放送内容
- 借金に苦しむ人増加〝不適切な弁護士〟に注意 あす相談会
借金に苦しむ人増加〝不適切な弁護士〟に注意 あす相談会
借金の整理をめぐって、大規模な広告で依頼者を募っている弁護士事務所の中に、不適切な処理をする問題事例が報告されているとして、日弁連などが注意を呼び掛けています。
【借金に苦しむ人が増えているのですか】
今、生活を取り巻く環境をみてみると、コロナ禍で仕事が減り、その間生活を支えてくれた国の無利子の特例貸付制度も終わりました。そこに、物価の上昇が加わったことなどを背景に、3件以上の消費者金融から借金をしている人は、今年3月末の時点でおよそ140万人。一年前より10%近く増えています。こうした中、多重債務が原因で自殺したとみられる人も去年は792人。前の年より5.5%増えているのです。
このように借金に苦しんでいる人たちに対して、不適切な処理をする弁護士事務所があるとして、長年多重債務問題に取り組み、この問題の支援に立ち上がった弁護士などの団体が11月19日に相談会を開きます。その団体による、典型的な事例をみてみます。
きっかけの多くは、ネット上で多くみられる広告です。
【「借金減額できます」とあります】
みていくと「国が認めた借金救済制度」そして、体験談も載っています。
▼誰でも借金が減るかのように、過度な期待を抱かせる広告の場合、日弁連の規程に違反している可能性があるといいます。
画面に「減額診断を試してください」とあったので、借りている額や期間など質問に答えていくと「借金を大幅に減らせる可能性があります」「詳細をお伝えします」と出てきました。
名前や電話番号を記入すると、弁護士と直接会うのでなく、電話やメールで連絡が入り、「消費者金融と、利息をカットしたり、返済期間を長くしたりする任意整理の交渉をします」として、今後は、これまで、消費者金融に毎月払っていた額より、いくらか少ない額を、弁護士の口座に、払うよう言ってきた。何のお金か内訳の説明はなかったと。依頼をすると、多くは返済の請求がとまります。
【毎月の支払い額が減ったのなら、よかったのではないですか?】
本人も「これで解決できた」と信じていた。けれど、そうではなかったというのです。
結局、数か月後、弁護士への支払いができなくなると、そのとたんに弁護士が一方的に辞任。すると返済の請求も再開されます。
そして、その段階で、それまで払っていたお金は、弁護士の報酬に優先的にあてられていて、借金の返済にはほとんど使われていなかったことがわかった。中には、そもそも消費者金融との交渉すら始まっていなかったケースもあるというのです。
【報酬だけとられていたということですか。困りますね】
本来、弁護士が借金を整理する際には、依頼者から「借金の総額や借入先」「収入・生活費など」さらに「家族との関係やギャンブル依存症など借金の背景にある事情」。といった、詳しい状況を聞き取り、任意整理や自己破産などの中で、どの方法がその人の生活の立て直しにつながる「より良い方法か」を判断。一緒に考えることが大事だといいます。そして、必要な場合、自治体の生活保護などの窓口、そして、背景に例えば、依存症や依存症を抱えている家族によるDVなどがある場合は、民間の支援団体などに導くことも大事で、そのためには面談を重ね、信頼関係を築く必要があると言います。
【丁寧に寄り添うことが大事なのですね】
はい。ところが、不適切な処理をする弁護士の場合、ほとんど面談しないまま
▼本来、自己破産がよい人も、弁護士が簡単に処理できる任意整理に誘導したり、
▼違法で払う必要のないヤミ金融の元本を返済するよう指示したりするケースがあって、生活の立て直しにつながらない。中には、
▼弁護士の報酬が異常に高いケースも少なくないといいます。
法律に関する手続きなどを専門に行う司法書士でも不適切な処理が見られるといいます。
【なぜ、こうしたことが行われているのですか?】
一部の弁護士事務所の間からは、日弁連の規程には従っている。とした上で、ただ、弁護士業もビジネスで、広告は、依頼者が自分にあった事務所を適切に選ぶことにつながる役割がある。また、借金の整理に関して面談を義務付けている日弁連の規程は、現代の状況からみて大きな疑問。つまり時代にそぐわないのではないか。このような声も上がっています。
一方、支援にあたっている団体は、不適切な処理を続けている事務所は、依然として多い。借金の整理にあたる際に、生活再建につなげる面談は重要だ。
▼弁護士が面談をしない、あるいは数分程度の面談で依頼を受けた場合。また、借金整理の様々な方法について説明がないなど場合は、日弁連の規程違反にあたる可能性があるとして、今後、こうした事務所に対し
▼報酬の返還を求めるとともに
▼悪質なケースについては、各地の弁護士会に懲戒請求をする。また、損害賠償を求める集団訴訟を起こすことも検討していく方針です。
弁護士会が自ら自浄作用を示さなければならないという考えから、日弁連も対応を検討しています。
【不適切な弁護士に依頼してしまったかもしれないという方は、どうしたらいいですか?】
支援団体は、定期的に相談会を開いていますが、11月19日(火)正午から、受付時間などを拡大した相談会を開きます。
QRコードから支援団体のサイトにアクセスして、そこから、LINEなどの無料の通話で相談することもできます。
弁護士に相談してはいないけれど、借金の返済が苦しいという方の相談も、きたら受け付けるとしていますが、そうした方は、まずは、各地の弁護士会の法律相談センターや法テラスなどに相談してほしいということです。
ひとりで悩みを抱え込まず、ぜひ相談をしていただきたいと思います。解決の方法は必ずみつかるはずです。