「ラブラブだった」検察庁内の噂は"海外"にも…性暴力訴えた女性検事への二次加害、元同僚が証言
大阪地方検察庁のトップだった北川健太郎氏による部下への性暴力事件をめぐって、被害をうったえた女性検事Aさんに関する誹謗中傷やうわさ話が北川氏の逮捕直後から検察庁内で広まっていたことがわかった。 【直筆書面の写真はこちら】「私にとってあなたは恋愛の対象でした」…大阪地検トップが部下の女性に送った全て 今年3月まで検察官として勤務していた検察庁の元職員が取材に応じ、在職時に「被害者の方が北川氏にラブラブだった」という事実無根のうわさを聞いたことがあったと明かした。 被害者に対する「二次加害」について、検察庁が十分な対策を取らなかったとして、Aさんは「組織として被害者を軽視する実態がある」と第三者委員会による検証を求めている。(弁護士ドットコムニュース・一宮俊介)
●北川氏は無罪主張、情報漏洩の副検事は不起訴に
北川氏は大阪地検のトップである検事正だった2018年9月、当時住んでいた大阪市の官舎で、部下のAさんに性的暴行を加えたとされる。 Aさんは5年半後が経った2024年春に被害を申告。北川氏は同年6月に準強制性交の疑いで逮捕され、その後、起訴された。 同年10月に大阪地裁であった初公判で、北川氏は起訴内容を認めたが、その後、無罪主張に転じた。 事件をめぐっては、副検事の女性が捜査情報やAさんに関する情報を北川氏側や他人に漏らしたとして、Aさんは、2024年10月、国家公務員法違反や名誉毀損の疑いで副検事を刑事告訴。 大阪高等検察庁は、今年3月、この副検事を不起訴処分にしたうえで、最も軽い「戒告」の懲戒処分にした。 報道によると、不起訴にした理由について大阪高検は、副検事が被害者の名前を伝えたのは特定かつ少人数で、別々の機会だったなどと報道各社に説明したとされる。
●北川氏の逮捕から1〜2週間、海外までうわさ広まる
今回、弁護士ドットコムニュースの取材に応じたのは、2025年3月で大阪高検を退職した元検察官の田中嘉寿子(かずこ)さん。 田中さんは北川氏とAさんの2人と同じ職場で働いたことがあり、それぞれの仕事ぶりや人となりを知る人物だ。 田中さんは2022年9月から2024年9月まで、出向でオランダのハーグに住んでいた。北川氏が逮捕されたニュースを知って「本当にびっくりした」という。 このとき、田中さんはまだ、被害者がAさんであることを知らなかった。 一方で、北川氏については、それまで上司として多くのことを学ばせてもらったという感謝の気持ちがあり、北川氏が女性にセクハラをしたといった話も一切聞いたことがなかったため、「はじめは何が何だか理解できなかった」と振り返る。 北川氏が逮捕されてから1〜2週間が経ったころ、田中さんは東京にいる知り合いの検察官から次のような話を聞いたという。 <真偽は不明だが、元々は被害者の方が北川さんをものすごく慕っていて、ラブラブと言い、飲み会のセッティングを積極的にしてもらった経緯があるようだ。北川さんを知る人たちは困惑している> つまり、北川氏が起訴される前の段階で、すでに東京の検察関係者にまで事実無根のうわさ話が広まっていたことになる。