大川原化工機の冤罪(えんざい)事件を巡り、警視庁と東京地検が、違法捜査と認定された東京高裁判決について上告を断念した。捜査機関の全面的な敗訴となった高裁判決を、警視庁と地検が受け入れざるを得ない状況に追い込まれた経緯をたどった。
公安部長異例の対応 深まる「傷」
11日午後3時、東京・霞が関の警視庁本部で中島寛・公安部長らが上告断念を表明した。個別の案件で公安部長が対応するのは異例。大川原化工機側に直接謝罪する時期について問われた中島公安部長は、捜査の検証結果を待たずに「できるだけ早く調整していきたい」と述べた。
大川原の社長らが東京都と国に賠償を求めた訴訟では、裁判が進むにつれて警視庁は「傷」を深めていった。
1審・東京地裁判決(2023年12月)は公安部の捜…
警視庁と東京地検が上告断念を表明したことを受け、記者会見する(左から)大川原化工機の大川原正明社長、島田順司元取締役、相嶋静夫さんの長男=東京・霞が関の司法記者クラブで2025年6月11日午後6時14分、渡部直樹撮影