「コピー商品」と揶揄された中国製に惨敗…ロボット掃除機の代名詞「ルンバ」が“存続の危機”に陥ったワケ
Ankerでは拭き掃除機能付きの最安モデル「Eufy RoboVac G30 Hybrid」が2万3989円(公式オンラインストアでの値引き後価格)で購入可能だ 。Roomba 205 Comboの4万9100円(同)は圧倒的に高く、同じ値段でEufyが2台買えてしまう。 もちろん、予算を惜しまず上位モデルを購入したならば、それなりの働きをする。米PCマガジンは2003年9月に発売されたiRobotの高級モデルJ9+(日本での実売価格は11万円前後)について、巻き込み防止機能の正確性を高く評価。 記事は、「靴下やケーブルをそのへんに散らかしておくクセがある場合、この掃除機はあなたの味方だ。日常的な障害物をピンポイントで検出して回避する」としている。ただし、あくまで高級機に限った機能だ。 ■ブランド価値だけでは生き残れない iRobotは現在、同社が得意としてきたロボット掃除機市場において厳しい立場に置かれている。 ロボット掃除機は基本的に、自宅でのみ使用する。そのため、見栄を張って高価なブランドの製品を購入し、機能が劣っても使い続けるといった消費者心理は働きづらい。ルンバが高すぎると感じたならば、より豊富な機能を備えたほかのブランドを選択するだけだ。 2020年頃までであれば、ロボット掃除機といえばルンバを指すと言っても過言ではないほど市場で強烈な存在感を放っていた。だが、積極的に新機能を開発し、より低価格のモデルにも実装する他社の台頭を受け、わずか5年で状況は一変。技術革新の遅れが続いた結果、かつて業界トップを独走していたiRobotは、いまや窮地に追い込まれている。 危機を乗り越えるうえで、ブランド名の上にあぐらをかくことなく、消費者が求める機能やスペックに原点回帰することが必要だ。その道のりは険しいものとなりそうだが、家の中を走らせるだけでわくわくするような未来を感じさせてくれた、以前のようなルンバの再来を待ちたい。 ---------- 青葉 やまと(あおば・やまと) フリーライター・翻訳者 1982年生まれ。関西学院大学を卒業後、都内IT企業でエンジニアとして活動。6年間の業界経験ののち、2010年から文筆業に転身。技術知識を生かした技術翻訳ほか、IT・国際情勢などニュース記事の執筆を手がける。ウェブサイト『ニューズウィーク日本版』などで執筆中。 ----------
フリーライター・翻訳者 青葉 やまと