筑波大が、2029年度に人文・文化学群(学部)を統合・再編する方針を示している問題を議論するイベントが10日、つくば市であった。参加した学生や教員らから、懸念や批判の声が上がった。
筑波大は、人文・文化学群の下にある人文▽比較文化▽日本語・日本文化――の3学類(学科)を29年4月に統合し、この学群を新たに「人文学専門学群」に改組する方針を、学内の関係者に示している。
この問題を毎日新聞などが報じたことを受け、学生団体「筑波大問題を考える会」が主催。22人が対面やオンラインで参加した。
比較文化学類OBで、人権や労働の問題に取り組む指宿昭一弁護士が、今回の統合・再編の問題点を解説。学生や教員の話を聞かずトップダウンで方針が決まる▽学生の学ぶ権利が侵害される危険性がある▽3学類の教員数の減少を前提としており、労働強化のおそれがある――などと指摘した。
出席したある人文系の教員は3学類には、複数の学問分野にまたがって研究を進める学際性や、専門性など他大学にはない強みがあると指摘。「(3学類)それぞれの良さを全部なくしてみんな一緒にしてしまえという乱暴な話になってほしくない」と語った。
フェミニズムやジェンダーを研究する比較文化学類4年の学生(22)は「フェミニズムなどの研究は大学ではあまり重要視されておらず、研究をするのが難しくなっている。特に米国ではトランプ政権で、ジェンダーや差別をテーマにした研究が資金を取れなくなっている。日本でもそうなるんじゃないかと思い、すごく怖い。あらがっていきたいと思う」と吐露した。
イベントの主催者で人文学類4年の川上晧陽(こうよう)さん(21)は「筑波大にかかわる皆さんが日ごろから違和感を持ったりすることを相談したり話し合ったりできる機会を作り、大学に届けられるようにしていきたい」と話した。【酒造唯】