第27話 蛮族王子、エルフの森を訪れる




 遥か格上の魔王を倒す手段はある。


 世界各地に散らばっているメルトレインのような神器を集めるのだ。


 神器は女神が魔王を倒すために女神が作ったもの。

 いわば魔王特効の装備であり、全て装備すれば俺の戦闘力は数倍にはね上がること間違いなし。


 問題はその場所だ。


 ゲームにはメルトレインの他に聖冠と聖鎧、聖盾、聖なる首飾りの四つがある。


 しかし、そのうち聖冠と聖鎧、聖なる首飾りは【ファイナルブレイブ】のシナリオ上でも行方不明の秘宝だ。


 ゲームではレベルを十分に上げた主人公+聖剣と聖盾で魔王を余裕で倒すことができた。


 ならば全てを揃えたら?


 きっと実力差のある魔王も余裕で屠れるのではなかろうか。

 そういうわけで神器の所在をメルトレインに訊ねてみたところ……。



「うむ、神器の場所なら分かるのじゃ」



 やったぜ。


 俺は早速神器の所在についてメルトレインから詳しい話を聞くことにした。



「まず聖盾はエルフの森にあるのじゃ」


「ああ、それは知っている」


「……何故主殿が知っておるのじゃ?」


「細かいことは気にしなくていい」


「んおっ♡ い、いきなり胸を揉むのは反則なのじゃ♡」



 人化したメルトレインの柔らかいおっぱいを揉みしだき、詮索されるのを防ぐ。



「早く続きを話せば可愛がってやるぞ」


「主殿は意地悪なのじゃ……♡ ええと、聖冠は吸血鬼族、聖鎧は竜人族、聖なる首飾りは天使族が守っておったはずじゃ」



 吸血鬼、竜人、天使か。


 いずれもこの世界ではとうに絶滅したはずの種族だが、彼らが滅ぶまで暮らしていた場所なら知っている。


 あくまでもゲームの設定上の話だが、参考にはなるだろう。


 早速向かわねば。











「というわけで取り敢えずエルフの森までやってきたわけだが」


「フットワークが軽すぎるのじゃ」



 メルトレインが冷静にツッコミを入れる。


 いやまあ、バンデッド大帝国は俺がいなくてもホムンクルスたちが回すからな。


 細かいことはクルスたちに任せて、俺はメルトレインと共にエルフたちが暮らしている森にやってきた。


 空気が澄み渡り、森全体が魔力で満ちている。



「さて、早速エルフたちのいる里に向かうか」


「じゃが、主殿。妾は聖盾がエルフの森のどこかにあることは知っておるが、詳しい場所までは知らぬのじゃ」


「俺が知っているから問題はない」



 ただ正攻法で聖盾を手に入れようとすると面倒なことになる。


 聖盾はエルフにとっての信仰対象なのだ。


 更には寿命の違いが原因でエルフたちが過去に受けた迫害により、排他的な思想を持つようになってしまった。


 聖盾を欲しがる主人公たちはエルフたちにとっての敵。


 勇者という理由で主人公ら一行と明確な対立こそしないものの、エルフたちの信頼を得るまで幾つものクエストをクリアせねばならない。


 まあ、つまり何が言いたいかと言うと……。



「止まれ、人間!! ここは我らの森!! 立ち入れば容赦はしない!!」



 勇者でない俺は排除対象ということだ。


 気が付けば弓に矢をつがえて殺意を剥き出しにしたエルフたちに包囲されていた。



「どうするのじゃ、主殿?」


「俺とお前の付き合いも長い。俺の考えていることくらい分かるだろう」


「むふふ、そうじゃな♡」



 メルトレインが人化を解き、聖剣の姿になる。



「な、人が剣に!?」


「何らかの幻術だ!! 構わず殺せ!!」


「我らの森に立ち入ったこと、後悔しろ!!」



 エルフたちが矢を放つ。


 俺は降り注ぐ矢の雨を全てメルトレインで斬り払ってやった。



『敵は殺して全てを奪う、じゃな♡』


「よく分かってるじゃないか」


『まったく。本来ならば魔王を倒し、弱者を救う役目を与えられたはずの妾が弱者を屠らねばならんとは』


「お前が不服なら素手で殺すだけだ」


『むぅ、主殿の意地悪なのじゃ♡ 妾は主殿の役に立てるのは嬉しいぞ♡ すっかり染められてしまったのじゃ♡』



 メルトレインが可愛いことを言う。


 俺は一気に駆け出し、近くにいたエルフの首をメルトレインで一刀両断した。


 エルフたちは目に見えて動揺する。


 そうして生じた隙を狙い、また近くにいたエルフを仕留めていく。



「な、なんだ、こいつ、速っ!?」


「よくも同胞を!! オレがぶっ殺してやる!!」


「連携して仕留めろ!! 敵は一人だ!! 冷静に対処しろ!!」



 エルフたちは必死に抵抗してきたが、今の俺を相手に勝てる者など魔王システィアくらいだ。


 攻撃してきたエルフたちを皆殺しにした後、俺はその亡骸を引きずってそのままエルフたちが暮らす里へ向かった。


 里に辿り着くや否や、弓矢で武装した女のエルフたちがわらわらと出てくる。


 最初に襲ってきたのは男のエルフたちだったが、今度はやたら女のエルフが多かった。

 どうやらまともに戦える男のエルフはもういないらしい。



「俺はお前たちの宝、聖盾を奪いにやってきた。抵抗するなら女子供も容赦なく殺す。投降しても男なら殺すが、女は抱いて俺のものにする」



 俺はエルフたちに宣戦布告する。


 すると、錫色の髪の少女が俺の前に出てきて、俺の要求を一蹴した。



「ふざけた要求。お前に従う理由無し」


「……お前が族長だな」


「如何にも。儂の名はレオノーラ。この森で唯一人のハイエルフ。儂の言の葉こそこの森のエルフたちの総意である」



 彼女の名はレオノーラ。


 見た目こそ俺と同じくらいの少女だが、実際は千年以上生きており、エルフたちを率いるハイエルフだ。


 華奢で小柄な体躯だが、幼子特有のぷにっとした肉付きをしている。


 小難しい言葉を使った話し方をするが、エロシーンでは知性など放り捨てたように喘ぐギャップで人気を誇っていたヒロインだ。


 問題はその格好。


 そもそもエルフ自体、露出度の高い民族衣装を着ているのだが、ハイエルフであるレオノーラは更に肌を露出させていた。


 もう殆ど紐である。



「そうか。ならお前を俺の女にすれば万事解決だな」


「……不愉快。寝言は寝て言うもの」



 レオノーラが殺意を滾らせ、襲いかかってきた。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「即堕ちするんだろなぁ」


エ「それはどうかな」



「フットワーク軽くて草」「エルフたちが気の毒すぎる」「レオノーラが即堕ちするに一票」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。

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