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結婚願望0の女が、逆プロポーズするまでの話。|春名風花、結婚しました。

「結婚、する?」

数ヶ月前、まだ付き合ってもいない歳上の男に
私は逆プロポーズをした。彼との歳の差は、17歳。
あまりにも唐突な申し出だ。

その答えは

「ずるい!!僕から言おうと思ってたのに!!」

ーーー

彼とは、5年前に舞台の共演者として知り合った。

しかしコロナ禍のため
5年前:顔合わせのみで中止
4年前:稽古期間途中で中止
3年前:本番2日前で中止

もちろん飲み会等も一度もなかったので
ほとんど喋ることもなく
“顔は見たことがある”くらいの印象だった。

ーーー

親しくなったのは2年前、2023年の秋。

ようやく上演できた
カクシンハン「シン・タイタスREBORN」にて

私はラヴィニアという主演の娘役
彼はバシエイナスという私の夫役で共演したことがきっかけだった。

シン・タイタスは座組全体で仲が良く、
コロナ禍が落ち着いてきた頃ということもあり
全員が、やっと人と話が出来る喜びに満ちていたような気がする。


能楽師やオペラ歌手、落語家等の異なる芸術家たちが集まっていたこの現場では
最近観劇した作品や、気になっている展示などが話題にあがることも多く

子役からの叩き上げで
芸能の仕事に追われてはいたが
自ら”芸を学ぶ”ことが少なかった私には
とてつもなく刺激的な現場だった。

そんな中。

全ての会話についていっている人物がいた。

それが彼だ。

明らかに観てる作品数が違う。
あとジャンルが広すぎる。
作品の解説も上手すぎる。

この人におすすめ作品教えてもらえば
間違いないな。

そう思い、千穐楽の後に、
個人的に連絡をしたのがきっかけだった。

ーーー

しかし、この時点では全く好きではない。

だって怖くない??

常に誰かの”後輩”でも”先輩”でもないポジションを確保し、めちゃくちゃ気が遣えるのに舐められない、隙のない対応をしている人間

サイコパスのキャラ設定やん。

漫画とかだったら絶対裏切るキャラやん。

私はどちらかといえばちゃんと抜けているところのある人間らしい男の方が好きだ。ちょっとゲスくても良いから、嘘がバレバレになっちゃうような不器用な男の方が信用出来る。

こんな完璧爽やか隙ナシ男、
絶対、付き合いたくはない。

ーーー

しかし、おすすめ作品を教えてもらい
共に映画館や美術館に行く度に

「私たち……似てる……??」

と、感じることが増えていった。

気づけばLINEは毎日続き、
夜通し考察を語り合う日々。

特に本の貸し借りをするようになってからは顕著だった。お互いがお互いの貸した本にハマっていく。彼なんかこの期間で10冊くらい新しい本を買っていた。あといつの間にか、おすすめしたアニメを全話観てくれていた。脳みそ2TB搭載かよと思った。

作品を介して、お互いの人生観も語り合った。
友人、家族、好きな場所、生活習慣

結婚願望。

彼に結婚願望があると聞くまで、
私は結婚願望が0だった。

ーーー

私の両親は昔から仲が悪く、
顔を合わせれば喧嘩をしている家庭だった。

20代前半で子どもとマイホームをもった父は
仕事のプレッシャーに押しつぶされ

働くことが好きだったが専業主婦になってしまった母は、産後に誰にも頼れず過ごし

自分自身のことで精一杯だった2人は
お互いの苦しみに目を向ける余裕がなかったのだろう。

2人の苦労はわからなくはないけれど
子どもの立場としてはしんどかった。
早く離婚して欲しかった。

しかも愛あるゆえのツンデレ同士の喧嘩で
お互い、相手が居ないときは大量の愚痴の中にポロポロと、寂しいだの頼りにしてるだの言うのも腹が立った。直接言え。

家にいる時間が長い母に合わせて
父のことを蔑ろにしていたことを
いまでは申し訳なく思う。
まあ父も庇えないくらい酷い喧嘩の仕方をしていたけどね。

そんな父にこの前、ようやく離婚できた感想を聞いてみた。
「一緒に生活をする上では合わなかったけど、一応大恋愛の末の結婚だったから俺らの頑張りがちゃんと子どもに伝わってくれてたのは嬉しいなあ」

それを!!!10年前くらいに!!!
直接、言ってやれ!!!!!

親同士にも、子どもに対しても、愛は溢れていたとは思う。でも、ここに書けないくらいのことがたくさんあった。
好きだけじゃ生活はできないんだなあ、と
痛感する家庭環境だった。

ーーー

彼と結婚観について話し合ってから
私は10年後の自分のことを
具体的に考えるようになった。

34歳の自分は、
どこで何をして暮らしているんだろう。

誰かと共に暮らす想像なんて
これまで全く出来なかったけれど
34歳になっても自分は1人で暮らしているのだろうか。

20年後は?
30年後は?

ただでさえ不安定な俳優という職業で
私はたった1人で暮らしていて、
精神的に立っていられるのだろうか。

ーーー

これまで人間関係には恵まれてきたと思う。

プライベートの人間関係は常に
誘われたら行く!スタンスで狭く浅く、

お仕事の人間関係は入れ替わりが激しいので、
苦手な人はいつの間にか離れていってくれていたし、基本的には優しく思慮深い人ばかりで、
たくさんの方に助けてもらった。

それでも。

10年後、親しくしている人はいるのだろうか?

ふと、彼の顔が浮かんできた。

……恋愛感情なのかは、まだ、わからなかった。
もっと、親友のような感覚で話がしたい。
彼と恋愛的なデートを重ねるよりも、
もっと、こう……。

一度、彼と連絡をとるのはやめることにした。

そういえば、自分から親しくなりたいと声をかけたのは初めてだったかもなあ、と思いつつ。

ーーー

すぐ会った。
すぐ会っちゃった。仕事で。

なんでこんなすぐ、と思いつつ
会ってしまったなら仕方ない、とも思った。

何かしら縁があり、
まだ彼から私は学ぶことがあるのだろう。

久しぶりに連絡をとることになってから、
またしても毎日連絡をとるようになった。
この頃にはもう、それなりに好意を抱かれている自覚があったし、向こうも私から好意をもたれていると思っていただろう。

なるべく彼から連絡が来るのを待ったり
無駄な駆け引きをしてみたりもしたが、
まあ無駄だった。

お互い決定打を踏むことはなく、
ダラダラと連絡をとる日々が続いた。

ーーー

そんなある日。

話の流れで、共に鎌倉へ行くことになった。

デ、デートだ……!!!!!
映画館や劇場、美術館なんかは芸の肥やしのためと言い訳が出来る職業だが、
鎌倉に行こう は完全にデートだ……!!!!!

季節は秋。
肌寒さは感じるが、気持ちよく晴れた日。

鎌倉で美味しすぎる玉子焼きを食べ
神社に行き、海沿いを歩いた。
電信柱に止まっていたカラスが飛び立つ姿に
同時に「お〜。」と言った。
謎のオルゴールのネジをたくさん巻いた。

帰り道はまるで
お互いを意識し始めた中学生のように
照れた大笑いをしながらギクシャクと歩いた。
最後に食べたカレーはとても美味しかったのに
お腹も胸もいっぱいで
ちょっと私の分も食べてもらった。

ここでも決定打の言葉は交わさなかったけど
お互い充分すぎるほど気持ちは伝わっていた。

ーーー

また、すぐ会うことになった。
今度は上野だ。またしても、デートだ。

どうしよう。

付き合ってって、言う?

多分向こうは歳の差を気にして
このまま進まないんじゃないだろうか。

もう、こっちから言ってあげた方がいいよね。

よし、そうしよう。

上野デートのラストのカレー屋さん。
(またカレー食べてる。)

私は切り出した。

「結婚、する?」

「ずるい!僕から言おうと思っていたのに!」

ーーー

そんなわけで、突然結婚することになりました。

なんであのとき交際じゃなく結婚の申し出をしたのか自分でもよくわからないけれど、
彼とは”恋人”としてよりも、
一緒に”生活”をすることの方が楽しそうだと
感じていたから、つい口から出てしまったのだと思う。

実際、結婚を前提に交際することになってから
同棲をはじめたが最高に楽しかった!!!!!

これが

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こうなった。


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まさか、人生で、弟以外の前で
自分が突然踊り出せる日が来るとは思わなかった。

なんせ彼は気が利くのだ。

テレビの生放送で過去のことを話したとき、
辛い出来事もなるべく、辛い顔をせずに話そうとしていた。SNSのコメント欄では「なんでこの女、ヘラヘラしてんの?」と書かれた。

知り合いの中で彼だけが、泣きそうだったことに気づいてくれた。
(ファンの方で、気づいてくれていた人もいた。見ていてくれてありがとう。)

仲良くなってからは私の全出演舞台をもちろん自腹で観にきてくれて、仕事が被っているとき以外のテレビ放送等も全部観て感想をくれた。

同棲をはじめた理由も
「風花は食事を抜きがちだから、作りにいくね!」という私の食生活改善のためだった。

何も話さなくてもわかってくれるくらい
私のことを見ていてくれるので
逆に全てを共有できると信じることが出来て
めちゃくちゃ話したくなるし
めちゃくちゃボディーランゲージしたくなる。
求愛ソングも求愛ダンスもなんでも出来る。
(まだ、おならは出来ない。)

こんな風に書くと歳の差的に「父親代わりで……」みたいに書かれるんだろうなあと思うけど、こんなに出来る父親がいたら連れてきてほしい。もうそれは人として立派なことなんだから、1人の人として好きになるのに充分な理由だと思う。
(あと私だってちゃんと家事してるからね……!!彼が食卓で羽ばたいてくれちゃうくらい美味しいご飯作ってるからね!!)

ーーー

最初の印象の

常に誰かの”後輩”でも”先輩”でもないポジションを確保し、めちゃくちゃ気が遣えるのに舐められない、隙のない対応をしている人間。

という姿を私は

「出来すぎてて胡散臭い」「サイコパスのキャラ設定」「8話くらいで裏切るキャラNo. 1」
と捉えていたけれど

一緒に暮らしてみてそれは
彼にとって”当たり前”のことを
”当たり前”にしていただけ なんだと実感した。

だって、荷解きをしながら

「あ!これ𓏸𓏸さんにあげようと思ってたヤツ!」
「これは××さんに△△のときに貰ったヤツで、××さんっていうのは△△って作品でご一緒した素直で可愛い子でね」
「これは何年に貰った寄せ書きで、この年はこんな事があって……」

めっちゃ情報多い。
全部解説してくる。
持ち物ほぼプレゼントやん。
2年間会ってない相手へプレゼントする予定だったやつ箱のまんま出てくる人いるんだ。
それはもう自分の物にしちゃいなよYOU。

「大事にしてて偉いね……」
「ふっ。プレゼントしようと買ったのに渡せてないところも可愛いでしょ。明日久しぶりに会えるから渡す!」

やかましいわ。
渡せそうで良かったね。

ーーー

彼の友人に

「こんなに良い人、モテそうなのになんでいままで拾われず落ちていたんですか?」

と聞いたところ

「演劇バカだから……」

と返された。
可哀想なものを見る目をしていた。

「拾ってもらえて良かったね」

と友人に言われた彼は

「ありがとう!」

と輝く笑顔で返していた。
うん、確かに、バカそうだ。

東大出身の頭脳でも生来の素直さは隠せないらしい。彼のマメさや気遣い、器の大きさは素直に
”人が好き”という想いからきていた。

ごめんね、胡散臭いとか思ってて。

多分、本当にバカなのは私の方だったよ。

彼は素直な人だけど、鈍感なわけじゃない。
悪意ある言葉や態度には気づく人だ。
私が最初、胡散臭いと少し距離をとっていたことや、わざと冷たい言葉を言ったことにも気づいていたはずだ。

それなのに、私のことを”優しい人だ”と言って根気強く接してくれていた。きっと誰にでも100%の悪意をぶつけられない限り、こうして向き合ってくれるのだろう。

モテそうなので
「浮気したら社会的に抹殺しますよ!」と
脅してはいるのだけれど

正直彼が人から好かれるのは当たり前だと思うので、そんなハラハラするような未来が来たとしても今、一緒にいたいと思えるし

彼が要介護状態になったとしても支えられるくらい自立していたいと思う。

(このことを彼に話したら、
「僕たち新婚だよ……??なんの心配をしてるの……??愛、足りない……??僕も現役だしまだまだ稼げるよ??」と子犬のような顔をしていた。
「お皿洗っててハグができないけど信じて……」と言われた。ごめんね、私に油汚れをとれる腕力がなくて……。)

ーーー

ここまで私たちの芸能活動を
応援し、支えてくださったみなさま。

長〜い惚気話を読んでくださったみなさま。

本当にありがとうございます。

18歳くらいになってから
こんな私でも”女性”として応援してくださっている方もいて、公表するかは正直迷いました。

長く応援してくださっている方は
配信などで現状を知っているとは思いますが……
私は母の事業を手伝う関係でアイドルイベントに出演等もしており、そこで初めて知ってくださった方にとっては更に衝撃的だったかもしれません。

しかし、自分自身のこの先の人生のため。
私にとって彼の存在が必要不可欠で。

芸歴24年の24歳。小学生のときから。
いや、人によっては赤ちゃんモデルのときから。
家族のように見守ってくださっていたファンのみなさまには、私にとっての大きな人生の転機を
ちゃんとお話したいと思いました。

ちょっぴり、いやだいぶ恥ずかしいし、
少しだけしか読まずに嫌なことを言ってくる方も多いと思うので
しばらくしたらこの記事はワンコインくらいの有料にしてしまおうと思っています。
(ほら、嫌なこと言ってくる人は大体無料の情報しか読まないからさ。)

たくさんの方に生かされて
私は今、死なずに済んでいます。

そして、新たに、
みなさまが応援してくださっている想いと
同じ熱量で応援してくれる家族が出来ました。

ChatGPT並の肯定語録をもっていて
私の人生を支えてくれています。

彼の前ではたくさん泣いて苦しめるからこそ
みなさまの前で笑顔で戦うことが出来ます。

まだまだ脆くて弱っちい自分だけれど
いつかいろんなことを許せて
いろんな愛を伝えられる強い人になって

この先の人生も、素敵なみなさまの人生と、
素敵な作品のお力添えが出来るような役者として活動出来るよう、精進して参ります。

引き続き応援していただけたら幸いです。

ご高覧いただき、
誠にありがとうございました。

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岩崎MARK雄大&春名風花


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2025.6.14

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Photo:近内拓也さん


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コメント

13
ノリ
ノリ

おめでとうございます。
広島でも舞台やってほしいです‼️

nyamisenjyu
nyamisenjyu

ご結婚おめでとうございます!
はるかぜちゃんがずっとずっと幸せでいてくれたら嬉しいです。
これからもますますご活躍を!

らむっくす
らむっくす

ご結婚おめでとうございます!相手の前で踊れるような結婚は幸せしかないです。嬉しいです。

山我一人
山我一人

結婚おめでとう。
お相手、めちゃめちゃいい人だね。(^^)/

最近仏教勉強していて実感していること。
思いは言葉に。
言葉は行動に。
行動は習慣となりその人となる。

繰り返しだけど思うことは言葉となる。
そしてことばには力がある。
どういう訳だか不安は現実化する。
「わたしは幸せになる」という言葉もまた現実化する。
悲観は感情、楽観は意志。
不安な言葉を避け、常にポジティブな言葉を心がけることや
楽観を心がけることは思ったよりもずっとずっと大事。(^^)

日本は死んだらお陀仏の仏教国。
仏教バカにしないでね。
南無阿弥陀仏はインチキで南無妙法蓮華経が本物の仏教だからよろしくね。

末永くお幸せに!(^^)/

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結婚願望0の女が、逆プロポーズするまでの話。|春名風花、結婚しました。|春名風花🌸
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