衆院財務金融委員長の解任案可決 現憲法下で衆議院では初

野党側が提出した衆議院財務金融委員会の井林委員長の解任決議案は、衆議院本会議で採決が行われ、野党側の賛成多数で可決され井林委員長は解任されました。衆議院で委員長の解任決議案が可決されたのはいまの憲法のもとでは初めてです。

立憲民主党など野党側は先週、ガソリン税の暫定税率を来月廃止する法案を衆議院に提出しましたが、与党側は来月からの廃止は拙速で混乱をもたらすなどとして審議入りに難色を示しました。

野党側は国民生活に密接に関わる法案で、審議入りしないのは認められないと反発を強め、17日、法案を審議する財務金融委員会の自民党の井林委員長の解任決議案を提出しました。

そして、18日の本会議で審議が行われ立憲民主党の稲富修二氏は「国民が物価高で苦しむ中、法案の可決が見込まれる状況になったら『唐突』などと言い始めるのは、みずからの怠慢を白日のもとにさらしているようなものだ。委員会で堂々と審議してはどうか」と訴えました。

これに対し自民党の深澤陽一氏は「唐突に国会閉会間近に法案が提出され、十分に審議できないまま、およそ2週間後から法律を施行できると本気で思っているのか。国民生活に混乱をきたすことは必至で『究極のポピュリズム法案だ』」と反論しました。

続いて、記名投票による採決が行われ、井林委員長の解任決議案は、立憲民主党、日本維新の会、国民民主党、共産党、れいわ新選組、参政党、日本保守党、社民党などの賛成多数で可決されました。

自民・公明両党などは反対しました。

これによって、井林委員長は解任され、後任の委員長を選ぶ手続きが取られることになります。衆議院によりますと、委員長の解任決議案が可決されたのはいまの憲法のもとでは初めてです。参議院では2013年に、3人の委員長の解任決議案が可決されています。

野党側は後任の委員長のもとで、法案の審議を速やかに進めたい考えですが、会期末が4日後に迫っている上、参議院では与党側が過半数を確保していることなどから、法案成立の見通しは立っていません。

自民党 坂本国会対策委員長 “野党の横暴”

自民党の坂本国会対策委員長は、党の代議士会であいさつし「野党側が提出した法案は、代替財源も全く考えていないし、ガソリンスタンドの混乱への対応にも答えがなく、法案審議をするレベルにはないと判断した。一方で、井林委員長は、法案提出時や野党側からの委員会開催要求が出た時点で与野党筆頭理事に協議を促していて、全くかしはない。まさに、野党の横暴、多数の横暴と言う以外にはない。会期末まで残り平日3日間というなかでの パフォーマンスは、責任政党としてゆゆしきものであり、自民党は責任感をもって対応していく」と述べました。

立憲民主党 笠国会対策委員長 “暫定廃止せずは怠慢”

立憲民主党の笠国会対策委員長は党の会合で「解任決議案は、おそらく可決できるのではないか。きちんとした形で新しい委員長を選び、その委員長のもとで速やかに法案の審議に入ってガソリン税の暫定税率の廃止に向け最後まで全力を挙げて取り組んでいきたい」と述べました。

国民民主党 玉木代表 “早急に審議入りへ努力”

国民民主党の玉木代表は党の両院議員総会で「去年12月に自民・公明両党と国民民主党でガソリン税の暫定税率を廃止すると決めたのに、これまで廃止せずにだらだら来た。野党側が提出した法案について『急に言われても困る』といった話が聞こえてくるが、暫定税率を廃止しないのは与党の怠慢だ。税金を集めて配る側ではなく納税者の立場に立った政治が実現できるかが問われている」と述べました。

れいわ新選組 高井幹事長 “野党の茶番だが決議案には賛成”

れいわ新選組の高井幹事長は記者会見で「暫定税率を廃止する法案が国会の会期末ギリギリに提出されていて、委員長が解任されて新しい委員長になっても何ができるのかを考えれば野党の茶番だ。しかし委員長が委員会を開会しないことは看過できない。国会は常に熟議を尽くすべきで自民党のあまりにも身勝手な理由で委員会を開かないのはおかしいので、解任決議案に賛成することにした」と述べました。

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