【速報】和歌山市職員が職場の不正“公益通報” 復職後に自死…遺族が約8800万円の賠償求め市を提訴
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職場の不正を公益通報した和歌山市の男性職員(当時28)が5年前に自殺した問題で、12日、職員の遺族が市に対し、約8800万円の賠償を求め和歌山地裁に提訴しました。
■不正を公益通報し15人処分も…2年後に同じフロアに配属 第三者機関「市の対応は不適切」
訴状や市が設置した第三者委員会の報告書などによりますと、和歌山市は2020年、複数の児童館で架空の領収書を提出するなどし、交付金約1900万円を不正に得たとして、関係する職員15人を処分しました。 この問題は、当時児童館に籍を置き、休職中だった岩橋良浩さんの公益通報により発覚しましたが、岩橋さんは通報から約2年後、28歳の若さで自ら命を絶ちました。 遺族などによりますと、岩橋さんの休職届には「犯罪への加担を求められ、精神が不安定になった」と記されていたほか、調査が始まる直前に休職したことなどから、周囲は岩橋さんが内部通報者であると推測できる状況だったといいます。 岩橋さんは復職したものの、処分された職員の1人が岩橋さんと同じフロアに配属され、10メートルほどの距離で向き合うような配置となりました。この配置となった2か月後、岩橋さんは死亡しました。
一連の市の対応をめぐっては、市が設置した第三者機関が6日、「公益通報者保護法に違反しているとは認められない」としたものの、復職後に定期的な面談や声掛けの機会などのフォローアップが全くなされず、告発者を近くに配置したことについて、市の対応は「不適切だった」とする検証結果を公表しています。
■遺族「真面目に仕事をする方のために戦っていく」「真摯な対応を」
岩橋さんの遺族らは、児童館をめぐる不正行為に関与させられたことや公益通報後の市の対応による心理的な負荷は強く、安全配慮義務違反があったとして、市に対し約8800万円の損害賠償を求めています。 提訴後、岩橋さんの母・啓子さん(64)は弁護団とともに会見を開き、「無念を残したまま、息子は亡くなってしまった。(第三者機関は)フォローアップが不足していたことは認められていたが、それによって死に至ったことは一切書かれていなかった。息子の(自死の)後に、和歌山市役所を辞めた人が何人もいると聞いている。これから真面目に仕事をする方のために、戦っていきたい」と語り、市に対し「真摯な、誠実な対応をとって頂きたい」と訴えました。 一方、和歌山市は「訴状が届いておりませんので、現時点でコメントは差し控えさせていただきます」とコメントしています。
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