なぜだ?米品薄のはずが、突然店頭に「米が山積み」「おかしい」の声…進次郎農相、大手柄!そして「悪いのは誰?」
政府の市場介入に一定の効果
この不可解な銘柄米の再登場と時を同じくして、米の卸売業者間の取引価格、いわゆるスポット市場の相場が急落した。6月5日の朝日新聞は、随意契約(入札でなく、政府が話し合いによって行う契約のこと)で備蓄米を市場に供給し始めたことが影響し、コメの卸売業者間の取引価格が前の週に比べて1割前後下落したと報じた。 具体的には、それまで高値を維持していた銘柄米の取引が鈍化し、価格が下がり始めたのである。さらに、6月7日の時事通信によれば、進次郎大臣就任直前の5月21日と比較して、主要銘柄の業者間価格は2割近くも値を下げたという。同報道において、市場関係者は、比較的安価な備蓄米が市場に出回ることで、これまで高値であった銘柄米の需要が弱まると見込んだ一部の業者が、抱えていた在庫を慌てて処分しようと一斉に売りに出たのだろうと分析している。
「持続的な価格の低下は期待できない」
実際に、それまでスポット市場で積極的に買い付けていた有力な卸売業者ですら、2024年産の米を手放す動きが見られたという。この価格急落は、政府の備蓄米放出という市場への介入が、少なくとも卸売市場の価格形成においては、短期間で一定の効果を上げたことを示している。しかし、これはあくまで卸売段階での話であり、最終的な小売価格への波及や、その持続性については、依然として不透明な部分が残る。 しかし、このような市場の動きに対して、懐疑的な見方も存在する。キヤノングローバル戦略研究所の山下一仁研究主幹は、5月25日のPRESIDENT Onlineへの寄稿で、備蓄米を5キロ2000円という低価格で供給したとしても、日本全体のコメの価格には限定的な影響しかなく、本質的な価格引き下げのためには、長年続いてきたコメの生産調整(減反政策)を廃止し、輸入米にかかる高い関税を引き下げる必要があると強く主張した。山下氏は、JA農協が農家に支払う米の仮渡金(概算金)が既に高い水準で提示されている現状を指摘し、JA農協は備蓄米が市場に供給されたとしても、それに見合う分だけ自らが卸売業者へ販売する量を減らすことで、市場全体の供給量を変えずに高い米価を維持しようとするだろうと予測した。この論考は、政府による備蓄米の放出が、一時的な特売セールのような表面的な効果しか持たず、JA農協を中心とした既存の流通構造や価格決定の仕組みそのものが変わらない限り、持続的な価格の低下は期待できないという、悲観的な見通しを示している。