雲竜型土俵入りのポーズを取るやくさん(手前)と舞の海さん=5月29日、北國新聞社東京支社

 武蔵丸 本名は武蔵丸光洋。ハワイ・オアフ島出身。第67代横綱(1999年7月場所~2003年11月場所)、優勝12回。ハワイ勢として曙とともに、若貴と覇を競った。幕内連続勝ち越し55場所の記録を持つ。

 北の湖 本名は小畑敏満。北海道出身。第55代横綱(1974年9月場所~1985年1月場所)、優勝24回。輪島(七尾市出身)と輪湖時代を築く。5場所連続優勝など、圧倒的な強さで「不沈艦」の異名を取った。

 貴乃花 本名は花田光司。東京都出身。第65代横綱(1995年1月場所~2003年1月場所)、優勝22回。22歳で横綱に昇進し、卓越した技術と不屈の精神力で「平成の大横綱」と称され、兄の若乃花とともに一時代を築いた。

  ●「新しいタイプの横綱」

 北國新聞社は大相撲・大の里(本名・中村泰輝(だいき)、津幡町出身、二所ノ関部屋)の横綱昇進を受けて、解説者で元小結の舞の海秀平さんと、漫画家で好角家のやくみつるさんの対談を企画した。無類の強さを見せる若武者を、舞の海さんはハワイ出身の元横綱を引き合いに「スピードのある武蔵丸」と評し、やくさんは「北の湖と貴乃花を足したようだ」と2人の大横綱を挙げてたたえた。

 対談は5月29日に北國新聞社東京支社で行われた。

 2人は大の里について、過去の横綱と取り口や特徴が似ていない「新しいタイプ」と指摘。舞の海さんは「本当に似ている横綱はいない。そういう意味では、すでに『唯一無二』だ」とした。

 その上で「あえて言うならスピードのある武蔵丸」と表現。身長が大の里と同じ192センチだった武蔵丸は、体重が200キロを超す巨体だったが、バランスのとれた動きで相手を圧倒した姿が重なるという。

 やくさんも大の里のスピードを評価した上で、決して崩れない足腰の強さも魅力だと指摘。「憎らしいほど強い」と言われた昭和の大横綱・北の湖と、勝ち星の半数以上が寄り切りだった平成の大横綱・貴乃花を引き合いに「北の湖プラス貴乃花というと分かりやすい。北の湖の勢いと速さ、貴乃花の足腰」と見立てた。

  ●「1強時代」を予見

 もう一人の横綱の豊昇龍が好敵手となり、2人を中心に優勝争いが繰り広げられる「大豊時代」の到来を予想する向きが一部にあることについて、やくさんは「豊昇龍は対立軸になるかもしれないけど、両雄相並ぶという状況にはならないだろう」と否定した。それほど大の里の強さは際立っているとし、「大鵬に対する佐田の山(横綱)みたいになるかもしれないけど、このままだと大の里の時代になる」と述べ、1強時代を予見した。

 横綱昇進を決定づけた夏場所について舞の海さんは、千秋楽以外は立ち合いで腰を落として当たり、強さが規格外だったとし、「190センチ以上あってあんな低い相撲取られたら、たまったもんじゃない」と脱帽した様子。やくさんは伯桜鵬戦などで見せたはたき込みについても言及し、「全然、危ないはたきじゃない」とした。

 「大の里がどんな横綱になってほしいか」との問いに対しては、舞の海さんは「真面目な北の富士」、やくさんは「誰からも尊敬される横綱」と述べ、さらなる高みを求めた。

  ●アクタス7月号連載拡大版で詳報

 6月20日発売のアクタス7月号では、舞の海さんの隔月連載「うっちゃり御免」の拡大版として、2人の対談内容を詳しく伝える。

 北國新聞社は6月下旬、報道写真集「第75代横綱大の里」を発売する。書店やインターネット、北國新聞販売所で予約を受け付けている。

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