2025-06-19

スーパー牛肉と白砂糖だけをかごに入れているおばさんを見かけた。肉と砂糖、以上。それ以外は一切なし。栄養バランスとか気にしないのか、というか、そもそもこの組み合わせで何を作るつもりなんだろう。想像がつかない。たぶん、想像したくもない。

 

セルフレジが混んでいて、仕方なく並んでいたら、そのおばさんが後ろにやってきた。距離感ゼロで、かごをガンガンこちらにぶつけてくる。無言の圧がすごい。「早くしろ」と言わんばかりの態度。セルフレジの前で、肉と砂糖だけのかごを握りしめて、なにかに取り憑かれたような目をしている。完全に自分世界に入り込んでいる感じ。後ろから圧力に負けて、こちらも焦って操作ミスりそうになる。

 

ちらっと横目でおばさんの顔を見たら、年齢は60代後半くらいだろうか。妙におでこけがてかてかしていて、他の部分は乾いているのに、そこだけ異様に光っている。人間の皮膚って、あんなふうになるものだろうか。なんだか気持ちが悪い。人間というより、どこか獣じみたものを感じてしまった。肉と砂糖だけ食べていると、ああいう外見になるのかもしれない。いや、そんなわけないと思いつつも、妙に納得してしま自分がいる。

 

その姿を見ていたら、ふと、どこかで見たことがあるような気がした。ああ、匿名ダイアリーを住処にしているおばさんたちだ。日々、肉と砂糖みたいな極端な思考をぶつけ合って、無言の圧をネット越しに発している。現実世界でもネット世界でも、同じような存在感を放っているのだな、と思った。

 

今日もどこかで、肉と砂糖だけをかごに入れたおばさんが、誰かに無言の圧をかけているのかもしれない。自分も、いつかああなるのだろうか。いや、なりたくない。

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