<連載「措置入院のはざまで」⑥>全6回
措置入院のはざまで苦しむ人たちはこの社会に確実にいる。6回連載の最終回は、社会でできることについて考える。
◇ ◇
◆被害者と加害者に分けて論じる危うさ
連載前半に登場した夫婦で逮捕され、妄想性障害として措置入院に至った2人にも、後半で取り上げた殺人事件などの遺族や被害者の話を聞いてもらった。措置入院など精神医療につながらなかった人物が加害者になった事例だ。夫婦は「本当にお気の毒ですね」と被害者らに思いを及ばせつつ「一つ一つのケースは違う」と言う。
事件を被害者側と加害者側とに明確に分けて論じることは分断を生むなど危うい面がある。
新聞記者をしていると圧倒的に被害者に接することが多かった。だが、社会福祉士や精神保健福祉士の資格を得てからは、支援が必要な加害者や、加害者に陥る可能性がある人と話すことがかなり増えた。両者の間を行ったり来たり、どうしたら誰もがもっと生きやすい社会になるのかと、結節点を探ってきた。
◆法の趣旨を問い直すことが必要では
「医療観察法と被害者の会(がじゅもりの会)」代表の大森真理子さん(57)は、「精神疾患がある加害者を手厚く治療することや社会復帰することに...
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