第15話 蛮族王子、主人公の姉を攻略する
ノレアに続いてルナも陥落。
あとは主人公の姉を攻略するだけで帝国を相手取れる戦力になる。
しかし、問題はその居場所だった。
「どうしましょう……あの子は地下室にこもりきりでいつ出てくるか分からないし……」
「前に出てきたのは半年前なのです」
主人公の姉は滅多に屋敷の地下室から出て来ないキャラクターだ。
ゲームではあるイベントを終え、その次のイベントが始まるまでのごく短い間にしか出現しない仕組み。
仮に俺がそのイベントを進めても彼女が地下室から出てくる可能性は低いだろう。
というわけで。
「力ずくで破ろうか」
俺はノレアに案内させ、地下室へと続く扉の前までやってきた。
扉を見たメルトレインが驚嘆の声を上げる。
「これは、ミスリルなのじゃ?」
「そうなんです。あの子ったら、いつの間にかこんなものを作っていて……」
「姉様は贅沢なのです!!」
ミスリルはレアメタルだ。
【ファイナルブレイブ】では採掘するにも特殊なアイテムが必要で、購入するにも莫大なお金がかかる。
それを集めて扉を作ったのだ。
ルナが言うように、金に厭目をつけない性分なのは間違いない。
俺は早速、ミスリルの扉を全力で殴った。
「む」
しかし、思うように破壊できなかった。
殴った瞬間、拳に乗せていた魔力が離散して威力が落ちてしまったのだ。
「おお、まさか主殿でも破壊できぬとは。相当頑強じゃな」
「……メルトレイン」
「ん? なんじゃ、主殿ぉほっ♡♡♡♡」
俺はメルトレインのおっぱいを少し乱暴に揉みしだいた。
「あ、主殿っ♡ いきなりは反則なのじゃ♡」
「お前が悪い」
メルトレインを頂きへ導いた後、俺は再び扉の前で拳を構えた。
今度はもっと深く濃く魔力を練り上げる。
どうもミスリルには魔力を分散させる性質があるようだが、ならば分散できないほど強靭な魔力を乗せた拳で殴ればいい。
実戦では隙が多いから使わないが、俺の最大火力なら破壊できる。
俺に不可能はない。
「ふんッ!!!!」
もう一度ミスリルの扉を殴った。
すると、今度は魔力が分散することはなく、見事に扉を破壊することができた。
ノレアとルナが俺を称賛する。
「流石はエルト兄様なのですっ♡」
「素敵ですっ♡ エルト様♡」
「ふふん。二人は後で優しく可愛がってやるからな」
「むぅ、妾も優しくしてほしいのじゃ♡」
「……駄目だ。お前は今日一日優しくしない」
「何故じゃ!?」
本人にその意図はなくても俺をムカッとさせたメルトレインが悪い。
それから俺は地下室へと続く階段を降りた。
しばらく長い階段を降りると、そこには公爵家の所有する敷地よりも遥かに大きな空間が広がっていた。
驚いたのは地下室に中が液体で満ちた硝子製の柱のようなものが沢山あったことだろう。
「む? なんじゃ、この柱。中に何か――!?」
硝子の柱を覗き込み、メルトレインがギョッとして飛び退いた。
まあ、そういう反応になるよな。
「エルト兄様!! 柱の中に人がいるのです!!」
「それはホムンクルス、人造人間だ」
「ホムン? 人造……? なぜ主殿はそこまで詳しく知っておるのじゃ?」
「細かいことは気にするな」
「まあ、あの子ったら。昔から錬金術に興味がある子だったけど、屋敷の地下でこんなものを作っていたのね……」
硝子の柱の中で眠っているホムンクルスたちを見ながら歩いていると、ようやく中心に辿り着いたらしい。
地下室のど真ん中にテーブルや椅子、ベッドがポツンと設置してあった。
そのベッドに人が眠っている。
「んっ……んぅ……すぅ……すぅ……」
ノレアやルナと同じ紫色の長い髪をポニーテールにした美女であり、豊満な身体をしていた。
背が高く、おっぱいが大きい。
キュッ括れている腰に加え、太もものムチムチ具合までノレアたちとそっくりだった。
白衣を羽織ったままベッドで熟睡しており、静かに寝息を立てている。
丈の短いスカートやガーターベルトの破壊力は抜群だ。
「あらあら、ユラったら……」
「ユラ姉様、久しぶりに見たのです!!」
ノレアとルナがベッドで眠る美女を生暖かい眼差しで見つめる。
彼女の名前はユラ。
主人公改めリオンの姉であり、作中で大活躍をする錬金術師だ。
その活躍は物語の終盤。
魔王軍と帝国軍が正面から戦い、リオンが魔王を討つためにヒロインたちと敵の本拠地である魔王城へ突撃する。
ここである一定の時間が経過すると、帝国軍は敗北してしまうのだ。
しかし、ユラの好感度を上げておくと帝国軍のピンチにホムンクルスの軍勢を率いて救援にやってくる。
ホムンクルスと帝国で魔王軍を撃退し、主人公は時間制限から解放されるのだ。
そう、そのホムンクルスの軍勢こそ、万が一バンデッド王国とネドラ帝国が全面戦争に陥った時に勝つための鍵。
俺の欲しい力だ。
「主殿、この娘をどうするのじゃ?」
「当然、俺の女にする。お前たちも協力しろ」
「はぁい♡」
「はいなのですっ♡」
ノレアとルナが俺の指示に従い、ベッドで熟睡するユラの服を脱がせる。
ユラは全く起きる気配を見せない。
彼女が目を覚ましたのは、俺の肌がユラと触れ合った直後だった。
「っ、え? え? な、何これ? どういう状況――んんっ♡ え、あれ? ボ、ボク、どうして……♡」
ああ、そうそう。
ユラはいわゆるボクっ娘で、見た目とのギャップがまたそそるのだ。
「あ、そ、そっか♡ これは夢だね♡ じゃなきゃボクが美少年とエッチできるわけないもんね♡ あはは♡」
「そうよ、ユラ♡ これは夢よ♡」
「エルト兄様の女になる、とーっても幸せな夢なのです♡」
「そうだよね♡ お母様とルナが地下室に入れるわけがないし、きっと夢だよね♡」
ノレアとルナがユラの両耳から囁きかける。
ユラが夢ではないと気付いたのは、完全に堕ち切った後の出来事だった。
ごちそうさまでした。
―――――――――――――――――――――
あとがき
どうでもいい小話
作者「ボクっ娘ポニテお姉ちゃんとかよくない?」
エ「……(無言で親指を立てる)」
「メルトレインがかわいい」「ボクっ娘ポニテお姉ちゃん最高かよ」「作者とは気が合う」と思った方は、感想、ブックマーク、★評価、レビューをよろしくお願いします。
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