神奈川県は13日、県立の知的障害者施設「中井やまゆり園」(中井町)の利用者宛てに、脅迫文が届いたと発表した。県立施設で特定の利用者に危害を加える内容が送られてきたケースは、記録が残る2019年度以降初めてという。県警が脅迫容疑などを視野に送り主の特定を急いでいる。
捜査関係者などによると、利用者の男性宅に5月22日付の消印ではがきが届き、赤いペンで大きく「シネ」と書かれていた。男性の健康状態をやゆするような記載もあった。差出人は特定の男性職員の名前になっており、県警は何者かが職員をかたった可能性もあるとみている。
園は防犯体制を強化しており、「警察と連携し、園の利用者とその家族の安全確保に全力で取り組んでいる」としている。
同園は県の直営施設。社会福祉法人が指定管理する別の県立施設「津久井やまゆり園」では2016年、元職員が利用者ら45人を殺傷する事件があった。 この事件で殺人罪などで起訴され、死刑が確定した元職員は裁判で「意思疎通が取れない人は社会の迷惑」などと障害者への差別発言を繰り返した。これを受け、県は「当事者目線の障害福祉推進条例」を制定するなど、共生社会の実現に向けて取り組んできた。
報道陣の取材に応じた黒岩祐治知事は「本当に残念でならない。(差出人は)いかに卑劣な行為かを理解してほしい」と語った。【蓬田正志、横見知佳】
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