

そして年月が経ち、今年2025年のジロ・デ・イタリアにサイモンは参戦。
そして今年の最終ステージの前日にある20ステージの大勝負のステージにはサイモンの因縁の「フィネストレ峠」がチマコッピとしてまた登場したのです。

そして19ステージを終えてサイモンはマリア・ローザを保持しているイザーク・デル・トロ選手に1分21秒差をつけられ3位の位置にいました(2位には上記の2018ステージ19でフルームから3分遅れの2位でゴールしたカラパス選手)

最終21ステージで差を広げることはできないので、もうサイモンにとってラストチャンスであり、フィネストレ峠が険しい山として本当に最後の山なのでここで勝負するしかないわけです。

まさに「神様からの最後の試練」だと思います。

そして20ステージ、フィネストレ峠にデルトロ、カラパス、そしてサイモンは同じ位置で入ります。

入ってすぐにカラパスのチームのEFによる強烈な牽引で引き離す姿勢を見せましたが、これについっていったのはデルトロだけ。サイモンは遅れます。

「やはりサイモン。。。!無理なのかフィネストレ峠は!?」

と思ったらサイモンはすぐ追いついてきました。追いついて3選手だけになったかと思ったら間も開けずに自分のペースで登坂を開始します。
そしてどんどんとカラパスとデルトロは遅れてゆきます。確かにデルトロは特にサイモンとの差に少しだけ余裕があるので、ついていかなくてもよいのかなと思ったのでしょうが、カラパスとデルトロは2人でついていくことに

しかし、サイモンがものすごいペースで登坂をし、みるみる差が離れ、サイモンが山頂に到達した時点ですでにサイモンとデルトロのレーススタート前にあったタイム差はすべて消え去り、このままゴールするとサイモンがマリア・ローザとなります。

そしてサイモンは山を登り、下った先に「神」を見ることになります。
「チームメイトのワウト・ファン・アールト」です。

ワウトは、、、説明すると長いですが、何でもできる選手で、レーサーで「山も登れるし、一瞬で速度を出すスプリントも早い」って人は基本いない(この2つは脚のつくり方が全然違うので、両立は困難)
なのですが、ワウトは違います。二刀流です。いや、三刀流です。両方できるんです。

そんなワウトは、このレースで先行逃げ切りのチームに入って「前待ち」で下ってきたサイモンを待っていたのです。そしてあまりにも強烈な牽引をみせ、最後の山の中腹までサイモンを持っていき、それによりカラパスとデルトロとのタイム差を更に開いてサイモンをゴール近くまで送り届けることに成功しました。

そんな神のアシストを得たサイモンは2018年にマリア・ローザを失った地でマリア・ローザを取り戻したのです。あまりにも出来すぎている。

自分は前述の通り、2018年のこのステージが好きだからこそのこの劇的結末でサイモンが忘れ物を自ら取り戻したことにとても感動しました。

そしてサイモンは最後までマリア・ローザをキープして、今年のジロ・デ・イタリアのチャンピオンとなりました。本当におめでとうございます。

文字だけでひたすら書きましたが、本当にあまりにも出来すぎている話すぎるのですが、本当にこのサイモンに感動したのでnote書いちゃいました。

サイモン!おめでとうございます!!

終わり






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コメント

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自分がサイクルロードレースを見るきっかけのレース敗者がその山で勝者になった話|きゃな
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