老朽化進む旧松代駅舎、市の解体方針に地元意見二分…「もう管理困難」「駅舎は松代の顔」
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長野市松代地区にある長野電鉄旧屋代線松代駅の駅舎について、市は今年度中に解体する方針を決めた。老朽化に伴う維持管理が難しく、「撤去やむなし」とする地区の自治組織の意見を踏まえたものだ。その一方、「駅舎は松代の顔」と解体に反対する署名活動を始めた住民もいるなど地元の意見は分かれている。市は解体時期や解体後の活用については「今後協議する」としている。(丸橋量太)
老朽化進む
駅舎は木造で、1922年、長野電鉄の前身・河東鉄道(屋代―須坂駅間)開業に合わせて建築された。2012年に屋代線が廃線となってからは、市が譲り受け、バスの待合所として利用されるほか、観光情報の掲示やイベントなどが行われてきた。市によると、老朽化が進み、耐震性にも問題があるといい、今年度計上された約800万円の予算で、駅舎や残存するプラットホームなどを取り壊す予定だという。
駅舎の解体は、隣接する松代城跡の周辺整備とともに検討されてきた。城跡や周辺のあり方について市側と協議するため、住民らでつくる松代地区住民自治協議会(住自協)などは17年2月、検討委員会を設置。城跡周辺の交通量が多いことから、住自協は同年6月、城跡北側を走る国道403号と市街地を結ぶ道路の整備などを求める意見書を市に提出した。
検討委は当初、駅舎の利活用を前提に、市と整備に関する協議を進めてきた。しかし、新設する道路が駅舎周辺を通る予定となったことや、地域で駅舎の移設資金が捻出できず、管理・運営が担えないことを理由に、住自協は21年、「撤去に異存なし」とする意見書を市に提出していた。
話し合い不十分
一方、一部の住民には解体に反対する意見もある。6日に同地区内で行われた有志による意見交換会には約20人が参加。「話し合いが十分でないまま、解体が決まってしまっていた」などの声が上がった。
22年に駅舎建設100周年を祝うイベントの実行委員長を務めた住民(49)は「松代駅は世代を超えてコミュニティーが生まれた場所。駅舎の未来を今一度話し合う場所がほしい」と語った。解体の中止を求める署名を始め、12日現在で1000筆以上集まった。3000筆が目標で、8月中旬をメドに市や住自協に提出するという。
住自協の会長(66)は「残したいという気持ちはわかるが、耐震性や維持・管理の問題もあり難しい。解体の日程など今後については市と協議していく」と話している。
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