【独自】元自民党青年局長が「自身への誹謗中傷の開示請求裁判」でX社に逆転負けしていた
一旦は認められた開示請求だったが……
かつて、自民党の「若手のホープ」として脚光を浴び、第54代自由民主党青年局長として将来を期待された藤原崇元衆議院議員(41)が、裁判で負けていた──。 【大ハシャギ画像】やっぱりあった!岸田首相が「息子大ハシャギ公邸忘年会」に「ご満悦参加写真」 藤原氏は岩手県選出の元衆議院議員で、’12年12月の衆院選で初当選。’21年11月には第2次岸田内閣で、財務大臣政務官に就任。’23年9月には、40歳という若さで第54代自由民主党青年局長に抜擢された。この時点ですでに4選を果たしており、自民党内では将来の幹部候補として期待されていた。 しかし、そのキャリアを揺るがしたのが、’23年11月に和歌山県で開催された自民党青年局が主催した「懇親会」だった。 その中で催されたイベントに露出の多い衣装を着用した女性ダンサーが登場。参加者の一部がダンサーの身体を触ったり、口移しでチップを渡したりするなどの行為が行われていたのだ。’24年3月8日の産経新聞のスクープでこのことが発覚。当時、青年局長だった藤原氏は、この会に参加していたにもかかわらず、不適切なショーを止めなかったとして厳しい批判に晒され、同月に、青年局長を辞任した。 そんな藤原氏だが、さらに自身を誹謗中傷するSNS上の書き込みに対し起こした発信者情報開示請求で、X社(旧Twitter社)から手痛い逆転負けを食らっていたことが判明した──。 発端は、X上になされた藤原氏に関する2件の投稿だった。 ’24年3月15日、国会で居眠りしているかのような藤原氏の写真に《ZZZ》《趣味はストリップダンサー鑑賞》といった文字が重ねられ、さらに’24年3月17日には《オナホ(編集部注:性玩具のこと)! 藤原?》《変態バー行き過ぎて脳(編集部注:実際の投稿では絵文字)が狂った? 青年局藤原崇? (笑)》などと揶揄する内容が書き込まれたのだ。 これに対し藤原氏は、自身の名誉が侵害されたとして東京地方裁判所に発信者情報開示請求を申し立てた。一度はこれが認められたが、X社が「待った」をかけたのだ。X社は、この開示命令を不服として異議の訴えを提起したのである。 そして今年5月13日、東京地裁はX社の訴えを全面的に認める判決を下した。当初の開示命令は取り消され、藤原氏の申し立ては却下。訴訟費用も藤原氏の負担となるという、まさに藤原氏にとっては踏んだり蹴ったりの「逆転敗訴」となったのだ。 ◆藤原氏「名誉毀損だ!」vs. X社「表現の自由の範疇!」 5月13日の法廷では、両者の主張が真っ向から対立した。 藤原氏側は《オナホ!》《趣味はストリップダンサー鑑賞》《変態バー行き過ぎて脳が狂った?》といった投稿記事の文言は、自身の趣味や行動について虚偽の事実を摘示し社会的評価を著しく低下させる名誉毀損にあたると強く主張。 一方、X社側は懇親会事件を背景とした皮肉や揶揄であり、投稿の文脈や匿名アカウントの性質から社会的評価の低下は限定的、あるいはそもそも真実として受け止められるものではない。また、公人である国会議員に向けられた政治的批判については、政治的表現の自由として極めて厚く保護され、原則として適法と認められるべき、と反論した。 裁判所は《オナホ!》に関しては、 〈事実を摘示しているとは理解されない〉(判決文より) とし《変態バー行き過ぎて脳が狂った?》については、 〈直ちに被告が変態バーに行き過ぎて脳(絵文字)が狂ったという意味を読みとることはできない〉(判決文より) との認識を示した。ただ《趣味はストリップダンサー鑑賞》という記載については、 〈性道徳的に好ましからぬ人物であるとの印象を与えるもの〉(判決文より) と、政治家である藤原氏の社会的評価を低下させる可能性は認めた。しかし、名誉毀損として不法行為にあたるかという点については、 〈投稿された匿名アカウントの性質などを踏まえれば、名誉毀損として不法行為にあたる程度には社会的評価が低下したとはいえない〉(判決文より) とした。ここでいう「性質」とは、投稿アカウント名の奇抜さやプロフィール欄に陰謀論的な内容が書かれてあることを指す。そういった人物の投稿が真摯とは思えず、また藤原氏の私生活を知る立場を示さないため、信頼性が低いと判断したのだ。 ◆裁判に負けた藤原氏の心境は…… 〈被告が、真実、女性ダンサーのストリップショーに自らの意思で複数回通ったことがあると信用する一般読者はいないか、いるとしてもわずかであるといえ、投稿記事1及び投稿記事2<問題の2つの投稿のこと>により被告の社会的評価が低下したとしてもごくわずかであり、不法行為にあたる程度に至らない〉(判決文より) との見解を示したのであった。 ちなみに、この裁判で最も重要なテーマであったと思われる、「国会議員に対する政治的表現の自由は厚く保護されるべき」というX社側の主張に関しては、東京地裁は判決文で触れなかった。難しい問題なので判断を避けたと思われる。 裁判に敗れた今、藤原氏は何を思うのかーー。情報開示請求を行った理由と判決への見解を聞くべく、藤原氏の事務所に連絡を入れると、本人から折り返し電話が来た。 「言論の自由は当然、尊重しなければいけないのですが、一線を越えたものというか、ラインを大きく越えたものについては、私の法律チームで協議をしてケースバイケースで対応しています。私は公人でしたから、もちろんその点は考慮して、一般人より高いハードルを設定しています。今回の判決に関しては、一般的な判例法理から乖離しているので、控訴して公正な判断を仰ぐことにしております」 X社側にも判決についての見解を求めたが、回答は得られなかった。 懇親会事件で傷ついたイメージを、Xの投稿がさらに悪化させると判断し、藤原氏は法廷に挑んだのだろうが、まさかの逆転負け。選挙落選に続き、法廷でも敗北となった。ネットの荒波に飲み込まれた「トホホ」の結末は、政治スキャンダルの重さを物語っている──。 取材・文:酒井晋介
FRIDAYデジタル