アメリカの大学で急増する「AI幽霊学生」問題
カリフォルニア州のコミュニティカレッジでは、AIによって生成された「幽霊学生」が急増し、財政援助の不正取得や管理上の課題が深刻化している。
AIによる不正申請の台頭
コロナウイルスによるパンデミック以降、オンライン学習の普及とともに、詐欺師たちはAIツールを活用して偽の学生アカウントを作成するようになった。こうした「幽霊学生」は今年に入ってからさらに授業に登録し、連邦および州の財政援助を申請することで、制度の脆弱性を突いていることで不安と注目を集めている。
2024年には、カリフォルニア・コミュニティカレッジ学長室が申請のうち約31.4%が不正であったと推定しており、約1300万ドルの財政援助が詐取されたと報告された(San Francisco Chronicle)。
教育者と学生への影響
こうした幽霊学生は、援助金を不正に得るだけでなく、本来の学生が受講できなくなるという弊害ももたらしている。たとえば、オークランドにあるLaney Collegeのジャーナリズム講師エレニ・ガスティス氏は、自身のオンラインクラスの半数近くがボットだったと証言している。
教職員たちは、学生の身元確認や不審な行動の監視といった新たな業務に追われ、本来の教育活動に集中できない状況が続いているとインタビューに答えている(SFGate)。
制度側の対応
このような事態を受け、カリフォルニア州のコミュニティカレッジでは、ID.meなどの本人確認システムを導入し、不正申請の防止に取り組んでいるという(Inside Higher Ed)。
全国的な波紋
この現象はカリフォルニア州に限った問題ではない。全米的にも、教育現場におけるAIの悪用は深刻な懸念となっている。
ChatGPTがローンチされてわずか二ヶ月しか経っていなかった2023年1月時点での調査では、大学生の約90%がChatGPTなどのAIツールを課題に使用していたことが判明していた。さらに大学がOpenAIとパートナーシップを組んだり、New York MagazineではAIを使って大学の課題をこなしている学生たちのインタビューが掲載されてさらに議論が湧き上がるのど、正当な活用と不正行為の境界が日に日に曖昧になってきている。https://www.axios.com/2025/05/26/ai-chatgpt-cheating-college-teachers
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