連載「トンネルの先へ 少女と家族の軌跡」②
いじめが始まったのは、少女が福島から新潟に避難した半年後。「おまえテレビに出てたな」。小学校2年の正月明け、男子児童に言われた。冬休み中に、父親らが避難者として出た番組に家族も映っていた。
「放射能じゃん。お前汚れてるんだろ」「放射能ってうつるんでしょ。お母さんが言ってた」。言い返しても、止まらなかった。
2011年夏に新潟に移り住んだ時は、すぐ友達ができ、外で思いっきり遊べるとうれしかった。だが、学校はこの日から恐怖の場所へと変わった。
「菌」「気持ち悪い、こっちに来るな」「放射能」「消えろ」…。仲のよかった子も「ごめん。私も怖い」と離れていった。教師に訴えても、状況は変わらなかった。物がしょっちゅう無くなり、くすくす笑う声が聞こえた。休み時間も教室にいられず、トイレや階段の踊り場で泣いた。
母親に「保健室でやすんだんだ」「福島って言われた」と漏らしたことがある。でも「どうしたの」と聞かれると口をつぐんだ。慣れない地で自分と妹を抱える母親に心配を掛けると思うと、言い出せなかった。
小3の時、母親がいじめに気づいた。口元を切って帰宅したのを見て誰かに殴られたと感じ、母親が担任に対応を迫ると「やられる方にも責任がある」と言い返されてあぜんとしたという。「1度休んだら学校に行けなくなる」と、行きたくないと泣き叫ぶ自分を引っ張り、母親は幼い妹を背負って片道20分の道を毎日送り迎えしてくれた。
◆「何も知らないのに言うな!」と叫びたかった
いじめは暴力にエスカレート。後ろから跳び蹴りされたり、背中や腰など外から見えない部分を殴られたりした。だが何よりもつらかったのは、大好きな福島を侮辱されることだっ...
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