今回はGrapheneOSから一度離れ、バーナーフォンの匿名運用について解説する。
本稿はあくまで自身のプライバシーを守る目的で記述しており、悪用は厳禁である。
そもそも:バーナーフォンとは何か?
バーナーフォンとは、使い捨て前提で運用される格安スマホ(またはガラケー)とプリペイドSIMを組み合わせた匿名端末のことである。
本記事ではスマートフォン運用に限定して取り扱う。※フィーチャーフォンでVoIP通話はほぼ不可能。
1.端末とSIMの調達
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中古のSIMフリーAndroid端末を現金で購入することが推奨される。
OSが古すぎるとアプリ非対応のリスクがあるため、Android 10以降が望ましい。(Android12以降だと尚良し。)
キャリア端末の場合は、SIMロックの有無や対応バンドの確認が必須。なお、2021年10月以降に発売された機種は、原則としてSIMロックは解除済みである。
汎用性を考慮すれば、Pixelシリーズが無難。(Pixel 5以降。)
プリペイドSIMは一部家電量販店やECサイトにて現金購入可能である。
2. SIM購入と本人確認の規制
音声通話付きSIMは本人確認が必須
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「携帯電話不正利用防止法」により、音声通話付きSIMの契約時には公的身分証明書(免許証・マイナンバーカードなど)の提示が義務付けられている。
よって、070/080/090の音声通話付き番号の取得は原則として「匿名では不可能」。
データ通信専用プリペイドSIMは本人確認不要
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一部のコンビニ、量販店、オンラインストアで販売されているデータ専用SIMは審査・本人確認なしで購入可能である。(楽天系の一部プリペイドSIMには「本人確認不要」と明記された商品が存在する。)
データ専用なので通話機能は使えないが、LINE・Signal・SessionなどのVoIPアプリを使った音声通話は可能である。
※データ+SMS対応のものを選ぶと、より使えるサービスの幅が広がる。
3. 購入・アクティベート時の注意
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匿名性を重視する場合は、本人確認がある店舗や自宅周辺での利用を避ける。
公共Wi-Fi下でアクティベートを行い、SIM購入場所とは別の場所・別の時間で初期通信を行うことで行動ログの追跡を困難にできる。
※数日寝かせてからの使用開始がより安全。
4.初期設定とプライバシー対策
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Googleアカウントは作成せずスキップ。どうしても必要な場合は使い捨てアドレス(例:Tutamail)を使用する。(Tutaは登録〜使用まで48時間の待機期間があるため注意。)
GPS、Wi-Fi、Bluetoothはすべて無効化。利用するアプリはSignalなどの暗号通信対応アプリが望ましい。
GMS非依存アプリはF-DroidやAurora Storeから導入可能(別記事参照。GrapheneOSでなくても可)。
5. 運用時の行動原則
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VPN 運用必須。(OrbotはVoIPアプリが正常に動作しないので、VPN推奨。)
通信・通話は必要最小限にとどめる。
連絡先・写真・端末メモリには一切の個人データを保存しない。
移動中は端末の電源を切り、ファラデーバッグ(電波を遮断するバッグ)に入れて位置情報の漏洩を防ぐ。
6. 使用後の廃棄手順
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工場出荷状態に初期化(ファクトリーリセット)し、SIMカードは物理的に破壊または切断。
本体も破棄または譲渡不可として処理する。
7. 匿名運用上の注意点
バーナーフォン運用とは、「番号」「端末」「通信」すべてを匿名状態で一時的に活用し、確実に破棄する」ことで個人のプライバシーを守る現実的な方法論である。
追跡・監視が強まる現代において、自衛手段としての知識として覚えておいて損はないだろう。