夫が痴漢で逮捕されると家族に何が起きるか…「性犯罪加害者の家族」1012人が味わった精神的・経済的苦しみ
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■刑法改正で「初犯で実刑」ケースも生まれる 一方で、刑法改正後は撮影罪(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)の他にも、第三者に盗撮画像データを提供する「提供罪」(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)、提供目的で保管する「保管罪」(2年以下の懲役または200万円以下の罰金)、そのような盗撮データを記録する「記録罪」(3年以下の懲役または300万円以下の罰金)、そしてそのデータを送信(ライブストリーミング)する「送信罪」(5年以下の懲役または500万円以下の罰金)が新設されました。 これらの併合罪が成立することで相応の厳罰化となり、クリニックに通院していた対象者のなかにも「初犯で実刑」というケースが出てきました。 加害行為の内訳は、痴漢が40%、次いで盗撮が26%、露出症が10%でした。子どもへの性加害(小児性愛障害〈ペドフィリア〉)が9%、下着窃盗(フェティシズム)が6%、強制性交(現・不同意性交)が3%となっています。 ■一番の悩みは「誰にも話せない」こと 受診した家族に「何に一番悩んでいるか」を訊ねた結果、もっとも多かったのが「誰にも話せない」(297人)ことでした。 次に多かったのが「刑事手続がわからない」(199人)、「被害者への対応」(153人)、「事情聴取が苦痛」(139人)という回答でした。さらに「(インターネットを含む)報道被害」(129人)という回答も見逃せません。これは性犯罪の場合、すぐにインターネット上の掲示板などで加害者の個人的な情報や憶測が書き込まれ、拡散されてしまうためと考えられます。また「外出できない」(83人)という悩みもありました。 加害者家族が求める支援としては、「相談できる場所・仲間」がほしいという声がもっとも多く、399人でした。これも、先の「誰にも話せない」という悩みと呼応します。 次いで「治療機関の紹介」(179人)、「弁護士の紹介」(117人)という声もありますが、これは今後、裁判を控えている家族が多いためです。 「身近な人からの支援」(108人)という回答もあります。事件が発覚したあと、知人や親戚など身近な人にも家族が起こした事件について相談できない窮状の裏返しともいえるでしょう。さらに「経済的な支援」(99人)「マスコミへの対応」(71人)など、現実的な支援の必要性もうかがえます。 このアンケート結果からも、加害者家族は家族が起こした事件についてさまざまな社会的不利益に見舞われ、精神的にも経済的にも苦痛を味わうことがわかります。