特集

裁判Plus 司法のリアル

事件や紛争の解決を見届ける司法記者は日々、さまざまな裁判に遭遇しています。司法の現場の知られざるエピソードを報告します。

特集一覧

校長からの「口止め」 証言できない娘 学校は性被害を隠蔽したのか

「学校や町教委は体質を改めてほしい」と訴える母親=群馬県内で2025年4月23日午後3時54分、湯浅聖一撮影
「学校や町教委は体質を改めてほしい」と訴える母親=群馬県内で2025年4月23日午後3時54分、湯浅聖一撮影

 「口外しないですよね」。校長の言葉に母親は耳を疑った。

 群馬県邑楽(おうら)郡の町立中学校で1月に女子生徒にわいせつな行為をしたとして、学習支援員だった男性(69)が逮捕された。

 学校や町の教育委員会による隠蔽(いんぺい)ともとれる対応に、上位組織の県教委が動き出した。

 母親は疑問を投げかける。「学校は子どもを守る場所ではないのですか」

 <主な内容>
 ・「見逃し」から被害拡大
 ・「かわいらしい」「勘違い」
 ・フジテレビと重なる教育委員会

「受験期に騒がれても困る」

 きっかけは目撃情報だった。

 1月22日、「準備室」と呼ばれる校内の小部屋で、学習支援員の男性が生徒と二人きりでいるのを教員が見つけた。

 「何もしていない」

 学校の聴取に男性はわいせつ行為を否定した。

 ただ、生徒は被害を申告し、学校は母親に連絡した。

 「受験期に騒がれても困る」「マスコミはこういう話が好きじゃないですか」

 面会した校長は母親に「口止め」ともとれる依頼をしてきた。

 校長はかつて生徒の兄の学級担任を務め、信頼できる人物だと思っていた。それだけに母親は二重のショックを受けた。

「証言できない」を利用か

 生徒は過去の心理的な要因などで言葉が出なくなる「緘黙(かんもく)症」という病気を患っていた。

 男性は教員を定年退職後、学習支援員として再任用された。生徒への授業は筆談でのやり取りが中心だった。

 学校は町教委に報告したものの、両者とも警察には通報しなかった。

 「対応を協議する」「事実確認に時間を要する」との理由だった。

 「証言ができない娘の特性につけ込んで、隠蔽しようとしているのではないか」

 母親は学校側の対応に不信感を募らせた…

この記事は有料記事です。

残り1498文字(全文2205文字)

全ての有料記事が読み放題

ご登録から1カ月間は99円!!

※会員ページからいつでも解約できます。

※料金は税込です

あわせて読みたい

この記事の特集・連載

この記事の筆者

アクセスランキング

現在
昨日
SNS

スポニチのアクセスランキング

現在
昨日
1カ月