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【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】

タヌキの尻尾を、アライグマの模様で描いてしまう職業イラストレーター。意外といますね。
客観的に見たらまあまあヤバいと思うんだけど、あれって何の影響なんだろう。

【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】_b0039059_06410489.gifいまどきの若者に「タヌキマリオ」の初出たる『スーパーマリオブラザーズ3』(1988)のプレイ経験があるかは怪しいし、リメイク版の『スーパーマリオアドバンス4』(2003)ですら18年前だ。
と思ったら、『スーパーマリオ3Dランド』(2011)は10年前なのか。
若手イラストレーターが少年期にプレイした可能性はあるな。

まあ実際には、しましましっぽのタヌキイラストで育った人が、しましましっぽのタヌキイラストを再生産してるのだろうけど。

しましましっぽタヌキの登場する『東方神霊廟』も10年前。
こちらのタヌキは、「過去には(実際のタヌキとは違って)タヌキの尻尾がしましまだと信じられていた」ことを由来とし、あえてしましまにしました、という説がある。
つまり、その時点では既に、「タヌキの尻尾はしましまではないけど、しましまだと思っている人が多い」という風潮があったことになる。

タヌキがしましま尻尾だという観念は、(それを明示的に否定する人が出てくるほど)とっくに人々の生活に根付いていたのだ。

それなら、いつからタヌキの尻尾はしましまだと信じられているのだろうか?

タヌキの尻尾に関する誤解はわりとよくある話で、「実はしましまじゃなかった!」という驚きのコメントや、しましまのまま世に出てしまう物も散見される始末。
また前述の通り、「(本当はしましまではないけど)しましましっぽと勘違いしてる人が多い」という、ある種のミーム的な感覚で、しましましっぽの狸を描いてる人もいる様子。


まずは試しに、江戸時代の妖怪画はどうだったのかな、とぐぐってみた。
すると、尻尾の見える絵は意外と少ないことに気付く。
やつら金玉の皮は放り出してるのに、何故か尻尾は着物の中に隠していたりするのだ。
羞恥心がバグっているのでは?


とはいえ、皆が皆、「尻尾隠して金玉隠さず」な訳ではない。
鳥山石燕は全裸の狸も描いていたので無事確認はできた。
上掲の画像だと縞模様に見えなくもないが、どうも無地っぽいな。
いや、無地も無地でおかしいんだけど……というか、これタヌキじゃなくてヤブイヌでは??
(にしては尻尾がでかいし、そもそも江戸時代の江戸近辺にヤブイヌはいないと思うけど……)

君はむしろ、雨降ってるんだから尻尾もしまって良いんだよ。
見た感じでは、先だけが黒っぽいタイプ。
雨に濡れてるだけかも知れないけど、少なくともしましまではない。

じゃあ昭和、戦前辺りはどうだったのかな、とぐぐってみたところ、先行研究的なブログ記事に行き当たった。

尻尾のしましまだけに注目している訳ではないけど、不正確なタヌキ画像の事例がいくつも並んでいて、参考になる。
ただ、この中で、明確にしましましっぽの最古のタヌキは2008年。
少なくとも全てタヌキマリオ以降だ。


というか、しっぽマリオは英語版だとRaccoon Mario、タヌキマリオはTanooki Marioとなるらしい。
しっぽの方がアライグマだから、上位種のタヌキもアライグマのしっぽを流用しただけなのかな……。
であれば、1988年のタヌキマリオ以前にしましましっぽのタヌキは、存在しないかもしれない。
本当かな?

でも、『あらいぐまラスカル』のアニメが1977年だから、その頃を境に、しましましっぽのタヌキが生まれている可能性はあるんだよな。
アニメ版ラスカルの色合いはレッサーパンダ寄りだけど。
よく考えたら、しっぽマリオ(ドット絵)の色合いもレッサーパンダ寄りだよなぁ……。
【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】_b0039059_13061746.png
少し戻って、1959年の『たぬきさん大当たり』では(尾の先は白いものの)縞模様ではない。
やはり、戦後のどこかだと思うんだけど。

うーん…………っと、あれ。
これはまさか。

【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】_b0039059_11565400.jpeg出典∶Amazon
1984年リリースの『もしもタヌキが世界にいたら2』のジャケットに、しましましっぽタヌキが描かれてるじゃないか。
対して、
【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】_b0039059_12022683.jpg出典∶Amazon
1983年の『もしもタヌキが世界にいたら』は、しましましっぽではない……!

2のジャケットを書いたのはアメリカ人イラストレーターのスチュワート・マスコウィッツ氏
タヌキ無き国アメリカの出身者がタヌキを描いたら、そりゃあ、アライグマに引き摺られるのも道理である。
パンダ無き国日本でも、長らくパンダの尻尾は黒いと信じられていたからな。

もしタヌは、『なるほどザ・ワールド』のテーマ曲だったらしいけど、当時の番組視聴率は最高で36.4%(※特番時)。
日本人の1/3以上が見ていたわけである。
そりゃもう、タヌキの尻尾がしましまだという認識も広まるはずだ。

つまり…………タヌキがしましましっぽになったのは、1984年と言っていいのでは……?
言うだけならタダだしな………!!

ということで結論として、タヌキの尻尾がしましまになったのは、1984年から。
何かあれば追記訂正しますが、そんなに真面目に調べるつもりもないので、たぶんしません。



30分後追記:
指摘のような何かを受けて気付きましたが、そうですね、『ポコニャン』がいましたね。
尻尾の先の濃色に加えて、縞模様が1つだけある、猫だかタヌキだかわかんないけど、比較的猫っぽい珍生物。
初出は1970年の「ようじえほん」版ですが、そちらは残念ながら画像が出てきません。(探せば出そうな気はしますが)
ただ、1978年の「希望の友」版では既に例の尻尾をしているようです。
あれは必ずしもタヌキではないものの、後のタヌキデザインに影響を与えたはずです。
ではポコニャンのデザインが何から影響を受けたのか……というと、まぁ1969年の『ドラえもん』(※同作者)、そしてやはり1977年のラスカル…………あ、違うわ。「ようじえほん」版はラスカルより前だこれ。何だこりゃどうすりゃいいんだ。
外来種のアライグマが日本で野生化したのは1960年代だというし、その頃からタヌキとの混同はされてそうだけど。うーん。

とはいえ、やはりポコニャンは猫寄りの珍生物(≠タヌキ)なので、タヌキの転換点は1984年ということにしておきましょう。

また何かあれば追記訂正しますが、たぶん何もないです。



2021/12/29追記:
ポコニャンの尻尾は1959年初出のスーパーキャッティがベースなのでは、という話が出てきました。

「スーパーキャッティの尻尾→ポコニャンの尻尾→タヌキの尻尾(に対して持つ大衆のイメージ)」
という流れは十分に有り得ますね。
こいつは完全に猫(※遠い星出身)なので、もしポコニャンの尻尾を勝手にタヌキの尻尾と混同した人がいても、藤子F先生には何の過失もありません。

直接的にタヌキの尻尾がしましま模様になったのはポコニャン以降の何処かですが、影響を与えた可能性が高い話として、こちらに追記しておきました。



2023/10/16追記:
1976年出版の『ノンタンぶらんこのせて』に、尻尾に縞のある「たぬきさん」が登場するとの情報をいただきました。
ノンタン! 私も小さい頃に何度も読んだ、名作ロングセラーシリーズです。
なんなら2023年にも新作DVDが出てたりするんですが、あれ1976年初出だったんですね!

【アライグマ】タヌキの尻尾はいつから、何故、縞模様だと思われてきたか。【レッサーパンダ】_b0039059_23362425.png件のたぬきさんはこちらです。
しっぽの先端でも根本でもない、中央付近に一本縞があるのが確認できます。
時期的には1970年初出のポコニャンより後の時代となりますが、あいつはタヌキじゃありませんからね。
縞模様の位置や数がポコニャンに近い気もします。

2023年現在では47年のロングセラー絵本なので、かつて幼児だった多くの大人が影響を受けているのは間違いないでしょう。
アライグマ的な複数本の縞ではありませんが、「タヌキのしっぽはしましま」という印象は大きい。
後世のタヌキに影響を与えた一角として、こちらに記録させていただきます。

Commented by 押井徳馬 at 2023-10-16 22:19
1976年の絵本『ノンタン ぶらんこのせて』に登場する「たぬきさん」のしっぽも縞々です。
Commented by ruif at 2023-10-16 23:23
> 押井徳馬さん
コメントありがとうございます。
言われてみれば、ノンタンにたぬきさん出てきましたね!
確認しましたが、尻尾の中ほどに一本縞がありました。

ノンタンが1970年代の作品だということにも驚きました。
この時点で「タヌキの尻尾に縞がある」という認識が存在したわけですね。
また追記しておきます。
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by ruif | 2021-05-15 01:41 | →日記。 | Trackback | Comments(2)

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