アメリカ西部ロサンゼルスでは、トランプ政権の移民政策に抗議するデモの一部が暴徒化し、9日も中心部で複数のデモが行われました。
一部のデモはロサンゼルスの日本人街 リトルトーキョーでも行われ、当局との衝突が起きたということで、日本人観光客も訪れるドジャース・大谷翔平選手の巨大な壁画の前にも多くの警察官などが配置されていました。
事態の鎮静化のため、アメリカ本土の防衛を担当する北方軍は州兵をロサンゼルス市などに配置したのに続いて、海兵隊およそ700人を現地に派遣すると発表しました。
ヘグセス国防長官は「秩序を回復するため」としています。
一方、地元カリフォルニア州のニューサム知事は、過剰な対応だとトランプ政権に対して強く反発しています。
デモはニューヨークやサンフランシスコといった主要都市のほか、南部テキサス州など全米各地に広がっていて混乱の収束は見通せない状況となっています。
LAに海兵隊を派遣へ 移民政策への抗議デモ 日本人街や全米でも
アメリカ西部ロサンゼルスでのデモの暴徒化を受けて、トランプ政権は州兵を配置したのに続いて、海兵隊を現地に派遣すると明らかにしました。
ロサンゼルスの日本人街 リトルトーキョーでも衝突が起きたほか、デモは全米各地に広がっていて混乱の収束は見通せない状況となっています。
アメリカ海兵隊とは
アメリカ海兵隊はイラクやアフガニスタンなど戦地への派遣や、アメリカ国内ではハリケーンなどの被災地での救助や支援活動で知られています。
海兵隊は有事や自然災害などに対応するために組織されていて、2000年代にはアメリカの「テロとの戦い」の名のもとアフガニスタンでの軍事作戦やイラク戦争など戦地に派遣されてきました。
またアメリカ国内では、2005年にアメリカ南部を襲ったハリケーン「カトリーナ」の被災地で自宅に取り残された人たちの救助活動などを行いました。
一方で、アメリカの有力紙 ウォール・ストリート・ジャーナルは、海兵隊が市民の暴動を抑えるため国内に最後に派遣されたのは、1992年に起きた「ロサンゼルス暴動」への対応だったと伝えています。
今回、派遣される部隊をめぐって、北方軍は9日の発表で現場の混乱を収束させたり、適切に武力を行使したりする訓練を受けているとしています。
また、AP通信はアメリカ政府の当局者の話として、隊員たちは防御のためにヘルメットや盾、それにガスマスクなどを備えると伝えています。
一方、カリフォルニア州のニューサム知事は、ニューヨーク・タイムズのインタビューで、海兵隊の派遣について「さらなる恐怖と怒りをあおり、分断を深めることを意図している。挑発行為だ」と非難しています。
テレビ局の記者 撮影中に警察官が発砲したゴム弾を受ける
今月8日、ロサンゼルスで暴徒化したデモを取材していたオーストラリアのテレビ局の記者が撮影中に、足に警察官が発砲したゴム弾を受けました。
この記者に大きなけがはなかったということですが、このときの映像はオーストラリア国内で繰り返し放送されています。
これについて、オーストラリアのアルバニージー首相は10日に「映像はとても恐ろしいものだった。映像を見てもわかるように、報道機関であることは明らかなので、アメリカ政府にこれらについて問題提起した」と明らかにしました。
また、国際的なジャーナリスト団体「国境なき記者団」は、デモを取材していたジャーナリストに対して27件の暴力が起きていて、このうち24件は当局によるものだったとしたうえで、「ジャーナリストに対する暴力が相次いでいることは容認できない。公共の知る権利を実現するためにはジャーナリストが自由に職務を遂行できる環境が必要だ」とするコメントを発表しています。
トランプ大統領「刑務所に収容されるべき」
アメリカのトランプ大統領は、西部ロサンゼルスでのデモの暴徒化について9日、記者団に対し「問題を引き起こしているのは大衆を扇動するプロで、反逆者だ。悪い人間であり、刑務所に収容されるべきだ」と述べました。
また、自身を批判しているカリフォルニア州のニューサム知事について、「ニューサム氏のことは好きで、いいやつだが、ひどく無能だ」と述べて、批判しました。
また、これに先立ちトランプ大統領は9日、SNSへの投稿で、現地に州兵の派遣を指示した自身の判断について、「われわれはすばらしい判断を下した。もし、そうしていなかったら、ロサンゼルスは完全に破壊されていた」として必要な対応だと強調しました。
そして、ニューサム知事について「ニュー・スカム」=新しいクズと呼んでののしりながら、「『ありがとう、トランプ大統領。あなたがいなければ何もできなかった』と言うべきなのに、『必要なかった。平和的な抗議活動だ』とうそをついている」として、ロサンゼルス市のバス市長とともに批判しました。
さらに、トランプ大統領は別の投稿で、「マスクを着用した人々を今すぐ逮捕せよ!」として、厳しい対応が必要だと強調しました。
カリフォルニア州 州兵派遣は違法と裁判所に提訴
カリフォルニア州は9日、トランプ大統領が大統領権限で州兵をロサンゼルスに派遣したのは違法だとして裁判所に提訴したと発表しました。
カリフォルニア州の声明では、今回の州兵の派遣は、州知事の許可もなく、地元警察などの意向にも反したもので、扇動的に事態をエスカレートさせる行為だとしたうえで、「連邦政府の権限を越えている」として、違法と判断するよう裁判所に求めています。
また、州兵の派遣により緊急事態の際に住民を守るために必要な要員が失われたなどとしています。
声明のなかでニューサム知事は「共和党であろうと民主党であろうとすべての知事はこの言語道断の行き過ぎた行為を拒否すべきだ。民主主義の原則を危険にさらすもので、権威主義への一歩だ」と非難しています。
また、州の司法長官は「侵略も反乱もないのは明らかだ。大統領は自らの政治的な目的のために現地で混乱と危機を生み出そうとしている」として、州兵の派遣は不必要だと主張しています。
岩屋外相「日本人の安全確保に万全期す」
岩屋外務大臣は閣議のあとの記者会見で、これまでに日本人の被害の情報はないとした上で「多くの在留邦人や渡航者もいるので、重大な関心を持って事態の推移を注視していきたい。ロサンゼルスの総領事館から注意喚起の領事メールを随時、出しているほか、サンフランシスコでも抗議活動が行われているという情報もあることから、注意喚起を行った。今後とも状況をフォローし、日本人の安全確保に万全を期したい」と述べました。