【恩納】沖縄科学技術大学院大学(OIST)=恩納村=は12日、課長級の職員が、大学施設の管理や保全業務を受注する会社の関係者から約10年にわたり計約2億円の金銭を不正に受け取っていたと発表した。同日、OISTが会見を開き、第三者委員会の調査結果を公表した。カリン・マルキデス学長は「OISTを支えてくださった皆さまの信頼を損ねる事態と認識している」と謝罪した上で、法的手段を検討する可能性を示した。(北部報道部・比嘉海人)
金銭を不正に受領したのは、OISTで施設の維持管理を担う部門にいたマネジャー。施設管理全般を受託する会社の元取締役から2012~13年ごろから24年12月まで、年間約2千万円を受領していた。金銭は借金返済や遊興費に使ったという。
昨年12月、職員から直接、加藤重治副理事長に報告があり発覚した。OISTは同25日付で、大学の規定に違反したとして職員を懲戒解雇した。今年1月末に第三者委を設置し、関係者への聞き取りを実施した。
調査によると、職員は会社側に、大学が外国人教員の渡航費などを工面するのに困っていると説明し、裏金づくりに協力するよう依頼。OISTが支払った委託業務費の一部をキックバックさせる形で、月150万~200万円を受領したとみられる。会社側は実態のない業務を関連会社に発注して、現金を工面していたという。
一方、第三者委は「OISTが経済的な損失を被ったことや会社に便宜を図った事実は確認されなかった」と結論付けた。会社側の動機を「OISTの業務は大きな売り上げになるため、協力せざるを得なかったと考えられる」とした。
不正が起きた背景に、元マネジャーが長年、施設管理業務を監督する立場にあり続けたことや通報窓口の周知や利用の不足を指摘した。
OISTは、再発防止策として定期的な人事異動や不正行為の早期発見に向けた調査の他、契約に関わる手続きを見直すとした。