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<インタビュー>大森元貴、3rdデジタルシングル『絵画』で “おでかけ” した場所から見た自分自身とMrs. GREEN APPLEの今

インタビューバナー

Text & Interview: 岡本貴之

 Mrs. GREEN APPLEのフロントマン、大森元貴が5月28日に3rdデジタルシングル『絵画』をリリースした。バンドがメジャーデビュー10周年を迎えるなか、リリースもライブも活発に行い、スケジュールがぎっしり詰まっているであろう最中のソロ楽曲のリリースは、異例中の異例。ただ、それこそがチャートアクションなども含め音楽シーンで数々の通例を破ってきたクリエイター・大森元貴の真骨頂なのかもしれない。ソロ作品発表の意図から始まり、ソロアーティストとして俯瞰的に見た自分自身のこと、Mrs. GREEN APPLEのこと。あらゆる角度から存分に語ってもらった。

──最初に少し、先日ビルボードジャパンが発表したチャートの「リカレントルール」についてお話させてください。これは本国ビルボードが行っているルールを参考に、日本独自のポイント減算を導入して、チャート上で新しい音楽に触れてもらう機会をより多く作るという狙いがあります。過去にリリースされたMrs. GREEN APPLE(以下:ミセス)の楽曲を今も聴いているリスナーが多いので、皆さんの旧譜への影響もあるとは思いますが、この新ルールについて、どのように感じられましたか?

大森元貴:リリースから1年も経てば、順位が下がっていくのが普通ですよね。「ライラック」も普通に考えたら下がって当たり前だと思います。このルールが導入されて、どうなるかっていうことですよね。

──大森さんのXでのコメントも、きっと熟慮した上で投稿されたんだろうなって。

大森:僕らのファンは若い人が多くて、10代の子たちには音楽に対するアンテナを張り巡らせてほしいっていう気持ちで、敢えてああいうことを書いたんです。そうすると「これってどういうことなんだろう? 大森さん、何言ってんだろう?」って関心が湧くじゃないですか? たぶん、あれをやらなかったら、チャートのことや音楽のこととかに無関心なまま過ごす10代がいるかもしれないし、それはちょっとなんかな~という思いがあったので、そういう意図で投稿したものでした。

──なるほど、ありがとうございます。では3rdデジタルシングル『絵画』についてお伺いします。リリースされて1週間ほど経ちましたが、みなさんの反響をどう感じていますか。

大森:ソロ活動は、自分の心身の健康上、やるべきことだと思っていたんです。というのも、やっぱりミセスって“土俵で戦ってる感覚”がすごくあるんですよ。作品の届け方やバフのかけ方が、ミセスはちょっと特殊で。どっちがいいとか、良し悪しの話じゃなくて、いち作家として、より健全にナチュラルに、何も考えずに楽曲を作れる場や時間を設けることは、僕の趣味としても必要なものだったので、それをソロでやりたいという話を何年か前からずっとしていました。ちょうど去年のFCライブツアー【The White Lounge】の最中に「絵画」ができて、「これはソロの曲なので、ソロの座組みをどうか作ってください」ってスタッフに送ったんです。楽曲がずいぶん前にできていたので、今はやっと届いてよかったなという感覚です。

──【MUSIC AWARDS JAPAN】での受賞スピーチで、初日も2日目も「僕は曲を作ることが好きで」ということをおっしゃっていたのが印象的でした。先ほど趣味という言葉もありましたけど、それぐらい好きな曲作りの中で、ミセスで出したい曲とそうじゃない曲は自然と分かれてくるのでしょうか。

大森:分かれてきますね。シェフが人のために出す料理と、家で自分のために作る料理の違いみたいな感じ。好きというか、僕の中では“必需品”みたいな感覚で、「食べるのが好きです」って言うのと変わらないですね。

──それで言うと、「絵画」もただただ、こういう料理を作って食べてみたかった?

大森:作家として「こういう曲を書いてみたいな」っていう思いもありましたし、いざ作り始めてみたら「こういう曲になっちゃった」っていうのもあります。ミセスが今これだけ活動する中でソロ活動も走らせるって、意味わかんないですよね。でも、意味わかんないことをやってみようか、みたいな(笑)。

──ミセスのシングル「breakfast」のリリース翌日に、このソロのインタビューをしているこっちも意味がわかってないです(笑)。

大森:でしょ? それも面白いなと思ったんです。普通、(ミセスの活動の)間を縫うところを、敢えて縫わないでほしいってお願いしたんですよ。

──そんな中でリリースされた「絵画」は、そもそもどういう発想で生まれた曲なのでしょう?

大森:「絵画」は2023~2024年を跨ぐタイミングで書いたもので、ちょうど『紅白』に出させていただいたり、『レコ大』の裏でミセスのツアーも同時進行でやっていたりと、表に出る機会がすごく多かった時でした。自分のコアな部分、内省的な部分というか……何も隠さずにストレートに言うと、奉仕や消費される感覚じゃない、“自分のための音楽”を作っておかなきゃって思って、筆を走らせたんです。出来上がった時に、僕も「ああ、こんな曲になったんだ」「へえ、『絵画』って言うんだ」みたいな、ちょっと客観的な感じがあって。すごくチルでメロウで、ミセスにはない感じだったので、「これは絶対にソロで歌うべきだ」と思いました。

──書いたご自身でも不思議な感覚がある?

大森:「いざ作ってみたら、こうなった」みたいなことは、ミセスでも結構多いです。僕は楽曲を作る時間内で歌詞を考えたいので、普段はあまり考えないんです。なので、すごく短時間でグッと集中して作った歌詞を終わった後に読み返すと、「ああ、こんなこと書いてんだ」って思うことが多いです。

──冒頭の歌詞を聴くと、メロディーに対して言葉をつぶやいてそのまま作っていったのかなという感じを受けます。

大森:口からフッと出た感覚とか、譜割りとか口心地、歌い心地みたいなものを優先して書いた気がします。


──大森さんはトラックから曲を作ることも多いようですけど、「絵画」についてはいかがですか。

大森:トラックから作っていったというよりは、音色に導かれた感じはありますね。冒頭のピアノでもない、ギターでもない不思議な音色をポロンと弾いて、そこからのイメージでなんとなくコードをさらっと歌ったら、ああいう歌詞になっていったので。メロディーが先行する瞬間もあれば、トラックが先行する瞬間もあって、本当に同時進行で作っていきました。

──最初はインダストリアルというか、機械的な冷たい印象を受けたんですけど、聴いていくと血が通ってきますよね。

大森:「冷え切った部屋に1人」というイメージがあって、それが虚しくもあり温かくもあるみたいな楽曲というか、自分で自分を抱きしめてあげる楽曲だと思っています。その虚しさと安心する感覚が交錯する中で、コーラスワークを自分の声でしっかりと入れることで、「結局、自分の話でしかない」みたいなところに繋がるようにしたいとは思っていました。温かみが増していくんだけど、結局、冒頭と歌っていることはなにも変わらないみたいな。切なさと同時に安心もできるような楽曲にしたいという思いは、ふらふらと寄り道しながら作っていく過程で生まれたかもしれないです。この曲は頼まれて書いたわけでもなく、自分が必要だと思って書いた“自分から発信する楽曲” なのに、僕も割と客観視しているんですよね。

──タイアップがあって作る曲は、そこに向かっていけると思うんですけど。

大森:僕はタイアップで楽曲を作るのも大好きなので、ミセスとは逆のことをソロでやっているとは伝わってほしくないんです。例えるなら、仕事から帰ってやる趣味が、たまたま1本化されている感じ。仕事と趣味が同じで、音楽を始めたときから変わらずに音楽作りが自分にとって必要なものっていう。

──お題のない、さらにソロになると大森さんの音楽はこうなるんだっていうのは、ファンのほうが「絵画」で一番感じることなんじゃないかと思います。

大森:僕の中でミセスは交感神経で、ソロは副交感神経だと思っているんですよ。すごくドキドキ・ワクワクできるものがミセスで、安心してホッとできるのがソロみたいな、そんなニュアンスなんですよね。どちらも同じ人からなる自律神経である感覚です。

──それはおもしろい感覚ですね。ただ、ホッと安心できる副交感神経的なソロ曲でありながら、これを表現する上でダンスを見せたかったのは何故なんでしょう?

大森:曲を作っている間も、完成して改めて聴いてみても、どうしてもステップを踏んでる自分しか想像できなくて。「うわ、最悪だ、思いついてしまった!」みたいな(笑)。

──思いついたからには、絶対やらなきゃいけないわけですね(笑)。

大森:そうです、それ以外の選択肢はないので(笑)。4年前に出した「French」はコンテンポラリーで、「Midnight」はヒップホップダンスだったので、それとはまた違った、例えばジャズダンスとか、アクティングとダンスが上手くグラデーションされているような、どこが振りでどこがアクティングか分からない振りにしてほしいっていう話を、s**t kingzのkazukiさん(振付担当)にさせてもらいました。初めからこのイメージだったんです。

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