「ラブラブだった」検察庁内の噂は"海外"にも…性暴力訴えた女性検事への二次加害、元同僚が証言
●被害者がAさんと知り「うわさは嘘」と確信
田中さんは状況を飲み込めないまま、2024年9月に帰国。すぐに認識を一変させる出来事があった。 大阪高検での勤務を再開した10月、Aさんから「お会いしたい」と連絡があり、仕事部屋で久しぶりに対面した。 憔悴しきったその姿を見て「何があったの?」と尋ねると、Aさんから「北川事件の被害者は私なんです」と明かされた。 性犯罪捜査の経験が豊富で、関連の著書もある田中さんは、Aさんが話す当時の状況やその後の経緯が当事者にしか語れない一貫性のあるもので、裁判であれば信用性が高いと評価される内容だと感じられたため、「前に聞いたうわさは真っ赤な嘘だった」と確信したという。
●検察庁内で影響力を持っていた北川氏
社会正義の実現を目指すはずの検察庁で、なぜ被害をうったえた側への誹謗中傷や根拠のないうわさが広まったのか。 考えられる事情の一つとして、田中さんは次のように説明する。 「北川氏には歴代の検事総長、現職の幹部など検察幹部に多くの知り合いがいて、検察内部で絶大な影響力を持っていました。 そうした北川氏の人間関係のつながりが、彼に有利な情報が広まりやすい状況を生んだのかもしれません。Aさんの人となりを知る人間以外は、北川氏に同情しやすい状況になってしまったのだと思います」
●「Aさんが虚偽供述する動機、まったくない」
そもそも、北川氏とAさんとの間には圧倒的な立場の差があった。また、被害を申告するまでに5年以上の歳月が経っている。さらには、返す必要のない"賠償金"をAさんは北川氏につき返したとも明かしている。 こうしたAさんが置かれてきた状況を踏まえたうえで、田中さんはこう強調した。 「何より彼女には虚偽供述をする動機がまったくありません。北川氏を告発して良いことなど一つもない。検察官としてのキャリアが潰れるに等しく、マイナスのことしかありません。 特に北川氏は、いずれ検察のトップ4に入る大阪高検の検事長(高検のトップ)になることが確実視されていた人物です。そんな人に逆らって良いことは何もないのです。 『地位を利用した性犯罪が起こる職場の環境に問題がある』という自覚を検察庁が持たなければ、今回のような事件を根絶することはできません」
弁護士ドットコムニュース編集部