普遍論争

ドゥンス・スコトゥスの「このもの性」という概念がある。

 

そのものの性質の一帯を「このもの性」という概念で説明する。

 

ドゥンス・スコトゥスがこの個体をこのものたらしめる個体化の根源を「このもの性」と呼ぶとき、そこで理解されているのは種的な本性をさらに規定する一種の形相ではなく、(ある意味でトマス存在論における、形相よりも高次の現実態としてのエッセ[esse]に対応する)存在エンスもしくは形相の究極の実在性なのである。 『中世哲学への招待』112-113頁

 

個物を個物たらしめる方法

 

これが個別的に考えていきたい課題であります。スコトゥスは個物自体の「このもの性」が個別的内実を現す根源であると考えた。

 

たとえば、「スプーンaがあるが、先端が錆び付いている」と知ったとき、スプーンbと個別的に分けられることが懸念される。

 

スプーンcが綺麗であって大き目である場合があって、そしてスプーンbが小さ目である場合、両物のこのもの性の差異性が加味される。

 

スプーンdのこのもの性を具体的に研究するとしよう。アリストテレスによれば質料(ヒュレー)と形相(エイドス)によって規定されるものが結合体ですね。スプーンdが質料、すなわち素粒子や物質で成り立っているのですから、スプーンcとは質料の内容がスプーン同士としても異なるのです。

 

このもの性を解き明かすことで存在と別の存在の差異性を見出すことが可能なのである。