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転生ごときで逃げられるとでも、兄さん?  作者: 紙城境介
因果の魔王期・最終回〈下〉:夢のままでは終わらせない
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第94話 邪神の策略


 エルヴィスたちを連れて後宮に入ると、不安そうな顔をした側室たちが待ち構えていた。


「へっ、陛下……っ!」


 先頭に立つのは、綺麗な金髪の、いかにもお嬢様といった雰囲気の少女、デイナ・バルビローリだ。

 その後ろから、浅黒い肌の小柄な少女、ヴラスタが、ちょこんと顔を出している。

 俺は彼女たちの前まで行くと、


「全員、無事でよかった」


 と、言った。

 それだけで、少女たちは一様に目を丸くした。


「えっ……? 陛下……?」


「ん? どうした?」


「何だか、ご様子が……」


「急に優しくなってどうしたんですか~? へーか~」


 ヴラスタが間延びした口調で言って、首を傾げた。


「この前まで、あっち(・・・)たちにはぜ~んぜん興味なさそうだったのにぃ~」


「まあ、ちょっとな。心境の変化というやつだ」


 彼女たちとは、一方的に連れ去ってきておきながら、ろくに話したことがない。

 いずれ解放するにせよ、一人一人ときちんと向き合う時間を、そのうち作るべきだろう。

 そう――7人の側室が、全員揃ったら。


「……この子たちが、あなたの側室?」


 少し暗い声に振り返ると、アゼレアがどこか白々とした目で、側室たちを眺めていた。


「ずいぶんと可愛い子ばかりじゃない。いい趣味してるわね」


「嫌味かよ。お前ならわかってるだろ? 女人禁制のダイムクルドに、ルーストの女の子を平和裡に留めておくための方便だって」


「どうだかね。趣味なんじゃないの? 本当は」


 何だかやけに突っかかるな。

 俺がアゼレアの様子に首を傾げていると、デイナたちが当惑した顔で、アゼレアやエルヴィスたちを窺っていた。

 俺の手前、『この人たち誰?』と簡単には質問できないらしい――と思いきや、


「へーか~。誰ですか? この人たち~」


 ヴラスタがじろじろとアゼレア(の大きく膨らんだ胸)を見ながら、のんびりした口調であっさり言った。

 彼女は辺境の漁村の出身で、側室の中ではサミジーナの次に低い身分の出のはずだが、だからこそ踏み込めることもあるんだろう。

 俺は苦笑して、答える。


「俺の――友達だよ」






 側室たちには状況を軽く伝え、待機を命じて、俺たちはサロンに向かう。

 これからの行動を会議するためだ。

 途中、エルヴィスが俺に尋ねた。


「ジャック君。女の子以外のルーストはどうなってるんだい? 記録では、ダイムクルドにはきみ含めて17人のルーストがいるはずだけど……」


「残り9人は、意思ある男は召し抱えて軍人や官僚として働いてもらっている。女性で、後宮に保護するのに不自然な年齢の者は、秘密裏に作った離れで暮らしてもらっている。反抗的な者は……」


「反抗的な者は?」


「……眠ってもらっているよ」


「眠る……?」


 エルヴィスたちは、伝説の四勇者のうち3人が、各国の地下で眠りに就いていることを知らない。

 しかし、俺が精霊術学院跡地の地下から、何かをサルベージしたことは知っているはずだ。


「冬眠みたいなもの、と言えばわかるか。学院にあった、殺傷無効化の結界――あれは、学院の地下で眠りに就いた勇者ラエスによるものだったんだ。俺は学院地下から、人を生かしたまま永久に保存する技術と、精霊術を自動化する技術の二つをサルベージしたんだ」


「それを使って、ルーストたちを生かしたまま眠らせているのかい?」


「へえ~。巷じゃ魔王城の地下で働かされてるって噂だったけどなあ」


 ルビーが無遠慮に言う。

 そう言い出す輩がいるのもわかるが、万が一にも死んでもらっては困るルーストを、強制労働になんか従事させるわけがない。

【巣立ちの透翼】を含む17の精霊術は、もはやこの国を維持するのになくてはならないものなのだ。


「……恐ろしいね。ルーストを生かしたまま眠らせる技術か」


 考え込む様子で、エルヴィスが言う。


「今までは居場所の定まらなかったルーストを、どこかの勢力が独占できるようになるってことだろう? そんな技術があったら、ルーストを見つけ出しては冬眠させようとする勢力が後を絶たなくなるだろうね……」


「だから、後世には伝えなかったんだろ。聡明な勇者たちがさ」


 それに、と俺は続けた。


「恐ろしいことばかりでもない。例えば――誰かの遺体を、綺麗なままずっと保存しておくこともできる」


「え……? もしかして……」


 フィルの遺体は、ダイムクルドに持ち帰るまで、どうしてかまったく腐敗することがなかった。

【巣立ちの透翼】の深奥に近付いた今ならわかる。

 あれはきっと、『フィルにいなくならないでほしい』という俺の思いが、無意識のうちにフィルの身体を、時間の流れから浮遊させていたんだろう……。


 そうとは知らない当時の俺は、フィルの身体が万が一にも腐らないよう、冷凍して保存した。

 それから、学院地下から大急ぎでコールドスリープの技術をサルベージし、フィルを綺麗なまま眠らせておくことに成功したのだ……。


「……会っていくか?」


 エルヴィスの顔を見て、俺は言う。

 エルヴィスは少しだけ瞼を伏せ、数秒だけ逡巡し、


「いや……ヘルミーナを、助けてからにするよ」


「……ああ、そうだな。それがいい」


 黙祷のような空気が束の間流れ、「それにしても」とガウェインが、流れを変えるように口を開いた。


「魔王軍のクーデター――あれは果たして、彼奴らの独断なのだろうか?」


「それはわたしも思ってた」


 と応じるのはラケルだ。


「あの対精霊術装備――あれは、邪神の出現に先立って、設計図を用意しておかないと作れない。素材もないのに設計図を用意する――そんな真似が可能なのは、この世界に一人しかいない」


「ああ、アイツだ」


 結城沙羅。

 サミジーナもろとも邪神に取り込まれながら、それでも世界を思うがままに動かせるように、あらかじめ準備しておいたというわけだ……。


「アイツって……誰のこと?」


 アゼレアが不審げに訊いてくる。

 まだエルヴィスたちには、沙羅のことを話してないんだったな。


「込み入った話になる。それは後で話そう。とにかく、今のこの事態は、たった一人の人間――いや、存在によるもので……その存在が直接動けない以上は、誰かしら実働部隊となる者が、ディーデリヒたちの背後にいるということだ――」


 可能性はいくつもない。

 ディーデリヒも、隠すつもりはなかっただろう。

 ――魔女、と。

 自ら、口にしていたくらいなのだから。


 そうして、即席の会議場とするサロンに全員が入ったとき。

 黙って随伴していたビニーが、ぴくっと顔を上げた。


「ビニー」


 短く名前を呼ぶ。

 ビニーは黙ってうなずいた。

 もう長い付き合いだ。すぐにわかる。

 今のは、双子の兄であるベニーが何らかの情報を掴んだときの反応だ。


「ご報告申し上げます、陛下。たった今、センリ共和国にて――」




◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆




「自由と平等を愛する同志たちよ! もはや私は堪えきれそうにない!!」


 その声が朗々と響き渡るのは、センリ共和国首都イルネシア――その官邸前の広場である。

 優美な石畳が、今は人に埋め尽くされていた。数千人もの人々の視線は、ただ一点――王宮が転用された官邸の、バルコニーに注がれている。


「天空魔領ダイムクルドの卑劣千万、傍若無人! それは今ここに極みに達したッ!! ラエス王国と共謀し、ロウ王国第一王女・ヘルミーナ殿下を略取したのだッ!!!」


 センリ共和国第二代大統領。

 センリの魔女。

 エヴェリーナ・アンツァネッロ。

 バルコニーから声を張り上げる救国の女傑の姿を、人々は一心に見上げているのだ。


「もはや暴力に怯える時代は終わりを告げた!! 我々はダイムクルドに対して、極めて有効な兵器の開発に成功したッ!! この新兵器――対精霊術装衣をもってすれば、魔王の恐怖は地上から駆逐されるだろう!! センリ共和国は、今ここに! ダイムクルドへの宣戦を布告する――!!」


 膨大な歓声が青い空を突き上げた。

 センリ共和国第二代大統領エヴェリーナ・アンツァネッロ。

 彼女が『魔女』と呼ばれる所以は、戦闘力でもなければカリスマでもない。


 その、舌鋒。

 人を熱狂に陥れる、魔術の舌。

 扇動政治家の極致。その在り方をもってして、彼女は『魔女』と、畏怖を込めて呼ばれるのである。


「今この大陸に、臆病者は必要ないッ!! 自由と平等の名の下に、魔王から空を取り戻すべしッ!! 聞くがいい、哀れなる沈黙を保つロウ王国よ!! 聞くがいい、卑劣なる暴力の徒、ダイムクルドよ!! 何も特別ではない、血統などありはしない、どこにでもいる我々の連帯が、かつての勇者たちのように世界を救うだろう!! 共和国、万歳!! 民主主義、万歳!! 自由と平等よ、永遠なれ――――ッ!!」




◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆




「……ディーデリヒの裏にいるのは、センリ共和国か」


 苦々しい俺の呟きに、アゼレアが憤然とする。


「自分たちで攫っておいてよく言うわ! ラエスとダイムクルドの共謀だなんて!」


「ま、状況からすりゃ、そうとしか思えんわなー」


 ルビーがどこか呑気そうに、


「実際、ダイムクルドは一枚噛んでるわけだしよ。なあ、魔王様?」


「勘弁してくれ、ルビー……。俺の不徳の致すところなのはわかってる」


 あまりにも動きが速い。

 以前からセンリ共和国が絡んでいたのか、それとも邪神出現の時点から急速に事態が推移したのか――

 いずれにせよ、どこかに種はあったのだろう。

 ディーデリヒたちが俺を裏切るに足る、種が――エヴェリーナは、あるいは沙羅は、前々からそれを把握していたのに違いない。


「ジャック……これはたぶん、時間稼ぎだと思う」


 ラケルの言葉に、俺はうなずく。


「ああ、わかってる。邪神が降下するまでの時間を、これで稼ごうってハラだろうな。ついでに戦争になれば、邪神の力が増すことになる……」


 何よりも、


「――救世合意を結び直すには、ラエスとセンリが戦争状態になってはダメだ」


 その言葉に、エルヴィスたちがハッと目を見開いて、俺に視線を集中させた。


「ジャック君……さっきから話を聞いていると、邪神とか救世合意とか……きみは今、何と戦っているんだい? 敵はディーデリヒたち反逆者だけじゃないのかい?」


「ああ……あの高さじゃ、まだほとんど見えないよな。数日前から、空に黒い点みたいなのがあるのには気付かなかったか?」


「あー、あったあった! なんかゴミでも浮かんでんのかと思ってたぜ!」


 ほとんどの人間は、まだそういう認識だろう。

 俺はビニーに言った。


「ビニー。写真はあるか?」


「はい、陛下」


 ビニーから渡された一葉の写真を、俺はテーブルの上に置いた。


「あの黒い点の正体は、これだ」


 エルヴィスたちは身を乗り出し、その写真を覗き込む。

 千里眼の精霊術――【憧憬の図版】を応用した望遠鏡で撮ったそれは、画質こそ粗いが、邪神バアルの全容を確かに捉えていた。


「何? これ……。蜘蛛?」


「『虐殺英雄』どもが連れていた怪物に似ているな……」


「おい、ちょっと待て。これ、めちゃくちゃ遠くにいねーか? こんなに遠いのに、肉眼でも見えるって……」


「全長は正確には不明だ。だが間違いなく、レイナード湖何個か分の体積があるだろうな」


「「「…………!!」」」


 ラエス王国の水資源を一手に賄うレイナード湖。それをいくつも合わせてなお足りないと言われ、その巨大さ、その脅威に、少しは想像が追いついたようだ。

 それだけじゃない。邪神バアルは、ディーデリヒが連れていたような眷属を無数にばら撒いてくる。さらにその糸は、精霊術を無効化する性質を持つのだ。


 それが、およそ1ヶ月後には、地上に落下する。

 これらの説明を聞いて、エルヴィスたちの表情は深刻さを増していった。


「これでわかっただろう? ダイムクルドが足を止めた理由が」


「うん……。戦争なんか、してる場合じゃないってわけだ」


 ラケルが経験した異なる歴史では、今から約50年前に『邪神戦争』なるものが起きたという。

 そのときに邪神が復活し、フィアーマ家が調伏に成功したわけだが……俺たちが生きるこの歴史では、近い時期に列強三国で大きな戦争が起きている。


 ノド大戦。


『ノド』が忌み名とされるため、今では『先の大戦』と呼ばれるこの大陸全土を巻き込んだ戦争は、邪神が調伏された歴史では起こらなかった――もしくは、中断された。

 推測するに、沙羅が介入して各国の勇者を始末して回ったのだろう。

 結果、邪神バアルが大戦の発生に反応し、復活してしまった……。

 そして、この世界存亡の危難に対して、大戦は中断されざるを得なかったのだ。


 幸か不幸か、今も同じ状況になろうとしている。

 これは列強三国とダイムクルドの足並みを揃える絶好の機会だ。

 この機に乗じてダイムクルドの軍事行動を中断させつつ、各国を救世合意で団結させ、邪神、および沙羅に対抗する――これが俺の計画だったのだが。


「それも……ラエスとセンリの戦争が始まってしまえば、すべて台無しになる」


 ヘルミーナを攫う。

 たったそれだけで成立した、腹が立つくらい見事な一手だ。

 今までとは違い、沙羅は『この因果』からのタイムリープはしていないはず――にもかかわらず、未来がわかっているかのような策を用意していやがった。


「これは……別の世界の話だけど……」


 と話し始めたラケルに、アゼレアが不思議そうな目を向けた。


「別の世界?」


「あ、えっと、わたしは何度もこの数ヶ月をループしていて――」


「……いや、ラケル。その話めちゃくちゃ長くなるから」


「ああ、そっか……。あのね、」


「(なあなあ。昔は『師匠』呼びだったのに、今は呼び捨てになってんの、突っ込んでもいいやつ?)」


 ルビー……それも話せば長くなるやつだ。

 スルーしてラケルの話を聞く。


「これはわたしが経験したことなんだけど……センリ共和国はたぶん、空に邪神が現れても、戦争をやめないと思う」


「ああ、そうだな……」


 事実、やめなかった。

 大蜘蛛の威容が、はっきりと空に見えていてすら、センリ共和国は――いや、エヴェリーナ・アンツァネッロは、戦うことをやめなかった。


「はあ? こんなもんが頭の上にいて、無視するわけねーじゃん」


「ああ。その戦に如何なる理由があろうとも、頭上に迫る明らかな危険を無視できるはずもない。兵たちも恐れるだろう」


 騎士団の視点でガウェインも言う。


「いや、そうとも限らないよ」


 しかし、今度はエルヴィスが王族――為政者の視点で話してくれた。


「この大蜘蛛は、伝説の四勇者が封印した邪神なんだろう? けど、今のセンリ共和国は、その四勇者の一族を倒して成立した政権だ」


「……あ」


「そうか……!」


 その考えはなかった。つまり――


「邪神の存在を認めてしまえば、『やっぱり勇者家がいたほうがよかったじゃないか』となる……」


「そう。今のセンリは民主共和制――国民の支持によって成立している。その支持の根拠はもちろん、悪政を尽くした王族や貴族、すなわち勇者の末裔を倒したことだ。勇者家を倒した、という歴史的事実を、『正しかった』と国民たちが認めるからこそ、今のセンリ共和国がある――けど、そこに邪神が現れたら、勇者家を倒したことの正当性が揺らいでしまう。彼らは、他の何を認めようとも、邪神だけは認めてはいけないんだ。だから今も、空の邪神からラエス王国に、国民の目を逸らそうとしているのかもしれない」


 あのときのセンリ共和国の動きに、そんな政治的合理性が存在したのか……!

 ……いや、しかし……。


「それだけじゃ説明がつかない……。そんな気がする……」


「え?」


「上手く説明できない……。でも、なぜか……『そんなに理屈が通っているわけがない』って、俺の中の何かが言うんだ。あの魔女――エヴェリーナ・アンツァネッロに関してだけは」


 かのセンリの魔女と、面と向かって話したことはない。

 ラケルの記憶にもなかったはずだ。

 なのに、本能のようなものが警告している。あの女の不気味さについて。


「……いや、いい。忘れてくれ。とにかく、邪神に対抗するには、三国の意思を統一して救世合意を結び、四種の神器をもってするより他にはない。センリとは万が一にも戦ってはダメだ。一度でも戦えば、もう後には引けなくなるだろう」


「……そうだね。センリの呼びかけにロウ王国が応じて手を組めば、ますます難しくなると思う」


「それを未然に防ぐには、奴らの大嘘を暴いてやるだけでいい」


「――ヘルミーナを取り戻すんだね」


 俺はうなずいた。


「ヘルミーナ誘拐の犯人はセンリだと、ヘルミーナ自身に証言してもらうことができれば、ロウ王国はセンリ共和国の敵に回るだろう。そうなれば、いかにエヴェリーナ・アンツァネッロが辣腕を振るおうと、共和国を戦争に狂奔させるのは難しい。少なくとも、交渉のテーブルには引きずり出せる――」


 たった一人のお姫様を、救い出せるかどうか。

 これはそういう、シンプルな戦いなのだ。


「救出は少数精鋭で、秘密裏に行うほうがいい。……みんな、手伝ってくれるか?」


「逆だよ。きみが手伝ってくれるんだろ?」


 笑うエルヴィスに、俺も口元を緩ませた。

 愚問だったらしい。


「ヘルミーナの居所の見当はついているのかい?」


「ダイムクルドだろう。センリ共和国だと、万が一所在が漏れたとき、言い訳のしようがない」


「同意見だよ。次に誰が救出しに行くかだけど――」


 この後宮にも多少は戦力を残していったほうがいい。

 そう言うエルヴィスの意見を容れて、精霊術が派手すぎて隠密行動に向かないアゼレアを残していくことになった。

 女だしちょうどいいだろう、と思ったんだが、本人は恐ろしく気まずそうな顔をしていた。


「アゼレア、頑張って」


「はあ……。わかりました、頑張ります……」


 ラケルの薄い応援を受けて、アゼレアは溜め息をつきながらも了承してくれた。


 かくして、算段は整った。

 休憩を入れて体力を整えた後、俺たちはダイムクルドに向けて出発すべく、後宮の外に出る。


「――さあ、行ここここここここここここここkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkkk




◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆




◆◆◆―――――――◆◆◆―――――――◆◆◆




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[気になる点] この時点で沙羅が誰にも転生していないと言えるのはなぜ?
[一言] こっわ
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