「実は中国との友好都市提携を断わったばかりで……」 和歌山「パンダ4頭返還」 地元・白浜町長が語る“一斉帰国”の深層
友好都市の関係を……
気になるのは、白浜町と中国側との間でも、以下のようなやりとりが進行中だったことだ。 「昨年以来、県を通じて、パンダの産地として知られる成都市内の、成華区という行政区から、再三、友好都市の関係を結ばないかとの話が来ていました。が、断り続けていたんです。4月には、向こうから共産党の女性幹部が来日したばかりでした。友好都市の話や、白浜からも成華区を訪問してくれなどとのお願いがありました。が、返還の話は全く出なかったですね」 実は大江町長は県議会議員、国会議員時代を通じて、台湾外交がライフワーク。先日は台湾政府から外交功労の叙勲を受けている。今月には、地元の南紀白浜空港から台湾へ、チャーター便を飛ばす企画も控えている。そんな動きも背景にあったのか。 「いや、それが影響してるなんて言えるほど、私自身は大きな政治家ではないですけどね(笑)……。叙勲のパーティーの挨拶で、“私が台湾ばかりやるもんだから、パンダを引き上げられました”と冗談で言ったら、会場はおおいに沸きました」
復活の起爆剤に
いずれにせよ、返還は決まった。先に述べたように、アドベンチャーワールドの年間入場者数は約90万人。白砂の浜・白良浜(しららはま)や日本三古湯のひとつ・白浜温泉などで知られる同町の観光客は年間約300万人だ。パンダ不在の影響が出るのは必至である。 「確かにそうなんです。でも私は、今回の件を、逆に白浜復活のきっかけとして捉えています」 どういうことか。 「もちろんパンダがいなくなるのは大きい。しかし、一方で、パンダがいなかった1994年以前も、白浜は観光の町としてやってこられた、その実績があるわけです。パンダが白浜からいなくなる今、改めて、白浜の魅力とは何かを問い直し、町を活性化させる起爆剤としたい。パンダは素晴らしい観光資源でしたが、それをどう扱うかのボールは常に中国側にあります。そしてそこには必ず政治が絡んでくる。不確定な要素が大きいのです。一方で、白浜には、独自の歴史と魅力にあふれる観光名所がたくさんあり、それは何者にも左右されない、今そこにある町の財産です。先人たちが築き上げた貴重な財産のあり方を見直し、活性化させる。その原点に立ち戻りたい。残念ですが、白浜にパンダがもう返ってこない可能性もあるでしょう。それを見据え、これまでの“パンダ依存”を見直し、“ポストパンダ”の目玉として何がアピールできるのか。今回の件を機に、観光の町・白浜の再生をより一層図っていきたいと思います」 デイリー新潮編集部
新潮社