「心の糧」は、以前ラジオで放送した内容を、朗読を聞きながら文章でお読み頂けるコーナーです。
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坪井木の実さんの朗読で今日のお話が(約5分間)お聞きになれます。
先日、70才になった私ですが、そんな年寄り相手に、幼稚園の子供たちが寄って来ては、「神父さんかけっこしよう」とか「神父さんこっちに来て、私のタイヤ跳び見ていて」とか「鉄棒届かないから、ぶら下げて」とか頼みに来ます。
1年前、小さな幼稚園で働く聖職者、チャップレンに赴任したのですが、赴任した当初から、子供たちに引っ張りだこになって、半日の勤務でもその後疲れて、こっくりこっくりすることも多くなってきました。
先生に「どうして、子供たちはこんな高齢者を受け入れるんでしょうね」と尋ねると、「いつもニコニコしていて危険人物でないことが子供には分かるから、直ぐに子供の中に入れるのですよ」と、褒められたのか貶されたのか訳の分からない返事が来ました。
先日、ある教会のボーイスカウトのスタンツ(出し物)の練習に付き合ったのですが、みんなが疲れ切った後に、私の得意なポップコーン作りをしました。そしておみやげにと家族皆にあたるように袋詰めをしてその場でも子供たちと「おいしいね、おいしいね」と言いながら食べていると、ひとりの子供の笑顔の素晴らしさにとっても惹かれました。すかさず「君の笑顔、最高だね」と褒めると、その子は、とってもうれしそうな顔をして、それまでのビクビクした雰囲気から自信に溢れた顔に変わりました。そしてそれまで黙っていたのに、私に積極的に話しかけるようになったのです。
ついつい他人の、弱いところや気に入らないところを見てしまう私ですが、このような体験を踏まえて、人の良いところを見つめ、微笑みかけることで、出会う人々の可能性を伸ばし、自信を深めてもらうようにしようと思うこの頃です。