第23話 蛮族王子、皇妃から呼び出しをくらう






「……どうするのじゃ、主殿?」


「どうしようかな……」



 メルトレインが問うてくるが、俺は帝都から送られてきた一通の手紙の内容に考え込む。


 問題はその内容。


 どういうわけか帝都に帰ってきた聖母と皇妃から呼び出しを食らったのだ。



「出向かねば帝国への敵意有りと見なす、か」



 要塞の構造が実は対ネドラを想定していることがバレてしまったのだろうか。


 ここで手紙を無視したらすぐにでもバンデッド王国とネドラ帝国の戦争が始まると思っていいだろう。



「聖母と皇妃、ね」



 俺はニヤリと笑う。


 出向かねば攻めてくるなら、こちらから攻めに行こうではないか。


 そうして帝都へ行く準備をしていると。



「エルト」


「え? あ、母上!?」



 この世界での俺の母、クインディアがいきなり部屋に入ってきた。



「どうして要塞に……」


「アンリから話を聞きました。我が子が大いなる野望を胸に抱くことほど母として嬉しいことはありません」


「うん? えっと、はあ、そうですか」



 大いなる野望って何の話だろうか。


 いやまあ、今からやろうとしてることはある意味大いなる野望かもしれないが……。



「期待していますよ、エルト」



 どこか肉食獣を彷彿とさせるギラギラした笑みを浮かべるクインディア。


 ちょっと背筋に冷たいものを感じる。


 結局、アンリは何やら忙しそうにしていたので顔を合わせる機械がなく、クインディアの言っていた大いなる野望が何なのかは分からなかった。


 分からなかったが、俺は自分のやりたいことをやるだけだ。


 その数日後、俺は帝都へとやってきた。



「お初にお目にかかります。皇妃メイラ様、それから聖母ルイシャ様」


「……そこの椅子に座れ、エルト少年」



 ネドラ城の一室で、俺は皇妃と聖母に謁見した。


 部屋に入ってすぐ俺の視界に映ったのは、椅子に腰かけるドレスをまとった美女だ。


 紅色の長い髪を姫カットにしており、顔立ちがネルカに似ている。

 長身でスタイルがよく、おっぱいはメロンみたいにデカイ。


 彼女こそネドラ帝国の皇妃、メイラだ。


 【ファイナルブレイブ】では攻略すると皇帝の怒りを買い、その状態で魔王を倒すと駆け落ちエンディングを見ることができる。


 いわゆる特殊エンドだ。


 そして、メイラの傍らに侍りながら俺を品定めするかのように見つめてくる褐色肌の金髪美女がもう一人。



「ふぅん? てめーがエルトか? 本当にまだガキみてーだな」



 彼女の名はルイシャ。聖女だ。


 褐色肌と少し毛先が乱れている金髪、全身からムンムンに漂わせている色気。


 気は強いが、面倒見がいい人物である。


 本来は攻略できるキャラクターではなかったが、プレイヤーからの熱烈な要望でヒロインの仲間入りを果たしたキャラだ。


 その見た目から、子供がいないどころか処女なのにギャルママとも呼ばれている。


 攻略することで主人公にめちゃくちゃ甘えてくるし、めちゃくちゃ甘やかしてくる実はバブみの強いヒロインなのだ。


 あとオレっ娘なのもポイントが高い。



「それで、俺は何故お二人に呼び出されたのでしょうか?」


「……少し待て。もうすぐネルカとフェリシア少女も来る」



 ネルカとフェリシアも来る、か。


 その一言で俺は薄々察してしまい、もう力でねじ伏せようかとも考える。


 ゲームでは二人とも終盤まで活躍できる強さだったが、多分全力を出した時の俺の方がもっと強そうだった。


 ……やるか。


 俺はおもむろにメルトレインを抜き、バフ効果で身体能力を底上げする。


 魔力による強化も忘れない。



「っ、てめっ、何を――」



 魔力に敏感なのか、ルイシャが俺の行動に真っ先に気付いた。


 最初にどちらを狙うか決まりだな。


 ルイシャが対処しようと動く前に俺は彼女の胴体に拳を叩き込む。



「っ、かはっ!!」



 肺の空気を無理やり押し出させたので、ルイシャは息ができなくてその場に蹲った。


 遅れてメイラが反応する。



「ルイシャ!? エルト少年、何を――」


「もう俺の正体は分かっているだろう? どうして手ぬるい方法を取ったのか疑問だが」


「っ、これまでの行いを反省し、更正するなら命までは取らないでおいてやろうと思っていたが、甘かったか」



 メイラが腰にぶら下げた鞘から剣を抜く。



「覚悟しろ、エルト少年」


「こちらの台詞だと言っておく」



 メイラは鋭い斬撃を放ってきた。


 メルトレインを手に入れる前の俺では到底敵わないような、素早い攻撃だ。


 俺はメイラの剣をギリギリで回避した。


 そのまま剣を握っているメイラの手首を掴み、軽く捻って剣を奪い取る。



「がっ!?」



 ついでに首に手刀を当て、意識も奪っておく。



「ん? いい剣だな」


『むむ、主殿の剣は妾で十分なのじゃ!! 浮気は許さないのじゃ!!』



 メルトレインが頭に直接話しかけてくる。


 ただの剣に嫉妬するとは、メルトレインも可愛いじゃないか。


 と、その時だった。



「お母様、急に呼び出してどうし――え!? ご主人様!?」


「まあ!! どうしてエルト君がここに!?」



 ネルカとフェリシアがノックもしないで部屋に入ってきた。

 俺がネルカたちに状況を伝えると、二人は突然とばかりに頷いた。



「お母様ったら、ご主人様に勝てるわけないのに……」


「エルト君、怪我はない? まったく、ルイシャ様は乱暴なんだから……」


「というかご主人様を呼び出すとか生意気よね?」


「そうだね、ネルカちゃん。これは『アレ』を使ってお仕置きしないと」



 二人がニヤリと笑い、どこからか奇妙な装備を取り出した。



「……それは?」


「ふふん♡ これはご主人様のご主人様を真似て作った魔導具よっ♡」


「ルナちゃんに作ってもらったの♡ いつでもエルト君を感じていたくて♡ こうやって魔力を流すと本物みたいに熱く大きくなるんだよ♡」



 ルナは何てものを作ったのだろうか。


 いやまあ、美少女たちが俺の相棒を模したモノで美女たちにお仕置きするとか、興奮するけども。






―――――――――――――――――――――

あとがき

どうでもいい小話


作者「次回、リオン(の精神が)死す!!」


エ「デュエルスタンバイ」



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