東京で“博多うどんブーム”でも独自路線を貫く「牧のうどん」 畑中社長が明かす「遠方には出店しないこだわり」「食べても減らない魔法のうどんの秘密」
「本店から車で1時間半以内」のみに出店の理由
うどんにかけたスープは麺に吸われてすぐなくなってしまうので、昔は従業員がスープ入りのヤカンを手に持ってお客さんの間を注ぎ足して回っていたという。今もうどんの提供時にスープ入りの小さなヤカンを添えるのが牧のうどんの流儀である。 そんな独自の麺は茹で加減を「かた」「中」「やわ」から選ぶことができる。茹で時間は「かた」が約8分、「中」が約30分、「やわ」が約40分かかる。それでも客を待たせることなく、最もおいしい釜揚げスタイルで提供できることも他店にない大きな武器だ。 「『中』を頼んだお客さんを30分待たせるわけにはいかないでしょ。うちではお客さんがいてもいなくてもずっと麺を湯がき続けます。そうすると必ずロス(売れ残り)が出ますが、製麺所時代から近所のスーパーや病院などにロスを卸すルートがあるので、お客さんがいつ来ても大丈夫なように麺を湯で続けられるんです」 ごぼう天、かきあげ、まる天など豊富なトッピングや、かけうどん370円という良心的な値段設定、従業員の明るい雰囲気も愛される理由だ。味わい深いスープや病みつきになるやわ麺、釜揚げスタイルの全国展開を望むファンも多いが、牧のうどんには、「本店から運搬車で1時間半の範囲内にしか店を出さない」という不文律があるという。 「どの店でも同じ味を楽しんでいただけるよう本店で一括してだしをとっていますが、スープの風味を劣化させないため本店から1時間半以内で行ける地域にしか出店しません。 それに本社がある糸島市や福岡市は人口が増えていますが、それ以外の地域は人口が減っています。そうした地域では売り上げが得られないというより、従業員を確保することが難しい。結果として、本店から1時間半以上かかる地域には出店していません。だから、牧のうどんは地元で食べるしかないんですよ」 福岡発祥のうどんが東京を席巻するなか、“最後の刺客”とも呼べる魔法のうどんを味わいたければ、福岡に行くしかないのだ——。 関連記事《【物価高でも経営堅調】「牧のうどん」商社出身2代目社長が語る経営ビジョン 仕入れ値を抑える交渉術の秘密、運用益1億円を全従業員に特別ボーナスで還元したワケ》では、人口減少エリアを含む九州北部という地方限定出店ながら、売り上げを伸ばし続ける同社の経営方針について、畑中社長が詳しく語っている。 取材・文/池田道大(フリーライター)
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