前回は、「監視社会から逃れるには、GrapheneOSの導入が不可欠である」という話をした。
今回はその続編として、GrapheneOSの導入方法と、導入直後に入れるべきアプリについて解説する。
GrapheneOS搭載済スマホという選択肢
GrapheneOSがあらかじめ導入されたPixel端末は、インターネット上で購入できる。
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AntiSpyPhone
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Ghost Phone
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NitroPhone
これらはすべて名前こそ異なるが、
実態はGrapheneOSをインストールしたGoogle Pixelにすぎない。
特別な独自機能があるわけでもない。(はず。)
これらの端末は価格設定が非常に高く、コストパフォーマンスは悪い。
(Ghost Phoneは比較的安価。)
環境さえ整っていれば、GrapheneOSは自分で導入できる。
高額な完成品を買う必要はない。
GrapheneOS導入に必要なもの
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インターネット環境
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GrapheneOS対応Pixel(Pixel 6以降を推奨)
※匿名性を高めたい場合は、中古端末を店頭で現金購入するのが望ましい。 -
データ転送対応USBケーブル(USB-C to C または USB-A to C)
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WebUSB対応ブラウザ(Google ChromeなどのChromium系が推奨)
初心者にとって最も簡単なのは「Windows+Google Chrome」の組み合わせである。
1. Pixel本体の準備
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バックアップを取る
GrapheneOSを導入すると端末は初期化される。重要なデータはすべて事前に退避すること。 -
開発者モードを有効にする
「設定」→「デバイス情報」→「ビルド番号」を7回タップする。
※USBデバッグは不要。WebUSBではfastboot通信のみを使用するため。
2. PC側の準備
Windowsの場合:
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必要に応じて、ADB/Fastbootドライバをインストールする。
Android SDK Platform Tools
Linuxの場合:
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Debian系:
android-sdk-platform-tools-common -
Arch系:
android-udev -
念のため、
fwupdは一時停止しておくと安全である。
3. GrapheneOS Webインストーラーにアクセス
公式ページ:
https://grapheneos.org/install/web
WebUSBに対応したブラウザ(Chromeなど)でアクセスする。
※Snap版・Flatpak版のChromeは不可。
4. Pixelをfastbootモードで起動
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電源を切る
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「音量下」+「電源」ボタンを同時に長押し → fastbootモードに入る
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USBケーブルでPCと接続する
5. WebUSBでGrapheneOSを導入
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Pixelが認識されたら、「Unlock bootloader」をクリック
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警告画面に従って進める
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「Install」操作で導入が始まる(所要15〜30分)
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完了後、「Lock bootloader」で再ロック
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再起動すれば、GrapheneOSが立ち上がる
以上で、GrapheneOSの導入は完了だ。
まず入れるべきアプリ
とりあえず最初に入れるべきアプリを紹介。
■ F-Droid
オープンソースアプリを配布するストア。
Vanadiumで下記URLにアクセスしてAPKを取得する。
https://f-droid.org/
※APKは必ず上記の公式サイトからダウンロードすること。
■ Aurora Store
Google Playアプリを匿名で取得できるクライアント。F-Droidからインストール可能。
初回起動時に「匿名モード」を選択することで、Googleアカウントなしで利用できる。
※一部アプリ(Play開発者サービス依存)は動作しないので注意。
■ Brave Browser
広告ブロックやフィンガープリント(ユーザーの識別情報)対策が標準で有効なブラウザ。
Vanadiumよりも機能が多く、翻訳機能(Brave Translate)も搭載。Aurora Store経由でインストールする。
■ Tor Browser
匿名性最優先のWebブラウジングツール。
通常のブラウザと異なり、「Torネットワーク」を経由して通信を行う。
.onionサイトの閲覧が可能。
Aurora Storeからインストールする。
■ Proton VPN
スイス拠点のノーログVPNサービス。無料プランでも日本を含む5か国に接続可能。
Aurora Storeから入手可能。通信の匿名性を高めるために推奨。
■ アルテ日本語入力
GrapheneOSは標準で日本語入力ができないため、Aurora Storeから導入する。
サブスク加入案内が頻繁に挿入されるのが惜しいが
ユーザーの入力データを収集せず、安心して使える。
※Gboardを使う場合は、すべての送信設定を無効化すること(ただし自己責任)。
次回は、さらに実用性を高めるためのアプリ群について詳しく紹介する。