「権力者は異論を嫌う」学術会議法案反対、上野千鶴子さんら座り込み
日本学術会議を法人化する法案について、上野千鶴子・東京大名誉教授ら、法案に反対する研究者らが9日夜、国会前で座り込みを行った。法案は10日にも参院の委員会で可決、翌11日に本会議で成立する可能性が高まるなか、廃案を求めて声を上げた。
上野さんは集まった賛同者たちを前に、米トランプ政権による学問への攻撃を例に挙げ、「学者の世界はお互いに異論を言って発展するが、権力者はよほど異論が嫌いなのか。対岸の火事ではなく、日本でも同じことが起きている。廃案しかない」と呼びかけた。
法案をめぐっては、会員の解任について新たに設けられる規定をめぐり、衆院審議で担当大臣が「特定のイデオロギーや党派的主張を繰り返す会員は解任できる」と答弁。「学問の自由や思想信条の自由を侵害するものだ」と批判が広がっている。
座り込みに参加した前川喜平・元文部科学事務次官は「元役人の立場から見ても、この法案は学術会議をなきものにする、命を奪うようなものだ。学術会議を政治の支配のもとにおき、独立性を奪うための法案だ」と怒りを込めた。
参院では、学術会議側が求めてきた修正法案を立憲が提出したが、与党が過半数を占めており、原案通りに成立する公算が大きくなっている。
学術会議の中でも、人文系や社会学者らで構成する第一部の部長を務めた小森田秋夫・東大名誉教授は、現役の会員らが野党との対話を重ねたことで、国会審議で法案の問題点を明らかにすることにつながったと評価。「それでも国会審議は極めて貧弱で、責任は政府側にある。審議を打ち切り、採決に進むことは許されない」と指摘した。
その上で、「残念ながら法案が通ってしまっても、ネオ学術会議とでも呼ぶべきものを組織化する動きがすぐに始まる。プロセスを監視する必要がある」と訴えた。
「デジタル版を試してみたい!」というお客様にまずは1カ月間無料体験