「コピー商品」と揶揄された中国製に惨敗…ロボット掃除機の代名詞「ルンバ」が“存続の危機”に陥ったワケ
棚にはずらりとルンバが展示される中、女性スタッフが店舗スペースの床を熱心に清掃している。だが、スタッフの手に握られているのは、古式ゆかしい1本のモップだ。なるほど、さてはお得意のルンバの使い勝手が良くないのだろう、とネットユーザーの皮肉な笑いを集めている。 店頭で騒音を出せないなど、何か理由があったかもしれない。だが、使い勝手の悪さはこの画像に象徴される通り、あながち間違いではないようだ。iRobotは2025年3月、事業立て直しへの願いを託し、「ルンバ」シリーズに実に8製品からなる新モデル群を投入した。同社が「弊社35年の歴史の中で最大かつ最も包括的なラインナップ」と誇る製品刷新だが、機能に満足できないとして、専門家から手厳しい評価が寄せられている。 米著名ライフスタイルメディアのライフハッカーは、新モデルの一つであるRoomba 205 Comboをレビュー。結果は厳しいものだった。同製品は299ドルから999ドルまでを揃える新ラインナップの中堅モデルに相当し、469ドル(約6万8000円)の価格設定だ。(日本向け公式サイトでの通常価格は5万9200円(税込、以下同様)。6月3日現在、値引き後価格4万9100円で販売されている。) 同サイトは、205 Comboは最もベーシックなモデルに水拭き機能を加えただけであり、「このモデルは約束された機能だけを果たせばいいと自分に言い聞かせた」と低い期待でレビューを開始。それでも結果はひどいものだったという。 ■「ただ水を塗り広げているだけ」の酷評 水拭き機能には清掃中に回転モップを自動洗浄するなどの工夫は一切なく、「単純に、ロボットの底部に装着された非常に小さな水タンクに、ベルクロ(いわゆるマジックテープ)で固定された固定式のモップパッドを付けただけ」「ただ水を床に広げるだけで、清掃などしていない」「塗り広げてしまうだけだろうから、泥だらけの犬の足跡には試しもしなかった」と、実用性の乏しさを嘆く。 さらに米ライフハッカーは「腹立たしいのは、ロボットが頻繁に清掃ルーティンを完了せず、しかもバッテリー不足が原因ではないということだ。終了したと判断し、床の多くの部分に触れもせずに去って行く」と指摘。清掃性能の問題に加え、ナビゲーションや使い勝手の面でも多くの欠点があるとまとめている。 同サイトは、「強」モードで3回走らせた後だという床の写真を掲載。人間の体毛とみられるいくつもの毛やホコリが大量に床に残されており、掃除後のようには到底見えない。アメリカなら6万8000円相当、日本国内なら4万9000円前後を出して買う商品としては、期待を裏切られたと感じてもおかしくないだろう。 ■LiDAR搭載は業界の2年遅れ iRobotは1990年、マサチューセッツ工科大学(MIT)のロボット工学研究者たちによって設立された。2002年に最初のルンバを発売して以来、本体内に溜まったゴミの自動回収機能やモップがけ機能などを年々追加し、改良を重ねている。