もともと「不法滞在」や「不法移民」という概念は適切なものとはいいづらく、「非正規滞在」といった表現をつかうべきと考えられている。
在留資格のない移民・難民を不法と呼ばず非正規や無登録と呼ぼう!
日本では、在留資格のない移民をさして「不法滞在者」や「不法残留者」いう表現がよく使われます。海外では、1975年の国連総会決議に基づき、「irregular」(非正規)あるいは「undocumented」(無登録、未登録、書類のない)といった表現が一般的です。正規の在留資格をもたずに日本に滞在するのは行政法の範疇に属する「違反」です。そのため、そのことを理由に「不法」とするのは不正確であり、「非正規滞在」などと表現するのが国際標準です。
近年は日本でも定着しつつあるといっていいだろう。
「不法滞在」→「非正規滞在」 オーバーステイの表現変化へ 外国人への人権配慮広がる | 上毛新聞電子版|群馬県のニュース・スポーツ情報
オーバーステイなど有効な在留資格がない外国人は、入管難民法違反で摘発対象となる。だが在留資格がない状態だけで、刑法犯と同じように扱うのは人権上問題があるとして「不法滞在」「不法移民」を「非正規滞在」「非正規移民」と表現し直す動きもある。
たとえば日本は難民条約を批准している。そこで日本へ逃れてきた難民に滞在資格を与える手続きをおこなわないのであれば、合法的ではない状況になっている責任は難民自身よりも手続きをおこなわない日本側にあるといえないだろうか。
そもそも滞在するための根拠を完璧にそなえて厳格な手続きをこなせる難民がどれだけいるだろうか。それをおこなえる余裕を奪われるから難民になるのではないのか。まず逃げて、後から手続きをおこなうことは原理的にしかたがないと考えるべきではないか。
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手段を厳格化して制度の目的を達成させない問題は、生活保護において極めて少数の「不正受給」を問題視して受給を厳格化し、本来なら受給できる大多数の人々をとりこぼす問題にも通じる。
何よりもまず人命を、個人の尊厳を守るという優先すべき目的が、国家や社会にはあるはずではないのか。
日本人に利益をもたらすから外国人を受けいれるのではなく、弱者を受けいれられること自体が社会の成果として喜ぶことはできないだろうか。