■「気持ち悪い」「吐き気」
「福島君」。福島県浪江町から県内へ避難した男子児童は転校先でこう呼ばれた。東京電力福島第1原発事故で県内に避難した住民による集団訴訟は原告の子供たちが受けた痛ましい境遇も明らかにした。各地で表面化した原発いじめ。県教委の調査では明らかにならなかったが、判決は実態を浮き彫りにした。
いわき市から避難した女子児童は「気持ち悪い。近づくな。吐き気がする」と書かれたメモをかばんに入れられ、泣き崩れた。楢葉町から避難した男子児童は転校先の小学校になじめず「あまり学校へ行きたくない」と感じ始めたとき、周囲の児童から「貧乏神」と言われ、傷ついた。
無知と誤解が生んだ嫌がらせは少なくなく園児を含め6人。ほかにも、上毛かるたと思われる「郷土かるた」を知らなかったことをばかにされるなど、いじめとはいかないまでも「悔しい思いをした」(女子中学生)子供が3人。残る2人は川内村から避難した兄妹で、福島県の方言をからかわれた。県内では珍しい名字もばかにされ「嫌な思いをたくさんした」という。
判決が原発事故に伴ういじめや嫌がらせを認定したことに、全国の訴訟をとりまとめる原発事故全国弁護団連絡会(全弁連)の米倉勉弁護士は「誤解や偏見がいじめに結びついたと認めたのは妥当」と語った。だが賠償額が少額であったことから「避難者の救済に結びつくか分からない。(国と東電の)過失も認め悪質としながら、この水準は何なのか」と憤った。