『トラック野郎』公開50周年記念上映 菅原文太さんが生前明かした「愛川欽也さんとコンビ誕生秘話」
ギャグに関してはうるさい愛川さん
文太さんと愛川さんが歌う同作の主題歌『一番星ブルース』は阿木燿子が作詞を担当。ダウン・タウン・ブギウギ・バンドの宇崎竜童が作曲した。挿入歌『トラックドライビングブギ』も同バンドが歌っている。
映画の役柄について、
「キンキンは元警察官で8人の子持ちの運転手で、どこか陰のある男という役。こっちはトラックをぶっ飛ばす単純な男の役で、全く対照的なんです」
こう説明したうえで、文太さんはこんな秘密を明かしてくれた。
「彼(愛川さん)はギャグに関してはうるさいんです。ギャグを考えるブレーンが何人かいて、そこで練ってきて、あれやこれやポンポン出してくる。いいものはどんどん頂いてます」
そして、こう意欲を示したことは思い出深い。
「とにかく東映映画も変わったといわれるようなものを作りたい」
文太さんと愛川さんコンビが繰り広げる破天荒なドラマや、中島ゆたかやあべ静江など毎回登場する人気女優のマドンナとトラック野郎たちのコミカルな絡みが人気を呼び、『トラック野郎』シリーズは松竹の『男はつらいよ』シリーズと同時期、正月とお盆の年2作の公開となり、“トラトラ対決”(トラック野郎と寅さんの対決)と呼ばれた。
暴力団抗争を題材にした深作欣二監督の実録ヤクザ路線『仁義なき戦い』シリーズの山守組幹部・広能昌三というシリアスな役から一転、鈴木則文監督『トラック野郎』シリーズではコメディータッチのトラック野郎を熱演して役の幅を広げた文太さん。
その後も『ダイナマイトどんどん』(1978年)、『総長の首』(1979年)、『青春の門』(1981年)、『わたしのグランパ』(‛03年)など、数多くの作品に出演して日本映画を代表する俳優の一人として大きな足跡を残した。
主演した『仁義なき戦い』で一大ブームを巻き起こした“実録やくざ路線”が勢いを失った折に、正反対ともいえるコメディータッチの『トラック野郎』を提案し、ドル箱シリーズにまで育て上げた大きな功績は、決して色褪せることはないだろう――。
- 取材・文:阪本 良(『東京スポーツ新聞社』元・文化社会部部長)
- PHOTO:共同通信社