第70回埼玉母親大会 記念講演「ジェンダー平等を実現するために 私たちにできること」 | 労働組合ってなにするところ?

第70回埼玉母親大会 記念講演「ジェンダー平等を実現するために 私たちにできること」

テーマ:行動報告

2025年は、転換の年です。

今度こそ立憲野党による政権交代を実現し、悪政によって痛めつけられた医療・介護・社会保障を立て直し、防衛費倍増をやめさせて国民生活を豊かにするために税金を使わせ、平和憲法を活かした積極外交を行ない、核兵器禁止条約を批准し、安心して働き続けられる職場をつくるため、行動し、声を上げることを提起します。

そして、戦争・紛争が一日も早く終結し、災害の被災者のための真の復興が行なわれ、世界中の人々が安心して暮らせるようになることを願います。

 

 

報告が前後してしまいますが、5月24日、第70回埼玉母親大会にオンライン参加しました。

そこで行なわれた記念講演「ジェンダー平等を実現するために 私たちができること」の概要をまとめます。

講師は湘南合同法律事務所の太田啓子弁護士でした。

 

太田先生は埼玉県出身で神奈川県で弁護士登録し、様々な仕事をしていますが、離婚と家族関係の相談が8割で、時々会社や官公庁からハラスメントなどの学習会に呼ばれたり第三者委員会の委員を頼まれたりしているそうです。

著書に『これからの男の子たちへ』があり、その出版をきっかけに子育てやジェンダーの講演会へ呼んでもらうことが増えているそうです。この本は、台湾、韓国、タイでも読まれているそうです。

性暴力をなくしたいとずっと考えていて、弁護士の仕事でも性差別に関わる問題が多いそうです。そして、教育から解決しなければならないのではないかと考えたそうです。シングルマザーで、息子2人の子育てをしているので、男の子へどう性差別の問題を教えるかの本がないことに気付いたそうです。

子育て教育で、大人が子どもへ伝えるべきこととして、2つのことがあげられました。

1つは、「らしさの呪い、ジェンダーバイアスから自由に生きてほしい」ということだそうです。「男の子だから~」、「女の子だから~」がないようにということです。息子たちは自分と別の角度で性差別の問題にぶつかると述べました。

もう1つは、社会構造的な差別があるとき、その差別を受けないマジョリティの属性を持っている人たちがそれを自覚してほしい、差別に抗ってほしいということだそうです。

仕事上の経験から、ハラスメント、性暴力事案では、「恋愛」のつもりでセクハラをしている加害者、「セックス」のつもりでレイプしている加害者がいるそうです。「性的同意観」がおかしく、たとえ裁判で負けてもその認識はなかなか変わらないそうです。

離婚事案では、女性との「対等」な関係が嫌な夫たちがいるそうです。たとえば、DV、モラハラ夫の特徴として、妻を罵倒し、非難しつつ離婚を拒否する、弁護士や裁判所の介入を極端に嫌がるということがあるそうです。こうした夫たちは「対等」が嫌で、「上」にいたい、支配したいと考えており、妻が自分を立ててくれないことを「被害」だと感じるそうです。

日本のジェンダーギャップ指数は、2024年で156ヵ国中118位であり、下位の常連だそうです。4つの指標のうち、①健康、②教育では格差が少ないのに対して、③政治、④経済では格差が大きいと指摘しました。これは、重要な意思決定から女性が排除されているということです。

男女間賃金格差は、女性の非正規労働者が多いことも原因の一つですが、正規でも女性は男性の4分の3の賃金しかないそうです。

女性は正規雇用継続が困難であり、20代後半が就労数のピークで、出産で退職するというM字カーブとなっています。家庭の都合で女性の経済力がそがれているということであり、それが離婚の際に補てんされないそうです。

専業主婦は減り、増えたのはパートタイムで働いている妻だそうです。

1985年と2021年を比較すると、専業主婦は減り、パートタイムで働く妻は増え、共稼ぎは横ばいだそうです。

固定的性別役割分業意識は、年齢が上であるほど強い、つまり、支配層、権力を持っている人たちが強いということです。

無償労働の女性への偏りについては、国別データで見ると、日本は女性が男性の5.5倍、スウェーデンは1.3倍、アメリカは1.4倍、韓国も1.4倍だそうです。日本では社会構造として女性の経済力が低くなると指摘しました。

政府もわかっているはずなのに変わらないということが、日本の性差別解消の歩みの遅さにつながっていると述べました。女性の国会議員は衆議院で1割です。1980年代はどの国も女性国会議員は少なかったのですが、政策によって変えてきているそうです。しかし、日本は変えようとするとバックラッシュにあい、変えることができずにいると指摘しました。

参議院は衆議院より女性が多いのですが、それは解散がないからだそうです。

 

子育てで感じる問題は、大人が大なり小なり追っている性差別意識が子どもに再生産されている、無意識に刷り込んでいるということだそうです。

たとえば、「男子ってバカだよね」問題です。「男の子は幼い」としますが、女の子が同じことをすると違った反応をするということです。

性暴力の不可視化、矮小化も指摘しました。「カンチョー」は、セクシャルハラスメントを笑いのネタにする問題であり、他人のプライベートゾーンに触れてはならないということを教えないという問題があると指摘しました。

いろいろな事件の背景にも、性暴力なのに「コミュニケーションだ」、「遊びだ」としていることがあると指摘しました。中学生の男の子が、後輩男子の肛門に灯油用ポンプを差して怪我をさせるという事件や、校長が男子生徒に「電気あんま」をして「コミュニケーションだ」と主張したという事件などがあったそうです。自衛隊で五ノ井さんを押し倒し、何度も腰を押し付けるなどにわいせつ行為をしたにも関わらず、加害者が「笑いを取るためだった」と主張したのも同じ問題だと指摘しました。

大人から子どもへ、性差別的価値観が伝播していると述べました。

『これからも男の子たちへ』の感想で、女性から、「受験に失敗した時に祖母から『女の子は勉強できなくてもいいよ』と言われた」、「兄弟たちはテレビを観ているのに、女の子の自分ばかり『夕食を運んで』と言われた」ということが書かれていたそうです。

中学受験をめぐって、「男は勉強できないとしゃれにならないじゃん?」と言われたということを取りあげ、みんながそう思っているとジェンダーバイアスはなくならないと述べました。

子どもは、親だけでなく、親族、友達、テレビのコマーシャルなどから、そうしたことを見聞きして影響を受けていると指摘しました。

「弱さを見せないのが男らしい」、「男の子は泣かない」など、ジェンダーバイアスを子どもにどう教えるかと問いかけました。

なぜ東大の女子学生比率は低いのかというと、東大を受験する女子学生が好き内そうです。昨年度、男子学生は11,044人、女子学生は2,933人だったそうです。

Toxic Masuculinity、「有害な男らしさ」という概念があるそうです。「自他を害する過剰な男らしさ」は、生きにくさにつながると述べました。

『#ボクは誰も傷つけたくない 男らしさの謎をめぐる冒険』というリーフレットを、ホワイトリボンキャンペーン×ウインズス京都が出しており、ネット上で無料ダウンロードすることができるそうです。

男子学生へは、修学旅行で女湯を盗撮しに行こうと言われたらどうするかと問いかけるそうです。断ると仲間外れになるかもしれないと男の子は悩むそうです。

上智大学の出口真紀子さんは、マジョリティの特権を可視化するということを述べているそうです。数が少なくとも、権力を持っている方がマジョリティであり、特権とは自動ドアのようなものと説明しているそうです。つまり、マジョリティの時は自動でドアが開くのでドアがあることを意識することがありませんが、マイノリティはドアを開けるのに鍵や力が必要であり、ドアがあることを意識するということです。自分には見えにくい壁があることを理解するべきだと指摘しました。

マジョリティの特権を意識している男性を増やしたいと述べました。構造的な特権、差別に無頓着であったことを指摘されるのは居心地が悪いが、そこに慣れる必要があると述べました。

安倍首相の殺害時、在日コリアンの人は「犯人が日本国籍とわかったホッとした」と言っていたそうです。日常的に差別を感じることは少ないが、もし犯人が在日コリアンだったらどんなヘイトが起こったかわからないということです。

原発事故時、子どもに影響があるのではないか、日本に住めなくなるのではないかという不安があり、難民問題が我が事として感じられたそうです。

聴覚障害がある方は、手話通訳がないイベントには行けないそうです。

みんなで変わっていく必要があると述べました。

ある男性弁護士は、女性弁護士が面接で「出産しても働いている女性弁護士はいますか」と毎回聞いているので、「なんで彼女はあんなつまらない質問を何回もするんだろう」と思っていたそうです。

子どもが来年3歳になると言うと、「じゃあ来年は幼稚園ですね」と言われ、保育園と幼稚園の違いがわかっていないのだなと感じたということがあったそうです。

当事者としての男性性を問う、男性からの発信が増えているそうです。

『これからの男の子たちへ』の感想でも、男性から、「自分にも思い当たることがある。自分たちが動かないとこのままずっと差別的な社会を作っている男性の一員であり続けてしまう」、「自分の加害者性に気付かされて辛いが、そこからしか前へ進めない。過去は消えないとしても、同じことは繰り返したくない」ということが書かれていたそうです。

 

以上で報告を終わります。