ロサンゼルス周辺で行われた滞在資格のない移民の一斉摘発を発端とする抗議デモは、5日目となった10日も連邦政府の建物のまわりなどで行われ、アメリカメディアは警察が197人を新たに逮捕したと伝えています。
現地では前日、商店が集まる地域などで略奪が相次ぎ、特に夜の間は混乱に乗じて一部が暴徒化することが懸念されることから、ロサンゼルス市長は10日、市の中心部のダウンタウン地区を対象に午後8時から翌朝6時までの外出禁止令を出しました。
しかし地元の警察は、夜になっても複数のグループが対象地域の一部に集まっているとして、大規模な身柄の拘束に乗りだしたと明らかにしました。
LA市長 ダウンタウンに外出禁止令 警察も身柄拘束に乗り出す
アメリカ西部ロサンゼルスでは、トランプ政権による移民の一斉摘発を発端とする抗議デモに乗じて一部が暴徒化したことを踏まえ、市の中心部に夜間の外出禁止令が出されましたが、夜になっても複数のグループが集まり、警察が身柄の拘束に乗りだしています。
【動画解説】抗議デモ 一部が暴徒化 ロサンゼルスでなぜ?
外出禁止令出された夜 街では行進する集団も
ロサンゼルスの中心部に夜間の外出禁止令が出された10日の夜、NHKの取材班は対象のダウンタウン地区に入り、警察が発行した許可証を提示した上で撮影を行いました。
地区に入るとすぐにスマートフォンのアラート音が鳴り、午後8時から翌朝6時まで外出禁止令が出されていることが通知されました。
前の日の夜に略奪の被害を受けたスポーツ用品店に近い場所では、歩道に面したガラスに分厚い木の板をはり付けたり、警備員を配置したりして自衛の対策をとっている商店が目立ちました。
街に出ている人たちの姿はふだんより少なかったものの、トランプ政権への抗議の声をあげながら行進する集団も見られました。
連邦政府の建物の周辺などには警察車両が集中的に配備され、サイレンを鳴らしながら一斉に走り出す様子がたびたび確認できました。
夜が深まるにつれて警察車両の動きは慌ただしくなりましたが、取材班が現地時間の午後10時半過ぎにダウンタウンを離れるまでの間、大きな衝突などの情報はありませんでした。
夜間外出禁止令 範囲はLA中心部の約2.5平方キロメートル
夜間外出禁止令の範囲に指定されたのは、ロサンゼルス中心部のダウンタウン地区で、およそ2.5平方キロメートルの区域です。
ダウンタウン地区には、ロサンゼルス市庁舎をはじめ、ロサンゼルスのユニオン駅、日本人街のリトル・トーキョー、現代アート美術館の「ザ・ブロード」、NBA=アメリカプロバスケットボールレイカーズの本拠地「クリプト・ドットコム・アリーナ」など数多くの観光地などがあるほか、ロサンゼルスの日本総領事館も置かれています。
大リーグ、ドジャースのドジャースタジアムは夜間外出禁止令の範囲に含まれていません。
移民税関捜査局 “滞在資格ない移民を拘束” 写真投稿
移民税関捜査局は10日にSNSのXに複数回、この日 ロサンゼルスで滞在資格のない移民を拘束したとする写真を投稿しました。
写真には両手を拘束された人たちや、その周りで警備に当たる兵士の姿などが写っています。
アメリカのニュースサイトのアクシオスは先月、トランプ政権の幹部が1日に3000人を拘束するという目標を掲げて不法移民対策を加速させていると報じていました。
トランプ大統領の発言は
“状況が安定するまでは兵士が居続ける”
トランプ大統領は10日、ホワイトハウスで記者団に対し、現地では一部で暴徒化した人たちがコンクリート片をパトカーに投げつける様子が見られたと非難したうえで「ロサンゼルスではまさに反乱とさえ呼べるような状況があった。それはひどいものだった。彼らは金で雇われた暴徒たちで、金をもらっている」と主張しました。
そして、記者団から「州兵はいつまで配置されるのか」と問われたのに対し「危険がなくなれば彼らは撤収する」と述べて、現地の状況が安定するまでは兵士が居続けるという考えを示しました。
そのうえで「毎晩、見ていれば、暴徒は減っている。彼らは非常に強力な部隊と対じしている」と述べて、政権の対応が効果を上げていると強調しました。
また、トランプ大統領は「オリンピックが近づいている。ひどい状況のロサンゼルスを見せたくない」と述べ、ロサンゼルスで2028年にオリンピック・パラリンピックが開催されることを踏まえ、早期の事態の収束が必要だと強調しました。
一方で、自身の誕生日でもある今月14日に首都ワシントンでアメリカ陸軍の創設250年に合わせた軍事パレードが予定されていることに関連して「抗議活動を行う人がいた場合には非常に強力な力で対処される。私は抗議についてこれまで聞いていないが、われわれの国を嫌っている人たちであり、非常に強い力で対処される」と述べ、抗議活動に対して厳しい対応をとる考えを示しました。
“わが国への侵略”
また10日、南部ノースカロライナ州のアメリカ軍の基地で、アメリカ陸軍の創設250年を祝うイベントに出席した際にも、ロサンゼルスでのデモの暴徒化について言及しました。
この中で「平和、秩序、そしてわれわれの国家主権に対する全面的な攻撃だ。これはわが国への侵略を継続することを目的として、外国の旗を掲げた暴徒たちによって行われている」と述べて、「侵略」ということばを使って強く非難しました。
そのうえで「トランプ政権下では、無政府状態は許されない。連邦政府の職員への攻撃も、アメリカの都市が外国の敵に侵略され、征服されることも私たちは許さない。彼らはまさにそれだ。彼らの多くは、バイデン政権によって入国が許可された人たちだ」と述べて、暴徒の一部は、バイデン政権の間に、法的な手続きを経ずに入国した人たちだと主張しました。
また、「彼らはほかの国の旗を誇らしげに掲げているが、アメリカの国旗は掲げず、燃やすだけだ。アメリカの国旗を燃やした人物は、1年間、刑務所に行くべきで、その実現に努める」と述べました。
米国防長官 “州兵や海兵隊の派遣は正当”
アメリカのヘグセス国防長官は10日に議会の公聴会に出席し、「連邦の法執行機関である移民税関捜査局は国内のどの州でも、どんな管轄区域でも安全に任務を遂行する権利がある」と述べ、滞在資格のない移民の摘発は必要だという考えを示しました。
そのうえで「捜査官が安全に職務を遂行するために州兵と海兵隊を派遣した。ロサンゼルスの警察のトップが手に負えないというから支援した。部隊はすべて現地で実行すべき任務について十分な訓練を受けている」と述べて、州兵や海兵隊を派遣するというトランプ大統領の判断は正当だと強調しました。
NYでも大規模な抗議集会
トランプ政権による移民の一斉摘発に反発してニューヨークでも10日、数百人が参加する大規模な抗議集会が開かれました。
参加者らは「移民税関捜査局はニューヨークから出て行け」などと書かれたポスターを掲げながら、移民の権利の保護を求めて声を上げていました。
参加者の一部は集会のあと移民税関捜査局の支部が入居するビルまでデモ行進をして、警官ともみあいになって数人が拘束されました。警官とデモ隊とのにらみあいは現地時間の夜になっても続いています。
抗議集会の参加者のうちカリフォルニア出身の20代の男性は「カリフォルニアにいる仲間たちのためにも立ち上がろうと思った」とロサンゼルスでの抗議デモに連帯の気持ちを示していました。そして州兵や海兵隊の派遣については「ひどいことで憲法違反だと思います」と話し同じことがニューヨークでも起きかねないと警戒していました。
また移民が通う学校の先生だという女性は「故郷を離れたい人はいない。そうせざるをえない状況に追い込まれただけだ」と移民たちの気持ちを代弁したうえで「彼らはこれまで私が出会ったなかでも最も勤勉で献身的ですばらしい人たちだ。彼らがいなくなればニューヨークはニューヨークではなくなり、アメリカもアメリカではなくなる」と話していました。
ニューヨーク市は人口の37%以上が移民でトランプ大統領が進める不法移民対策には強い反発があり、11日以降も抗議集会が呼びかけられています。
LA混乱5日目に “海兵隊700人が到着” 異例の事態に
アメリカ西部のロサンゼルスでは、トランプ政権による移民の一斉摘発を発端にした混乱が5日目に入りました。中心部で衝突や店舗への略奪が拡大するなか、現地には海兵隊の兵士700人も配備されたと伝えられ異例の事態となっています。
トランプ政権は先週からロサンゼルス周辺で滞在資格のない移民の一斉摘発を進めていて、ロサンゼルス市などによりますと9日も移民税関捜査局が移民が集まるホームセンターなど少なくとも5か所で捜索を行ったということです。
これに対し、抗議デモの参加者の一部は9日、夜に入って警察と衝突し、中心部のダウンタウンでは複数の店舗で混乱に乗じた略奪行為も行われました。
ロサンゼルスのバス市長は10日の会見で市の警察当局を中心に十分な態勢をとっていると強調したうえで「根本的な解決法はトランプ政権が移民税関捜査局による捜索をやめることだ。しかしこうした捜索はさらに30日間続く可能性があると聞いている」と述べ、社会不安が長引くことに懸念を示しました。
こうした中、アメリカメディアは10日、トランプ大統領の指示を受けた海兵隊の兵士700人がロサンゼルスに到着したと伝えました。
海兵隊の兵士が暴動をおさえるためとして国内に派遣されたのは、1992年の「ロサンゼルス暴動」以来で、異例の事態となっています。
これに加えて、カリフォルニア州のニューサム知事は9日、トランプ大統領が追加で2000人の州兵をロサンゼルスに派遣するとの連絡を受けたとしていて、混乱の収束につながるのかが焦点となっています。
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