外国人高齢者の介護に関するアンケート結果を報告するモアのメンバー(京都市伏見区・龍谷大)

外国人高齢者の介護に関するアンケート結果を報告するモアのメンバー(京都市伏見区・龍谷大)

【地図】京都市伏見区

【地図】京都市伏見区

 京都市内の介護現場で外国にルーツのある高齢者への対応が課題の一つになっていることが、市民団体の調査で分かった。認知機能の衰えから母語でしかやりとりできなくなるなど、要介護者と支援者との意思疎通に壁が生じている現状が浮かび、団体は「介護する側の異文化理解が必要」としている。

 「京都外国人高齢者・障がい者生活支援ネットワーク『モア』」(南区)が1~2月、市内の介護事業所などにアンケートした。回答があった164事業所のうち51事業所が、外国人高齢者の生活に関する相談を受けたことがある、とした。そのうち31事業所が、多様な文化的事情を背景に「対応困難なことがあった」と答えた。

 具体的には、外国人高齢者が認知症により日本語を忘れる「母語返り」に苦慮するケースが目立ち、「母語に対応できる施設が見つからない」「日本の常識や文化・風習を理解してもらいにくい」などの悩みが寄せられた。また、介護保険や福祉用具など福祉制度について英語で説明することに難渋したり、家族が海外にいるために緊急時の判断に苦慮したりした、との回答もあった。

 3月に市内で開かれた交流会では、アンケート結果に対し、福祉関係者から「外国ルーツの人に情報を届ける仕組みが必要」などの意見が相次いだ。モア事務局の南珣賢(ナンスンヒョン)さん(58)は「支援につながれず、潜在化している人が一定数いるはず」と強調する。

 モアは2006年から海外出身者らのケア現場に「多文化福祉委員」を派遣している。傾聴をはじめ、公的手続きの補助や延命治療の諾否、遺骨引き渡しの立ち会いにも携わる。これまで在日コリアンや中国帰国者が主な対象だったが、最近はフィリピンやネパール、ルーマニア出身の人など多国籍化しているという。

 同委員の村木美都子さん(62)は「地域に暮らす外国人は一層増えていく。相手を深く知ろうする姿勢から信頼関係が生まれ、道が開ける」と話す。