南海トラフ地震で孤立防ぐ空中通路を 高知・近森病院が新設へCF

森直由
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 高知県の災害拠点病院に指定されている近森病院(高知市)は、市道をはさんで立つ各病棟が南海トラフ地震に伴う津波浸水被害で孤立しないよう、空中通路などを新たに建設する。建設費の一部を補うため、クラウドファンディング(CF)を実施している。

 病院によると、南海トラフ地震では、近森病院がある高知市中心部は最大2メートル程度浸水し、病院の1階や周辺の道路が水没すると想定されている。最悪の場合、患者や職員ら1千人以上が病院内に取り残される事態も想定されるという。

 同病院は市道をはさんで本館と北館などが立っており、浸水時には各建物が孤立する恐れがある。また、現在は本館1階にある薬剤部の浸水も懸念される。常時400人ほどいる入院患者らの薬剤や点滴などを保管しているが、発災直後にこれらを短時間で上層階へ運ぶのは難しいため、移設する必要もあった。

 そのため、「空の架け橋プロジェクト」と題した対策事業を始めた。

 本館に隣接し、老朽化していた立体駐車場を取り壊し、鉄骨造り6階建て(高さ約24メートル、延べ床面積約870平方メートル)の薬剤棟を新設。市道をはさんで北にある北館と、この薬剤棟を約20メートルの空中通路で結ぶ。各建物が一体化され、被災直後でも患者や職員、物資などの移動が可能になるという。薬剤などは薬剤棟の4~6階に保管し、浸水から守る。

 6月中旬から工事を始め、約1年後に完成予定。総事業費は約10億円で、このうち1千万円をCFサイトの「READYFOR(レディーフォー)」で広く募ることにした。

 受け付けは7月31日まで。5千円から寄付ができ、寄付額に応じて、病院見学ツアーやタオルなどのオリジナルグッズの贈呈、寄付者のネームプレートの院内掲示といった特典を用意している。

 病院の広報担当者は「『もしもの時に、この橋が誰かの命を救う』と信じて準備を進めていきたい。CFを通じて、多くの方に、南海トラフ地震への備えについて考えてもらうきっかけにしてほしい」と話している。

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