男女平等、日本は前年と同じ118位 G7で最下位 政治分野で後退

ベルリン=寺西和男

 世界経済フォーラム(WEF)は12日、世界の男女格差の状況をまとめた2025年版の「ジェンダーギャップ報告書」を発表した。日本は調査対象148カ国のうち、前年と同じ118位で、主要7カ国(G7)で最下位だった。世界全体でも格差解消のスピードは鈍く、取り組みの加速が求められるが、トランプ米政権がジェンダーを含む多様性の推進に反対する政策をとるなど逆風も吹いている。

 報告書は教育・健康・政治・経済の4分野で「男女平等」の度合いを分析。男女が完全に平等な状態を100%とした場合、日本の達成率は前年から0.3ポイント改善して66.6%だった。教育と健康ではほぼ平等を達成しているが、政治と経済の分野で後れをとる。

 政治分野の達成率は8.5%(前年は11.8%)に低下。昨年10月からの石破内閣では女性閣僚の起用が2人と、その前の岸田内閣の5人から減った。昨年10月の衆院選で女性の当選者数が過去最高となったが、その比率は約16%にとどまる。一方、企業での管理職・役員への女性登用の状況などを反映した経済分野の達成率は61.3%(同56.8%)と改善した。

 世界全体での男女平等の達成度は68.8%で、前年から0.3ポイント上昇した。世界でも政治(達成率22.9%)と経済(同61.0%)が大きな課題だが、双方で改善が見られた。ただ、WEFは今のペースでも、完全な男女平等を達成するには123年かかると試算している。特に政治参加について「グローバルな平等実現の最大の障害」と指摘した。

 世界では多様性の推進に逆行する動きも出ている。トランプ米大統領は「DEI」(多様性、公平性、包摂性)を推進する施策への反対を明言し、連邦政府機関などでのDEI推進施策を廃止する大統領令にも署名。保守派団体などの圧力が強まる中、米企業では管理職の女性比率の目標取り下げなど、多様性の取り組みを縮小する動きもみられる。

 国別で世界で最も男女平等に近い国はアイスランド(達成率92.6%)で、16年連続で首位。2位はフィンランド(同87.9%)、3位はノルウェー(同86.3%)。最下位はパキスタン(同56.7%)だった。米国は42位(同75.6%)、韓国は101位(同68.7%)、中国は103位(同68.6%)でいずれも日本を上回った。

男女平等ランキングの上位10カ国と主要国

①アイスランド 92.6%

②フィンランド 87.9%

③ノルウェー 86.3%

④英国 83.8%

⑤ニュージーランド 82.7%

⑥スウェーデン 81.7%

⑦モルドバ 81.3%

⑧ナミビア 81.1%

⑨ドイツ 80.3%

⑩アイルランド 80.1%

……

42米国 75.6%

……

101韓国 68.7%

……

103中国 68.6%

……

118日本 66.6%

……

148パキスタン 56.7%

(数字は、男女が完全に平等な状態を100%とした場合の達成率)

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この記事を書いた人
寺西和男
ベルリン支局長
専門・関心分野
欧州の政治経済、金融、格差、ポピュリズム
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    中北浩爾
    (政治学者・中央大学法学部教授)
    2025年6月12日10時35分 投稿
    【視点】

    人口の半分以上を占める女性が活躍できなくて、経済をはじめ国が発展するわけがありません。選択的夫婦別姓制度すら実現できない情けない状況。ジェンダーギャップ指数の発表は毎年の恒例行事ですが、自分が死ぬまで同じようなコメントを書いているんじゃないかと思うと、憂鬱です。結婚した時には選択的夫婦別姓はやがて実現すると思っていたのに、20年以上もこの状態。ため息しか出ません。

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  • commentatorHeader
    小林恭子
    (在英ジャーナリスト)
    2025年6月12日19時36分 投稿
    【視点】

    とても残念な数字です。 在英の筆者の感想になりますが、記事によると、日本は世界全体でも格差解消のスピードが鈍いようですね。印象としては、「現状を変えたくないと思っている人が多い」、あるいは「変えたくないと思っている人が政策の決定権を持っている」のかなと思います。 「現状を変えたくない」と思う人がいる、あるいはそう思う人が政策の決定権を持っているということは、逆に言うと、「だから国が安定している」という見方もできるでしょう。「変化よりも、現状を維持を望む」国民が多いのだろうか、と。 でも、もちろん、女性の地位向上については「どうにかしたい」と思っている人が女性はもちろんですが、男女限らず、増えているはずです。 まず意識を変えないとだめなのかなと思っています。例えば、女性を男性や子供の面倒を主として見る性とはみなさない、と。結婚の際には「女性が男性の姓に変える=当たり前」をやめてみる、と。 現状維持を選択する男性たちがシステムを変えるよう待っていては、なかなか変化は起きません。女性たちが一歩も2歩も踏み出してもいいかもしれません。 それにはまず、結婚するのだったら、女性は「夫の姓に変える」ことをまずはやめてみる、一から結婚相手の男性とどちらにするかを考えてみるのはどうでしょうか。 学校では、学級委員長を選択するとき、「委員長は女性」からスタートしてみる、と。「男性か女性か、どちらかベストな人を選ぶ」のでははなく。 また閣僚選出でも、もし女性が閣僚就任のオファーを受けたら、女性議員が一丸となって、「男女半々を目指さないと、支持しません」と首相や官邸に発言してみる、と。あるいは、官僚レベルで、「男女半々でないと、支持できません」と言ってみる、と。 テレビで専門家が出演するとき、「少なくとも男女半々にする」「できれば60%を女性にする」と制作者側がルールとして決めておく、と。 できること少しずつ、でも大胆に始めてみませんか。

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