カント以前でカテゴリーと言えばアリストテレスが有名で、アリストテレスは「実体」「量」「性質」「関係」「場所」「時間」「位置」「状態」「能動」「受動」の10のカテゴリーを考えました。しかしカントはこれは単なる概念の寄せ集めで網羅的でないと考えます。カントは「量」「質」「関係」「様相」に関する判断の形式からカテゴリーを導出します。
判断について言うと以下の12種類です。
「量」について
・全称判断(すべてのAはBである) ・特称判断(或るAはBである) ・単称判断(一つのAはBである)
「質」について ・肯定判断(AはBである) ・否定判断(AはBでない) ・無限判断(Aは非Bである) 「関係」について ・定言判断(AはBである) ・仮言判断(AはBならば、CはDである) ・選言判断(AはBまたはCである)
「様相」について ・蓋然判断(AはBかもしれない) ・実全判断(AはBである) ・確定判断(Aは必ずBである)
ここから12のカテゴリーを割り出します。
量(「単一性」「多数性」「全体性」)
質(「実在性」「否定性」「制限性」)
関係(「実体と属性」「原因と結果」「相互作用」)
様相(「可能性-不可能性」「現存性-非存性」「必然性-偶然性」)
以上です。ここにいたる推論を彼は超越論的演繹と呼びます。
別の引用。(正1)
カテゴリーの諸形態としての存在 アリストテレスによれば、存在は次の10のカテゴリーに分割される。実体(何であるか)、量(どれだけあるか)、質(どのようであるか)、関係(何に対してであるか)、何処(どこにあるか)、何時(いつあるか)、位態(横たわってある、など)、所持(持ってある)、能動(為してある)、受動(為されてある)。
このように的を得るのに「性質」と「質」という異なる表記がされているが、これだけではない。「場所」と「何処」、「時間」と「何時」、「位置」と「位態」、「状態」と「所持」、という風に表記が異なる。正しくは、正1の表記(後述したはずの)である。
①実体
主観的実体と客観的実体に分かれ、たんぽぽの育っていく延長線上に実態がある、という感じ。母の胎内では未熟なものの、産まれてすぐに実体を確保する。