洗足学園(上)宮阪校長に聞く 東大合格者28人は全員現役 学習と課外活動、同時並行で取り組む強み
学校法人洗足学園は、1924年に創立された私塾に始まり、現在は幼稚園から大学院までを擁します。近年、洗足学園中学校・高校(川崎市高津区)は、帰国生教育や国際教育に力をいれながら国内難関大学や海外大学への進学実績を伸長し、神奈川県内にとどまらない人気校となっています。その教育の目指すところを宮阪元子校長に聞きました。
【話を聞いた人】洗足学園中学校・高校校長 宮阪元子さん
(みやさか・もとこ)1998年に国語科教員として洗足学園中学校・高等学校に着任。学年主任、教頭、副校長を歴任し、2017年より校長を務める。
東大の全科類で合格者
――校長に就任された頃は、女性の校長はまだ少なかったのではありませんか。 就任は8年前で、神奈川県私立中学高等学校協会の校長研修会に出席した際、懇親会で女性校長のいるテーブルは1卓だけでした。今では女性も増えて、私は協会の理事も務めています。男性が数的に優位の組織でも、女性が3割になると、女性の発想が取り入れられ始めるというデータもあります。校長職に限らず、あらゆる場所で女性が活躍できるようになっていくと思っています。 生徒に背中を見せるとか、そんな大それたことは考えていません。ただ、「生徒とともに」というふうにありたいと思っています。生徒を応援する気持ちと、みんなが世界に出ていったときにともに頑張りましょう、という気持ちです。 ――東京大の合格実績が注目されていることについて、どう感じていますか。 今年の東京大の合格者は28人、全員現役でした。本校は東大進学クラスのような特別クラスを作っていないので全クラスから、そして、文・理六つの全科類で合格したことが本校の特徴だと思います。 生徒を預かる私立学校として、進路実現は約束してあげなければいけない大事なものだと思います。東京大に行きたいという生徒がいれば、そのためにはどうしたらいいかを一緒に考えていきます。しかし、私たちがもっともっと考えていることは、生徒が6年間で、何にでも挑戦できて、こんなこともできたのだと思って卒業してくれることです。 ――海外大学進学でも注目されています。 初のIVYリーグ(米国北東部にある八つの私立大学の総称)の合格は2010年、アメリカのコーネル大で、帰国生ではない日本育ちの生徒でした。本校に入学する生徒の英語力は、ネイティブに近い英検1級レベルの帰国生もいれば、初歩から始める一般生もいますが、洗足学園の環境に身を置いて語学研修や留学体験を重ねるうちに、高2ぐらいになると英語力は拮抗します。 今年は、IVYリーグにはハーバード大とブラウン大に1人ずつ進学します。米国現政権のもと、フルブライト奨学金が一時停止され混乱しましたが、本学園では2年前に、上限1000万円を給付する前田若尾記念奨学金という、海外大学進学を支援する奨学金ができました。こうした支援があるのも心強いと思います。 香港大やシンガポール国立大を志望する生徒もいますが、多くはアメリカ、イギリス、オーストラリア志向です。これらの国の大学に進学した先輩が講演してくれるので、その話を聞くことが多いからかもしれません。